2017年8月19日土曜日

ブータンから12年ぶりのカルカッタへ(2017年7月15日)

ブータンのプンツォリンから直通バスでコルカタへ。
1ヶ月半の北インド周遊の最終地コルカタ。
2002年に人生初インドの地として足を踏み入れたときは
最強に汚くて醜かった魔都カルカッタの変貌ぶりに驚き、
変わらぬ部分に懐かしさと安堵を抱く。


すでに5往復したインド、ブータンの国境ゲートだけれども、
バックパックを背負って明らかに旅行者とわかる格好でインドのジャイゴンからブータンのプンツォリンへ向かう際は緊張感がある。
もし国境で追い返されたら町外れのジャイゴンのバススタンドから再びシリグリに戻り、
シリグリから夜行バスでコルカタへ移動しなければならない。
小雨が舞うジャイゴンから軽い焦燥感にも駆られながら国境ゲートへ。
インド側の警備員と目を合わせないように歩行者用チェックポイントに入る。
チェックポイントにいるブータン人の女性警備員は背中を向けて誰かと話している様子。
気づかれないように、バックパックを背負ってても躊躇せず平然とした態度で素通り。
あっけなくチェックポイントを通過して、ブータン側に抜けていた。
ジャイゴンのやかましいクラクションやゴミが散らばる汚さ、人混みと皆無のプンツォリンにホッと一息。
正午前にはバスステーションの窓口で午後3時発のコルカタ行き直通バスチケットを650ルピーで購入できた。

バスステーションの食堂で昼飯を食べ、のんびりとバス出発を待つ。
インドとブータンで30分の時差があるものの、
ジャイゴン自体ブータン同様30分の時差があったようでiPhoneの時刻はインド+30分に切り替わっていた。
1列ごとに二席、三席で窮屈なインドの普通のバスと異なり、通路を挟んで二席、二席のリクラニングシート。
わざわざブータンに密入国してからコルカタ行きのバスに乗る価値が十分にある。


3分の1くらいしか席が埋まっていないバスは定刻3時に出発。
プンツォリンを少し走って拍子抜けするほど簡単に国境ゲートを抜ける。
両国のイミグレに立ち寄らないし、パスポートチェックなども一切ないので、
正式な方法でブータン入国を果たし、パスポートにブータン出国スタンプ、インド入国スタンプが必要な人が利用できないという皮肉なバスだ。


カオスのジャイゴンを一気に抜けると茶畑が広がる。


直通バスと思っていたら途中で人を拾ったりしていく。
シッキム、ネパール、ブータンのジャンクションとなるのがシリグリ。
なぜか途中で大通りから外れてシリグリに寄らないで南下していく。
日が暮れてからも夕食タイムやトイレ休憩もなくひたすら走る。
1ヶ月半に及んだカシミール、ラダック、シッキムの旅行を振り返りつつ、
高速道路でもガタガタと揺れるバスの席から車窓を眺める。
夕食を諦めて眠りにつくしかない。

24時前にやっと夕食タイム。
人数チェックせず、乗り遅れた人がいても構わず走り去るバスなので、
他の乗客の近くで豆カレーとチャパティを急いで食べる。
窓口で20時間かかると言われたけれど、実際にはずっと短く、早朝に到着しそうな勢い。
どちらかというと、すぐに宿にチェックインできる遅い午前の時間帯に着く方がいい。


断続的な眠りを繰り返し、
ロンドンからインドネシアのバリまでユーラシア大陸を横断していた2005年、
シリグリから夜行バスで向かって以来12年ぶりのカルカッタに午前8時過ぎに到着した。
安宿街で悪名高いサダルストリートに近いエスプラナードのバススタンドで、
ここからブータン行きのバスが出発していることも分かった。


ブータン行きバス乗り場すぐ隣からエアポートバスも運行されているようだ。
そうそう。
名前が変わってからのコルカタと呼ぶより、昔ながらのカルカッタの方がしっくりくる。
12年経ってもあまり変化したように見えない第一印象のカルカッタ。
チョーロンギー通りをカラフルなインド製のバスや黄色いタクシーが走っている。
ごちゃごちゃした小汚い都会に懐かしさが湧く。


もちろん変化も顕著にある。
建設中の高層ビルが平坦なカルカッタのスカイラインを突き抜けている。



カルカッタでも一際汚かったサダルストリートは多少小綺麗になっていた。
異様な数の路上生活者が減っている。


ただサダルストリートにおいて昔ながら変わらないものの方が多い気がする。
すでに廃止されて消滅したと思っていた人力車が普通に行き来して驚く。
広いインドにおいてタイムスリップした錯覚を抱かせる人力車が走っているのはカルカッタくらいじゃないだろうか。


かつての記憶が次から次へと蘇っていく。
かつてミャンマー経由バンコク行きの航空券を手配してもらった旅行会社はまだある。


昔から旅行者が集まっていたブルースカイカフェはいまだ西欧人で人気があるようだ。


2002年、2005年のカルカッタ滞在時に二度ずつ宿泊したホテル・マリアも健在。
当時でネズミが部屋を走り回るほど汚かった安宿なので現在どうなっているのだろう。
大雨が降ると入り口付近はまだ浸水しそうな感じがする。


そんなホテル・マリアに代わって今回宿泊したのがゴールデンアップル・ブティックホテル。
数年前にオープンしたようで古くて汚いサダルストリートにおいて悪くないホテル。


一風変わったドミトリー、キューブと言われる曇りガラスで個室のように仕切られた空間が一泊600ルピー(1100円)とかなり高い。
エアコン、WiFiは完備されているけれども、パーテーションで天井筒抜けのため隣人の話し声やテレビの音でうるさく、コスパが悪い。


伝説的な安宿街サダルストリートで一泊1000円以上もするドミトリーに泊まるなんてカルカッタも相当物価高になったようだ。
バンコクのカオサンといい、有名になりすぎた安宿街は必然的に人が集まり、
宿代も高くなってきている。

クアラルンプール行きのフライトまで4泊するカルカッタ。
どこに行っても人が多すぎる都会をじっくりと探索する。
野菜やフルーツ、いろんなものを簡素な店で売っているニューマーケット周辺をぶらついているだけで面白い。



10年経っても基本的な部分は変わっていないニューマーケット。
たいして興味が湧かない衣服やが並び、買い物客を乗せた人力車が駆け回っている。



外観が修復されて綺麗になったコロニアル調の建物が目立つチョーロンギー通り。
バイク、車、バスの往来が激しい目抜通りだ。


路地に入ると以前と変わらない軽食屋や屋台、チャイ屋が営業している。
人口が多く、回転率が速いカルカッタだからか、料金は他のインドより安い。


5ルピーのチャイの器は素焼き。
プラスチックや紙コップの容器が増えている中で、飲み終わったら地面に叩きつけて割り、
自然に返す素焼きは資源節約にいい。


川沿いから渡し舟に乗ってハウラー駅側に移動してみる。
喧騒のカルカッタにおいて唯一静かでのんびりと流れるフーグリー川。
巨大なハウラー橋はカルカッタのイコンのようだ。


静寂を乱すようにフェリーが近づき、多くの人々が降り、同時に乗り込んでいく。


わずか5ルピーのフェリーにて涼しい風を浴びながらちょっとしたリバークルーズを満喫する。
巨大なフーグリー川から眺める街並みは新鮮。
さすがにクラクションの喧しさも届かない。


世界一通行客と交通量が多いと言われるハウラー橋手前で渡し舟は停泊する。


川沿いには人々の営みがあり、フーグリー川のガートで沐浴したり、
洗濯をしている人々で溢れている。


風呂代わりに体を洗っている男や歯磨きをする家族までいて見ていて飽きない。


怪物のごとく鎮座するハウラー橋を下から眺め、いよいよ横断してみる。


混雑したハウラー駅を出て左側を進んでいくと橋への道へと合流する。
基本的に駅や橋は撮影禁止なので注意しておく。
さすが世界一と言われるだけあって、車道は車やバス、リキシャーにトラックがひしめき、
歩行者用通路でも巨大な荷物を頭に載せた人々が行き交っている。


カオスと化した橋の上と裏腹に真下を流れるフーグリー川は時間の流れを感じさせることがない。


橋そのものはそう長くなく、すぐに渡りきってしまう。
かつて混雑ぶりに目眩がしたフラワーマーケット。
ごちゃごちゃしているが極端な人数はなく、降りてぶらついてみる。


ぬかるんで小汚い地面で花が売られている。


鮮やかな色彩に惹きつけられ、ネズミ色でモノトーンのカルカッタの街並みと大きなギャップを見せつけてくれる。


橋を渡った東側にもガートがある。
公衆浴場といった感じで体を洗う親子、洗濯する女性たち、
沐浴する老人とインドの縮図を目にできる。



カルカッタのような魔都は歩けば歩くほどいろんな発見がある。
人でごった返し、商人が行き来するバザールに入ると混沌の世界。
人への配慮皆無でぶつかってくる歩行者や商人に苛立ちつつも進んでいく。


イスラム教徒が多い界隈にも足を踏み入れる。
商店街に紛れてモスクがあり、牛肉のビルヤーニなんかを食べられるムスリム食堂も点在する。


カルカッタの路面には線路があり、かつてトラムが走っていたのを懐かしんでいると、
現役のトラムがゆっくりと近づいてきた。
もう廃線かと思っていたらいまだ現役で頑張っているようだ。


面白く刺激のある街だけど、あてもなく歩いているだけで一気に疲労が溜まるカルカッタ。
インド旅行最後の最後でへばらないようにサダルストリートの宿で休憩しつつ町歩きに精を出す。
南側にある大聖堂やビクトリア・メモリアルを訪れてのんびりするのもいい。



また、チベット料理が多かったラダック、食事のパターンが限られてくるヒマラヤ山岳に長くいると美味しいカレーが食べたくなる。
インド滞在も残り少しなのでグルメを満喫。
サダルストリートの近くには2002年から通っていた安くてうまい老舗店がある。


せっかくの低料金なので普段より多めに注文して食べまくる。
フィッシュカレーと大好きなオクラのカレー、ビンディ・マサーラ。
これにチーズ風味のロティと甘いラッシーを加える。


別の日にはボリュームのあるチキン・コルマに緑色のほうれん草のカレー。
日本のインドカレー料理店でお馴染みだけど本場であまり食べられないふわふわのナンも注文。


また、路上の屋台で食べるランチは激安でうまい。
フィッシュ・ターリを50ルピー(90円)でがっつく。


まもなく3年9ヶ月になる世界遊牧住み渡りもインド旅行を終え、
マレーシアに飛べば終わりが見えてくる。
長く滞在すればするほど疲労がたまり、ストレスも多くなるインドだけれども、
まだまだ旅を続けていたいと感じるカルカッタの日々だった。















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