2016年4月3日日曜日

シルクロード、ユーラシア横断の旅の終着点ベネチア(2016年3月13日)

リミニからヨーロッパの旅の終着駅としてベネチアに到着。
オセアニア、北アフリカをのぞいて2年以上過ごしたユーラシア大陸の旅はベネチアで終了する。


居心地いいリミニの家庭的なホテル、Hotel Villa Italaの滞在を終え、列車でベネチアに移動する。
ワインを飲みつつ映画を見たりと寛げた快適なホテルを名残惜しみながら去る。


ヨーロッパの移動もこれが最後。
アテネ〜ロンドン〜モロッコ〜チュニジア〜マルタ〜ミラノと飛行機ばかりだったけれども、
ユーラシア大陸での最後をイタリア鉄道で締めくくる。
オンラインで予約すると手数料含めて24ユーロと安かった。

2時間弱の列車旅で曇りがちのリミニから陽光がこぼれるベネチアへと近づいていく。
ベネチアはシルクロードを旅した商人マルコポーロの生誕の地と言われている。
バンコクから北京に飛び、陸路でモンゴル、西安、新疆ウイグル自治区、中央アジア、
コーカサス、イランとシルクロードの旅を続け、
イスタンブールからヨーロッパを廻ってマルコポーロが旅立った街がユーラシア大陸終着点となるので感慨が湧く。
また、学生時代に訪れて以来16年ぶりの水の都でもある。
当時は真夏の8月に訪れ、鉄道駅のインフォメーションでなんとか安めのホテルを紹介してもらったけれども、
今回は使い慣れたbooking.comで予約。
駅から歩いて10分、小さなベネチアの主要スポットを容易にアクセスできるHostel Veniceluxuryに4日滞在する。
事前に地図に登録しておいても、
表通りの裏側に入口があり、看板もないので探すのに苦労した。
住所番号をたよりに薄暗い路地に面した扉にたどりつくと、
あまりにも小さなHostel Veniceluxuryのシールが貼ってある。


だからか、観光客だらけのベネチアでも宿泊客が少なかった。
韓国人に有名なようで数人の韓国人旅行者以外は同室で知り合ったメキシコ系ドイツ人くらい。
普通のアパートのキッチン付きリビングルームにはスタッフのアフガニスタン人4、5人がいつも寛いでいる。
ヨーロッパにありがちな若い西欧人がたむろするホステルでないので居心地よく、
家庭的なキッチンでスパゲティを茹でて食べたりした。



アフガニスタン人はフレンドリーで夜はビールやテキーラを分けてくれたり、
肉炒め料理を振る舞ってくれたりと、まるでホームステイのようなベネチア滞在。
同室のドイツ人や韓国人とも飲んで語り合ったりする。


世界一観光客密度が大きいベネチアだけあって宿代が高く、
ドミで23ユーロ+宿泊税3ユーロで1泊26ユーロもして眉間にしわが寄るが。


ベネチアでの4日間はシルクロードの旅完結の余韻に浸りつつもひたすら街歩き。
水の都において自動車やバイク、自転車も存在せず、
街中すべてが歩行者天国になっているのが嬉しい。
横断歩道を渡る手間もなければ、クラクションやエンジン音も聞こえてこない。


そして何より運河。
思っていたより水が汚れていない運河に引き込まれる。


運河をゆったりと進むゴンドラはベネチアの原風景のようだ。


世界中に「◯◯のベネチア」と呼ばれる街があるけれども、
本物は子供騙しのテーマパークと異なる。
運河も観光客がゴンドラに乗るためだけのアミューズメント施設ではなく、
自動車、バイクが存在しない島の重要な交通網となっている。


そんな運河沿いを歩いたり、運河に架かる小さな橋を渡りながら
あてもなく路地を突き進んでいくのがベネチアの醍醐味だと思う。




運河に面したカフェやレストランもロマンチックに感じる。
車が走る道路の代わりに運河に面しているだけでこうも印象が変わるのだろうか。



買物するつもりがなくても店のウィンドウを見るのも楽しい。
ベネチアで有名なガラスは買いたくなってしまう。
学生時代に訪れた際はベネチアガラスの小物を買ったり、
ガラス工房が多いムラーノ島を訪れたものだ。



カーニバルに使われるような仮面もベネチアっぽい。




他にも目につくものが路地のショーウィンドウに並んでいる。
運河がなくても十分に飽きない街かもしれない。



1000年の歴史を誇るベネチア共和国だけあって、
通りや路地のあちこちに月日が蓄積されている。
まるで戦いの後に降る雨が石造りの街に染み込んでいくように。


狭い路地に入り込んで不意に現れる建物に目を奪われる。


また、いきなり目の前に開ける広場に憩いを感じ、
華麗なる教会を立ちすくんでしまう。



何気ない建物の扉にある呼び鈴がライオンの顔だったりして
ついつい立ち止まってしまうのもベネチア歩きの楽しさだ。


普段だと見向きもしない路地の分れ道が運河というだけで特別に映る。



羽を休める鳩さえもベネチアの路地において絵になるから不思議だ。


洒落たブティックショップや土産屋が並ぶ通りは観光客でごった返しているけれども、
ちょっと離れた界隈に迷い込むと、世界遺産で生活するイタリア人の生活臭が溢れている。
これまで旅してきたシルクロード沿いの世界遺産の街で生活を垣間みるのが欠かせなかった。
ウズベキスタンのブハラやヒバの路地裏で遊ぶ子供達や民家から流れるラジオの音楽、
食器がぶつかる音やおばさんやおじさんの話し声…。
モロッコやチュニジアの迷宮のような世界遺産の路地でも揺れる洗濯物に口元が緩んだりした。
ベネチアの路地でも洗濯物が干されている。
それも運河の上で。


運河に面した扉に船を寄せ、
板の足場を渡って建物に入っていく光景は映画でしか見たことがなかったが、
ここでは現実としてありうる。


世界広しといえどもこんな水の都は他にないだろう。
やはり本物はテーマパークや二番煎じとは違う。


細い運河が張り巡らされたベネチアの大動脈、
メインの通りがグランドキャナル。
路地を突き進んでいき、いきなり視界が開けるグランドキャナルはベネチアの目抜き通りの雰囲気が漂っている。
観光客用のゴンドラが何隻も停泊しており、
多くの人を乗せた水上バスやタクシーが行き交っている。



グランドキャナルに架かる橋はリアルト橋とアカデミア橋、
サンタルチア駅前から伸びる橋の3本のみ。
だからか常時観光客で溢れている。
最も絵になりそうなリアルト橋の一部は修復中だった。


一方、アカデミア橋からは一際大きなドーム型のサンタ•マリア•デッラ•サルーテ教会が見える。
これこそベネチアの原風景といえるような景観である。


歩いてサンタ•マリア•デッラ•サルーテ教会に近づいてみる。
ベネチアの島のちょうど南の橋の部分にある。


間近から見るとカメラに納まらない大きさ。
この巨大なドーム教会はアカデミア橋からだけでなく、
サンマルコ広場側かグランドキャナルから眺めてみたい。



路地や運河沿いを歩き回っているだけで楽しいベネチアだけれども、
せっかくなので水上からも見てみる。
とはいえ、ベネチア名物のゴンドラは高過ぎ。
6人乗りのゴンドラに30分揺られるだけで80ユーロもとられるそうだ。


とてもゴンドラに乗る予算はないので水上バスでサンマルコ広場からローマ広場の終着点まで行って引き返す。
この水上バス、ヴァポレットでさえ一番安い75分間有効のチケットで7.5ユーロするのでぼったくり金額である。
まあでも、常に観光客で混み合う水上バスなので、短期滞在の観光客用チケットは高めに設定し、地元の人の長期用交通パスは安くしないと交通機関が麻痺してしまうだろう。


ヴァポレットに乗り込んだのは夕暮れ時。
サンマルコ広場からサンタルチア駅方向はすでに混み合っており、船内の席で静かに待つ。
尚、購入したチケットは船乗り場にある自動検札機にかざさないと罰金をとられるそうだ。
途中、ヴァポレットに検札係が乗り込んできて、逃げ出すように出口に向かう人を見かけた。
終点のローマ広場に到着しても引き返すつもりでそのまま座っていると全員降りるように言われたので、一度船乗り場を出て、サンマルコ広場行きの別の船乗り場から復路に乗り込む。
始発なのでヴァポレットの船外の最前席を陣取る。
夕暮れ時のベストタイムだが、風もあって寒い。
モダンな橋をくぐるとグランドキャナルが目の前に広がる。



地元の人にとっては単なる交通手段とはいえ、
ゴンドラに乗れない節約型バックパッカーにとって極上のクルーズ。
冷たい風を浴びながらテンションが上がる。


修復中だったリアルト橋も反対側からだと全貌を目の当たりにできる。


残念ながら雲が多かったがピンク色に染まるグランドキャナルが非現実的な光景に感じられる。


観光客でごった返すアカデミア橋をくぐると、サンタ•マリア•デッラ•サルーテ教会が近づく。


巨大ドームを運河から眺めるとやはりでかい。


遠方に別の教会、サン•ジョルジョ•マッジョーレ聖堂も見える。


そして、サンマルコ広場前に到着。
水上から眺めるドゥカーレ宮殿もまたいい。


往復1時間半のヴァポレットの運河クルーズは7.5ユーロの価値があった。
ゴンドラが並ぶ先に見えるサン•ジョルジョ•マッジョーレ聖堂ににんまりしてしまう。



シルクロードの旅、ユーラシア大陸の旅の締めくくりはサンマルコ広場にて。
西日に染まるサンマルコの鐘塔に大きな既視感を抱く。
16年前のベネチア滞在で鐘塔に登ったので当然だけれども、
最近見たような錯覚を覚えるのはシルクロードで見てきたミナレットや尖塔に似ているかもしれない。
逆にマルコポーロがウズベキスタンのブハラやヒバを訪れたときに天高くそびえるミナレットを前に故郷のベネチアを恋しく思ったのだろうか。
…と、特に歴史を知らないので勝手に妄想してみる。


荘厳なサンマルコ寺院が小さく見えてしまう鐘塔である。


日が暮れてまもなくサンマルコ広場はライトアップされる。


イタリア、ヨーロッパ、ユーラシア大陸の旅が完結。
ベネチアからシルクロードの重要な拠点イスタンブール経由のトルコ経由でニューヨークへ向かう。
暖かくなる春からは未知なる中米、カリブをコロンブスのように攻め込みたい。











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