世界遊牧住み渡りの発端

「世界遊牧住み渡り」。
この言葉を思いついたのは2011年の1月後半のことだった。もう2年半も前のことである。

2007年秋から2009年秋までの2年間の世界周遊を終え、東京で再び生活を始めてから少なくとも1年以上は経っていた。再び長旅に出たいという思いはあったものの、前回の2年間の世界周遊でアフリカ、ヨーロッパ、南米、アジアとだいたいのところは回ったし、長旅の一区切りはつけたつもりだったので、また長期旅行というのも味気ない気がした。そして、南極を除いた世界5大陸は縦横断した経験があるので、かつての旅の新鮮味を超える興奮を味わえる自信もなかった。過去の旅の軌跡をたどる回想旅行にもなりかねない。
では、旅のスタイル自体を変えてみるのはどうだろうか？
ただ街から街に移動して歩き回るのではなく、気に入った街に生活するような感じでしばらく滞在してみれば、通過地点としての旅の道程の街とは違う表情が見えてくるかもしれない。
これだ、と決め、プチ滞在を繰り返しながらの世界周遊を思い描いてみた。
「長旅」というよりは「住み渡り」。
30歳を過ぎてあてのない放浪のような長期旅行をしていると人に言うより、「住み渡り」をしていると言ってみた方が気兼ねがない気もする。もちろん、放浪も住み渡りも内容そのものに大きな違いはないだろうけど…。
ただ長期滞在する街で仕事を見つけ働くというのはかなり難しいので、可能性として探してみるけど形として終わってしまうことが多いはずなので、遊ぶことが目的の「世界遊牧住み渡り」というのが一番相応しいかもしれない。
「世界遊牧住み渡り」の期間は3～4年くらい。
年数に特に意味があるわけではなく、前回の世界周遊2年間で費やした金額の2倍の貯金が溜まりそうなので、年数も2倍と考えた程度。

出発は2012年秋か、2013年春…と思っているうちに2013年夏になってしまった。
最初に「世界遊牧住み渡り」が思い浮かんでから2年半経ったけど、2013年秋についに実行する。