2017年2月25日土曜日

ムンバイの最大のダラヴィスラム、線路沿いスラムを歩き回る(2017年1月31日)

2002、2005、2009年に続き4度目のインド旅行にて大好きなムンバイ訪問も4回目。
ムンバイに6泊しつつ、インド最大都市を毎日歩き回る。
急速に発展が進みスラムらしさがなくなってきたムンバイ最大のスラム街ダラヴィや
線路沿いに密生したスラムを歩き回ってみた。


チェンナイから2等寝台列車で26時間揺られてムンバイへ。
車内は意外と空いており快適だったが、夜気温が下がると肌寒くなり、
薄い上着一枚で眠るのがきつかった。
温暖な南インドといえでも朝晩の気温に冬を感じる。


夢うつつの中、朝を迎えると、
ゆっくりと登る朝日にほっと胸をなでおろした。


ムンバイの宿泊先はロンリープラネットにも載っていて西欧人旅行者に人気があるseashoreホテル。
2002年、2005年にも滞在しており、インドで一番快適なホテルだったと覚えている。
2009年にムンバイを訪れた時は改装中で、南インド旅行、ドバイ〜イエメン旅行を挟んでコラバ周辺の3軒のホテルに泊まったが、
1軒は南京虫の巣窟だったり、他は暑くて狭くて不快だったりと良い宿に巡り会えなかった。
しかし、8年ぶりのムンバイにおいてseashoreホテルが復活。
改装されて綺麗になっており、生ぬるいお湯が出るバスルームの水周りも清潔だし、部屋も申し分ない。
2002年と2005年に4泊したように、今回6泊する宿として良さそうなseashoreホテル。
シングル700ルピー(1200円)、ダブル1200ルピー(2000円)とインドにしては割高だけれども、
物価高のムンバイなので仕方がないし、スリランカよりコスパがよく感じる。
唯一WiFiのスピードが遅くロビーに近い部屋じゃないと通じにくいのが難点。
ちなみに初日だけシングルの空きがなくオーシャンビューのダブルルームだった。



ちなみにseashoreホテルがある界隈は湾岸諸国からの訪問客が多く、
アラビア料理が食べられるレストランや香水屋が並んでいる。
歩いているだけで湾岸諸国特有のコロンが鼻腔をつき、一ヶ月前にいたドバイを懐かしくさせる。


コラバそのものは若者向けの衣服屋、靴屋、土産屋、露店、
観光客向けのホテル、カフェ、レストランが集まり、活気がある。
怪しい輩もよく声をかけてきたり、物乞いが近寄ってきたりもするが、
洗練さもあり、ちょっと高級な繁華街ともいえる。



seashoreホテルから5分も歩けば、ムンバイの観光名所インド門が現れる。
いつも記念撮影をするインド人観光客で溢れている。
また、マリファナの誘いや頭に洗剤が付いてるなどと言って歩み寄ってくる連中もいるので油断禁物。


インド最大都市だけあってグルメも充実しているムンバイ。
ちょっと高めのコラバ周辺でも気軽にいろんなカレーが食べられる。
どれも150ルピー前後(250円)。
北インド風のムスリム食堂Olympiaで曜日ごとに違う夕飯メニュー。
串焼きのチキンをカレー煮したチキンカブールとチャパティは今回まだ行かない北インドを想起させる。


seashoreホテル、アラブ人が集まる界隈にある老舗のゴア料理店、New Martin Hotel。


2005年に発見して以来何度か通い、ゴアでしか食べられないビーフカレーやポークヴィンダルー、
ゴアソーセージを食べてきた。
今回も立ち寄り、豚肉煮込みを食べる。
見た目は普通のカレーだが、具は豚肉で、味はカレーでなくハヤシライス風。


コラバからフォートにあるかつてのヴィクトリア鉄道駅、CST駅に向かう途中にケラーラ料理店が数軒集まる路地があり、
Taste of Keralaでは本場ケーララ州のココナッツを使った甘いカレーを食べられる。
ランチタイムのミールは8種類のカレーとデザートがバナナの皮に載っており、手ですくって食べると美味い。



スラム廻りの前に8年ぶりのムンバイをぶらつく。
ムンバイといえばやはりマリーンドライブ。
アラビア海に沿って弧を描く海岸線が毎年変貌していくムンバイのスカイラインに縁取られて美しい。



雑居ビルが密集するかたわら、高層ビルが林立する姿を目にできるのはインドでムンバイだけに違いない。
首都デリーを軽く超えるスケール感。


マリーンドライブ沿いにはマイアミビーチにあるようなアールデコ調のマンションが並び、
一瞬ここがインドであることを忘れそうになる。
コラバ周辺あkらマリーンドライブにかけてこの近辺独特の香りがする。
何の匂いかわからないが、清々しさとノスタルジーを混ぜたような香りは2002年に初めてムンバイにたどり着いた時に嗅ぎ、
2005年、2009年、今回もまた急激にうったえかけてくるムンバイの匂い。



マリーンドライブを北上し、ムンバイセントラル駅方面に向かうと都市開発を顕著に見てとれる。
建設ラッシュが目の前で繰り広げられる光景はアジア、中東で簡単に目にするものの、
薄汚いコンクリートのビル群を軟弱そうなクレーンと手作業で進めているのはムンバイならでは。



ムンバイならではといえば、Mahalaxmi駅を出てすぐ眼下に広がるドービーガート。
建設中のビル群を背景にコンクリートの洗い場が並び、
ロープにかけられた衣服が無数に干されている昔ながらの公共洗濯場ガートはシュールでもある。



ドービーガートを見下ろせる高架から降りて入り口から中に入ってみる。
まさに洗濯職人が手作業で洗う様子を眺められる。




なんとなくモロッコのフェズの皮なめし職人地区に似ているが、
皮の悪臭漂うタンネリーと異なり、洗剤のいい香りに満ちている。
手作業にあわせて機械もあり、伝統的な公共洗濯場でもムンバイの発展を実感してしまう。



ドービーガートから出て再び陸橋に上ると、Mahalaxmi駅のプラットホームと高層マンションが見える。
猥雑さとモダンのコンストラストがまたムンバイっぽい。



ムンバイの町歩きに馴れてきた頃、スラム廻り開始。
まずムンバイ最大のスラム街ダラヴィを訪れてみる。
ムンバイの闇として悪名高かったダラヴィスラムは2008年の映画『スラムドッグ・ミリオネア』で一気に有名になった。
同じくダニー・ボイル監督作品の『ビーチ』でタイ南部の島がバックパッカーに人気が出たように、
『スラムドッグ・ミリオネア』に影響されてダラヴィを訪れる観光客が増えたのは間違いないだろう。
さすがに有名になりすぎて、行政によりスラム街の発展が進み、
治安が大幅に改善された半面、スラムらしさがなくなったとの情報もある。
とにかく自分の足で訪れ、目で見てみないことには分からない。
いくつかの旅行会社が一人1500ルピーほどのスラムツアーを催行しているようだけれども、
金を払ってガイドに案内されるスラム廻りはツアーアトラクションのようで好奇心が削がれる。

ダラヴィスラムはMahim駅の東側に広がっており、
地図を見ると迷路のように細い路地が張り巡らされていて、いかにもスラムっぽい。


フォート地区のChurchgate駅で10ルピー(17円)の切符を買い、Mahim駅へ。
幅の広い車両に多くの人が座るムンバイの列車内。


車両のドアは常時開け放たれており、
完全に停車する前にプラットホームに降り立っていく人が多い。


Maxim駅で降りて東に向かう歩道橋に上ると、
線路に沿った粗末な家屋が並んでいるのを見渡せる。


ここもすでにダラヴィの一部なのだろうか。
それとも線路沿いの空き地に自然発生したインドでよく見るスラムなのだろうか。
線路はおびただしいゴミで埋め尽くされ、何かを焼いているのか煙が上っている。


駅から歩道橋を渡ってダラヴィの方向へ歩く人々についていくと、
売店が並ぶインドで典型的な駅前通りになる。
ムンバイでどこでも目にする団地もあり、人々の身なりもいたって普通。
奥の方に進んでいくとゴミで覆われたドブ川が現れる。


ドブ川の匂いがきつい。
川に面して朽ち果てて崩れそうな家屋が続いている。
まさにバンコクのスラム街クロントイで見た光景と同じである。


ドブ川に沿った通りは大渋滞で渡るのが億劫だが、
道路を渡った向こう側に細い路地が入り組んだダラヴィがあるようなので現地人と一緒に渡る。

いきなり入ってみた路地は薄暗く、
人一人通れる50センチほどの幅の道の両側が住居となっている。
内部丸見えの地上階とハシゴを上って細い穴から侵入する二階の家屋があるようだ。


窮屈さは否めないが、4畳半くらいの空間にテレビがあったりと普通の生活感が溢れている。
コンクリートの薄暗い路地もゴミがなく、清潔さが保たれている。


路地を抜けると広い通りにあたる。
携帯ショップや売店、食堂があり、モスクもあってインドで当たり前の街並み。


ここがダラヴィスラムと知らなかったら、ムンバイの下町を歩いている気分になるかもしれない。
リキシャーやタクシー、バイクに車が往来する光景にスラムらしさを感じない。


唯一バラックでないにしても家屋の造りが簡易的であること、
歩いている人の多さが尋常でないことが異質である。



ネット情報によるとダラヴィスラムの人口は100万人を超えているそうで、
実際に歩いてみても人口密度の大きさがうかがえる。


ダラヴィで最も人と車が多いメインロードがあり、
両脇にいろんな商店や食堂が連なっている。
メインロードの先にMahim駅方面に続くと思われるスカイブリッジがある。


スカイブリッジの階段で寛ぐヤギをそっとよける。


スカイブリッジから先のドブ川に沿った大通りを見下ろせる。
両脇をびっしりと埋め尽くす住居の塊にダラヴィがスラムの機能を持っていることも実感できる。


川を過ぎると作業場となっており、多くのゴミを回収するリサイクルショップのようだった。


ゴミ、というかリサイクル品の収納場所が少ないのか、
トタン屋根の上にもびっしりと置いている。
バラックの集合体は先の健全な商店街と別世界のようだ。


スカイブリッジは駅まで直行していないようで、ゴミだめと排水管を見下ろせる場所で終了。


スカイブリッジを降りてからリサイクル作業場を見て回ったり、
スカイブリッジ下の商店街を物色しながら来た道を引き返す。
かつて荒廃していたであろうスラム内で整備が進み、
ムンバイの標準的な下町になりつつあるダラヴィを後にした。



ダラヴィスラムの北側は湿地帯となっており、線路に沿って太い排水管が2本走っている。
『スラムドッグ・ミリオネア』で少年たちがその上を駆け回っていた排水管がMahim駅の一つ先のBandra駅に向かって伸びている。


Bandra駅近くにもスラムがあるそうで、少年たちみたいに排水管を歩いてみるのも楽しそうだけれど、
ちょっと遠そうなので再び列車に乗ってBandra駅へ。


一駅先のBandra駅はムンバイ国際空港に行く際に利用勝手がいい。
ムンバイで珍しくリキシャーが走っており、空港へのリキシャーを手配すれば、
コラバやフォートからタクシーで直行するよりずっと安い。
空港から市内へ向かう際もタクシーでBandra駅まで行き、
ローカル列車に乗り換えるとお得。
Churchgate駅やCST駅からコラバのホテルまでかなり歩く羽目になるけれども。

リキシャーがうじゃうじゃ集っているBandra駅西口。


今回は東側から出てみる。
プラットホームから歩道橋を上ってすぐに線路に沿って赤いバラックが並んでいるのが見える。


線路はゴミで溢れかえっており、人々の生活感でむんむんしている。
ダラヴィとは一目で違うと分かるスラム。


早速歩道橋を降りて線路沿いのスラムに降り立ってみる。
駅に隣接した空き地だったらしく、狭い範囲に赤いバラックが密集している。


ダラヴィと違い完全に闇で覆われた路地に入っていく。
足元が見えない暗さでスマホの懐中電灯を頼りに進む。
細い路地の両脇はやはり居住スペースになっているようで、裸電球が垂れ下がっている。
路地を抜けると、ここにもスラムのメイン通りというべき小道にぶつかった。
頭上にはハシゴで登れる家屋があり、狭い小道にいくつかの商店が並んでいる。



メイン通りを出ると、駅前通りと線路に挟まれた広場になった。
女性が食事の準備をしたり、子供達が遊んでいる。
露店も出ており、スラムで暮らす人々の憩いの場となっているようだ。



同じ場所をスカイブリッジからも見下ろしたみた。
空き地に簡易トイレが並んで立っているのが印象的。



駅前通りはリキシャーやバスで大渋滞している。
ちょうど帰宅ラッシュの時間帯かもしれない。


大通りを挟んだ向こう側にも運河、というかドブ川に沿って3階、4階建てのバラックが所狭しとくっついている。


かなり迫力のある光景の下、住んでいる子供達はシャイでフレンドリー。
写真撮影しているとためらいがちに近づいてきて可愛らしい。



平屋のスラム街はバンコクやマニラ、ジャカルタなどのアジアの都市でよく見るものの、
重層的な家屋の集合体はそうお目にかかれない。
広州にある低所得者の居住区、三元里を思い出させる。


密集した家屋の間に細い路地があるので再び入ってみるも暗すぎるし、
かなり入り組んでいるのですぐに引き返してしまった。


Bandra駅周辺のスラム歩きもそろそろ潮時。
スラムの中を貫通する大通りは大渋滞だが、スカイブリッジから反対側を見ると、
ダラヴィスラムから続く排水管の両サイドに深緑な畑が広がっている。
少年たちが凧揚げをする穏やかな風景は夕暮れ時のラッシュアワーからかけ離れている。



西日を浴びてノスタルジーさえ抱かせる線路沿いのバラックを眺めてから帰宅ラッシュの駅へ向かった。



日が暮れてからもムンバイの鼓動はまだまだ続く。













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