2017年6月17日土曜日

カラコルム山脈が展望でき、静かなダル湖を持つシュリーナガル(2017年6月7日)

40度越えのジャンムーから11時間かけてシェアタクシーという名のジープでたどり着いたシュリーナガル。
インド人というよりもパキスタンやアフガニスタンに近い人々が住む独特な世界、
インド最北部のカシミールで思考停止していた脳をクールダウンしてみる。
遠方に7000m級のカラコルム山脈が見え、
山々を映し込む鏡にように穏やかなダル湖を見て過ごすのにいい。



シュリーナガルの名物と言われるダル湖畔に無数に浮かぶハウスボートだけれども、
動かないボートに滞在することにあまり魅力が感じられない。
朝晩が涼しく、日中は暑くないシュリーナガルでの三日間は家庭的で居心地いい、
運河沿いのNoor Guest Houseに宿泊する。
これまで子供部屋に使っていたのか、ぬいぐるみや家族写真が飾られた部屋で400ルピー(700円)。
アムリトサル以来にネットがつながるのが嬉しい。


Noor Guest Houseの入口を一歩外に出ればダル湖への続く運河が広がっていく。
利便性が悪そうなハウスボートにあえて泊まらなくてもいいだろう。


ちょうど夕暮れ時前にシュリーナガルに到着したのはグッドタイミング。
ダル湖の背景の山々のさらに向こうに雪化粧のカラコルム山脈が見える。


インド人にとって避暑地の一つであり、今が旬の観光地だけあってシカラと呼ばれる船に乗って湖を遊覧するインド人観光客が多い。


運河沿いを進んでいくと、ローカルな住宅地、ダル湖に浮かぶ水上村に入る。
多くの人々がハウスボートを営んでいるかのようにハウスボートだらけ。


湖に浮いた家屋に住む人々の足は小さなボートのようで、
オールを漕いで運河を進むおじさんたちやおばさんの姿がある。



喧しい車やバイク、リキシャーのクラクションの音からかけ離れた静かなダル湖に一気に虜になってしまいそう。
イスラム教徒が多いシュリーナガルだけあってモスクからのアザーンがインドの他のどの街よりもはっきりと聞こえてくる。


正直、多くの仲間と過ごして楽しく、堕落と快適さに泥酔したバンコクを離れて直後のアムリトサル、ジャンムーは暑すぎて町歩きどころじゃなかったし、たった3ヶ月ぶりとはいえ汚くうるさいインドにバンコクへのホームシックに近い感情を抱いていたが、
澄んだ空気の向こうに沈んでいく夕日、トビの鳴き声が聞こえる穏やかなダル湖に癒されていった。
インドであってインドでない未知なるカシミール。



23時頃の停電と同時にネットサーフィンも読書もできなくなる夜は暇でもあったが、
久しぶりにエアコンやファンがなくても涼しい部屋で快眠。
朝8時に一度目覚めると涼しいというより半袖では肌寒いほどであり、
あいにく朝から雨が降っていたので二度寝した。
太陽が出ていなくても午前10時を過ぎれば寒くなく、暑くなく、まさに適温。
観光地だからかダル湖周辺ではカシミール料理店が見つからず、
パンジャーブ風のターリを早めのランチとしてたらふく食べ、湖畔を再びぶらついてみる。


厚い雲がかかっているとカラコルム山脈の頂は見えない。


ハウスボートの斡旋やシカラのボートツアーの客引きが多すぎる湖畔のブルヴァードを歩く。
最初は単なる観光アトラクションと鼻で笑い、興味がなかったものの、
次から次へと静かな湖面を移動するシカラに魅かれていく。
うざいほど声をかけてくる客引きに負けたわけじゃないけど乗ってみる。


できるだけ家族連れのインド人観光客がいないところで交渉。
案内板には1時間で500ルピーと記載されており、政府公認料金だから割引できないと言われた。
500ルピーは高すぎるので去ろうとすると400ルピーと値下げが始まり、自分も1時間150ルピーから開始する。
客引きは腐るほどいるので安くならないならすぐ去ろうとしたら一気に200ルピーまで下がって交渉成立。
湖遠方と運河に張り巡らされた内側のどちらがいいかと尋ねられ、内側を選ぶ。
インド人の新婚カップルじゃないのだから湖の遊覧入らない。
水上マーケットやフローティング・ガーデンと呼ばれる水上農園の方が興味がある。
ちょうど1時間と腕時計を指差され、自分一人だけのシカラをゆっくりと漕ぎ出す船頭。


南側の空は晴れてきており、雲の上空に薄っすらと雪山が展望できる。


浅い湖の上に家を建てて生活する人々を水面レベルから眺めるのは興味深い。
どことなくブルネイの水上村やミャンマーのインレー湖の水上世界を思わせる。


湖に面した商店もあり、住民は船を寄せて買い物している。


シカラで遊覧する観光客向けのカシミヤのショールや手芸品を得る店も多い。
船頭は何度もお土産が安いからいいと勧めてきたが、1時間の遊覧時間が短くなるので断固として断った。

暇な駄菓子屋の男性が店先から釣り糸を垂らしている。
湖は透明で泳いでいる小魚をよく見かける。


ミャンマーのインレー湖でも見た水上農園へ。
湖面に浮いたまま野菜を育てているそうで上から押し付けると水中に沈み、
また浮き上がってくる。



ハウスボートに宿泊しながら窓の外の湖面に広がる蓮を眺めるのも悪くないかもしれない。


1時間のダル湖巡りの間、水上マーケットで生活する人々や香ばしい串焼き肉を焼きながら船をこぐおじさん、カシミール独特の木造のモスクを眺めたりした。




最後は水上カフェでチャイを飲んでシカラ遊覧終了。
歩いていると絶対に見られない風景を船から見れて十分に価値があった。



シュリーナガルをより知るべく観光地のダル湖から離れ旧市街へ歩いていってみる。
装甲車や銃を持った兵士も多いけれども、それ以上に犬の数が凄まじい。
羊飼いの犬なのか、低地で見るより大きめの犬が5、6匹で昼寝している。
ゴミが散乱する場所には10匹以上の毛むくじゃらの犬が寝そべっていたりと夜は歩きたくない。
こちらに害はないとはいえ、兵士と犬にはカメラを向けないようにする。
カシミール独特の建築様式としてレンガ造りの建物に木造の窓枠がはめられている。


木造のモスクもカシミールの特徴だろう。
見慣れたモスクのミナレットと異なる緑色の重層屋根と尖塔が青い空を貫いている。



大通りを離れて路地に入ると、インドと思えないほど交通の流れが減る。
両脇にはレンガ造り、木の窓枠の建物が続いている。


川沿いにある一際緑色の尖塔が目立つシャー・ハマダーン・モスクへ。
橋から眺めると旧市街の家屋とのコントラストが鮮やか。


シュリーナガルで一番美しいと言われるシャー・ハマダーン・モスク。
木造の尖塔に加え、入り口の装飾がイランやウズベキスタンのモスクで見たようにきめ細かい。




10ルピーの寄付金を箱に入れたにもかかわらず異教徒は立ち入り禁止。
開け放たれたドアから内部を覗くしかなかった。


旧市街は職人の町。
また、モスクからアザーンが流れるムスリム一色の世界。
金細工をテンポ良く叩く音がレンガ造りの路地に響き渡る。



昼飯はジャンムー以来のカシミール料理店にて。
観光客向けのレストランが多いダル湖周辺でなかなか見かけなかった羊の肉団子とつくね入りのちょっと辛いカレーはうまい。


肉団子は同じだが羊のミルクとだしで作ったと思われる酸味のある白いスープカレーも出してくれた。
ジャンムーで食べたチキンカレーも焼いたチキンとは別にスープは羊だしだったし、
カシミール料理は羊がメインなのだろう。


食後公園で休息してからシュリーナガルのどこからでも目に入る小高い丘に立つ要塞を目指す。
軍に管理されているので入場するのに別料金のパーミットがいるとか。


公園では子供達が遊んでおり、牧歌的な空気が流れている。
思えば、暑すぎるインドの低地の公園で遊んでいる子供はいなかった。


相変わらず犬だらけの道を進み、大きな門をくぐって丘を登っていく。
たどり着いたのは丘の中腹にあるモスク。
地上からロープウェーでもアクセスできるようだ。



モスク周辺にも10匹以上の犬が昼寝したり徘徊しており、
犬を不浄とするイスラム世界でこんなに犬が多いのも珍しい。
モスク手間の展望台からシュリーナガルを一望する。
カラコルム山脈へと続く山々が見える。


丘の真下には遺跡が佇んでいる。


正直、展望台からの眺めで満足したのでさらに要塞まで登らず。
モスクから丘の頂上にある要塞を見上げてから下山する。


再び旧市街に戻ってから巨大なモスク、ジャミア・マスジットを訪れる。
シャー・ハマダーン・モスクと違って異教徒でも中に入れるのが嬉しい。


ここもまたレンガ造りと上部が木造のカシミール独特な建築様式。
ジャミア・マスジットの中庭に噴水池と芝生があり、ムスリムのおじさんたちが芝生で寛いでいる。


のんびりとしたダル湖周辺といい、子供達が遊ぶ牧歌的な公園といい、
いまだカシミール紛争の緊張状態にあるとは思えないシュリーナガルの光景だった。
川沿いに戻ってから、中央アジアのウズベキスタンや東欧のバルカン半島にありそうなデザインの霊廟を見て旧市街巡りを終えた。


インドのようでインドでないカシミールの次はチベットよりチベットらしいと言われるラダック地方に向かう。












にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村
↑↑
いいね!と思われましたら
閲覧ごとにクリックお願いします!

0 件のコメント: