2017年8月12日土曜日

インドのシリグリ、ジャイゴンからブータンのプンツォリンを訪れる(2017年7月10日)

幸せの国、ブータン。
個人旅行が難しく、1日につき200ドルくらいの公定料金を支払う必要があるため、
バックパッカーが気軽に旅できないブータン。
節約旅行者門前払と聞くと余計訪れたくなる。
例外があるとすれば、インド国境と接した町Phuentsholing(プンツォリン)。
インド人とブータン人が自由に行き来できる国境の町であり、
本来なら外国人通過禁止となっているが、ブータン人に似ている日本人であれば訪問できるという。
いわゆる密入国なのでパスポートチェックやスタンプはなし、ビザや公定料金200ドルも不要。
ちょっとしたブータンの味見といった感じでプンツォリンを目指す。
なお、プンツォリンから先はセキュリティが厳しくなりビザなし訪問不可。


まずブータン国境に接したジャイゴンへ。
ガントクから戻ってから再び宿泊したシリグリのShatiホテルのレセプションで尋ねると、
シッキム方面のバススタンドでなく、シリグリ駅に近い西ベンガル州のバスステーションからジャイゴン行きのバスがあるそうだ。
早速バスステーションのチケット窓口を訪れると、
午前8時半にジャイゴン行きのバスがあるようだが予約できないとのこと。
ここ最近予約なしだと席に座れないバスばかりだったので不安になる。
また、旅で常用中のmaps.meのアプリを見ていたらシリグリ駅、シッキム方面のバススタンドの南の方にブータン国境行きのバス乗り場があることが分かった。


バススタンド隣のShatiホテルから歩いて15分ほど。
地図の道路沿いにいくつかのバス会社が並んでおり、その一つがブータン行きとなっていた。
ちょっとボロいバスが停車しており、ちょうど午後2時のブータン側の国境の町プンツォリン行きのチケットを販売していた。
翌日の朝なら午前7時20分発。
予約できるというのでためらわず購入する。
シリグリからプンツォリンまで140ルピー(250円)。


宿をとる予定のインド側のジャイゴンで途中下車も可能だけれども、
せっかくだから一気に国際バス…というには大げさなボロいバスで国境越えしたい。
席も確保でき、翌日のブータン国境行きに備えて雨続きで退屈なシリグリでのんびり過ごす。


朝から雨が強い中、ブータン国境行きバス乗り場へ。
国際バスと思えない普通のバスにブータン人と思われる東アジア系の人が多く座っている。
ブータン人といえば民族衣装を着ているとイメージしていたが、実際は男女ともに普通の服装。
長ズボンに襟付きシャツ、サリーのインド人と違い、半ズボンの女性やハーフパンツの男性に拍子抜けだった。


朝からずっと雨脚が弱まらない中、東へ向かって進んでいく。
シリグリから4時間ちょっとでブータン国境手前のジャイゴンに到着した。
ブータンに接しているとはいえ、ゴミだらけで小汚いジャイゴンに惹かれるものはない。
彫りが深いインド人がジャイゴンの中心地でバスを降りているけれど、自分は席に座り続ける。
ジャイゴンの宿探しのためにここで降りるべきだろうが、バスで一気にブータン入国できた方が面白い。
商店やホテルが並ぶジャイゴンのメイン通りの北側に国境ゲートがある。


多少ドキドキしていたものの、バスはあっさり物々しい国境ゲートを通過。
国境警備員がバスに乗り込んでくることもなかった。
ブータンに入るとジャイゴンのクラクションの嵐やインドで当たり前のカオスが消え、
物静かな落ち着いた街になる。
とりあえず、世界遊牧住み渡り70カ国目、人生148カ国目のブータンに無事入国。
東南アジアの田舎にありそうなバスステーションの建物はブータン風。


バスが停車し、屋根の荷物を下ろす際にインド系の顔つきの男たちがわらわら寄ってきて、なぜか荷物代の10ルピーを請求してきたが無視する。
バスステーションの閑散とした屋内を回っていると、
行きたいけどいけないティンプーやパロ行きのバスチケット売り場が目につく。
噂に聞いていたコルカタ行きの夜行バスも日火木の午後3時発である。
ちょうど明後日が火曜日なので、試しにバックパックを背負ったままブータン密入国し、
成功すればプンツォリンからダイレクトでコルカタに移動したい。


料金645ルピー(1200円)の普通のバスだけあって、
シリグリ発のデラックスバスや寝台バスに劣るだろうけど。


すぐにインドに再入国してジャイゴンで宿探しする前にプンツォリンのバスステーションで昼食。
売店と食堂を兼ねたような店に入ると、民族衣装っぽいスカートをはいた女性がメニューを教えてくれる。
訛りのあるインド英語に比べてあまりにも流暢だったので驚いてしまう。


インドでなかなか食べられれない豚肉を注文。
脂身が多い豚肉は四川料理並みのチリで埋もれている。
ご飯に載っているオクラの炒め物やチリソースも辛く、
タイ料理、インド料理より辛いブータン料理の洗礼を受ける。
それでもパクチーが効いたスープや甘いチャイが痺れた舌を癒してくれた。


ポークライスの料金は160ルピー。
500インドルピー札を渡すと釣りのインドルピーがなかったようでブータン通貨ヌルタムを渡された。
インドルピートのレートは1:1なので分かりやすい。


食後、プンツォリンを探索したいものの、バックパックを宿に置いてからとして軽く下見だけする。
「ブータン・ヒマラヤ王国へようこそ」の標識にテンションが高くなる。


ラダックで毎日のように目の当たりにしたチベット寺院のマニ車もある。
ラダックとブータンでヒマラヤ山脈を東西に挟んでいるけれど、どちらもチベット文化が残っている。


弟を背負って歩いている青年に気が和む。
クラクションがほとんど聞こえないプンツォリンでは人も穏やかなのは
ブータン人が日本人に似ていて愛着が湧くという理由だけでないだろう。


そういえば、道路に敷かれた横断歩道を渡る際に当たり前のように車が止まってくれて困惑してしまった。
道路を歩いて渡ろうものならクラクションを鳴らしながら車が突っ込んでくるインドと別世界。
チベット様式の建物が多く、モダンでなくても洗練された情緒を感じるブータン。


そして、バスで通過した国境ゲートをブータン側から眺める。
ブータン様式の門は車両専用のようで歩行者は脇の小屋を通過するらしい。


最初にノーエントリーのブータン入国口があり、しばらく歩くとブータン出国口。
小屋を通る際に制服を着た警備員がいたが、明らかに旅行者とわかるバックパックを背負っていても何一つ言われなかった。
インドからブータンに入る際も簡単だといいが。


ゲートを抜けると雨で道がぬかるみ、ゴミが散乱して異臭を放つジャイゴンの商店街に入る。
赤子を連れた女性や体が不自由な男性が物乞いとして近づいてくる。


牛が平然と寝そべり、リキシャーのクラクションが相変わらずやかましい。
野良犬と野良牛が仲良くゴミを漁るインドで当たり前の光景に苦笑い。


金網の向こう側に牛はいないし、牛糞もなければ、ゴミも投げ捨てられていなかった。
まさかここまでインドとブータンでギャップがあるとは予想だにしていなかった。

メイン通りにホテルの数が多く困らない。
ジャイゴンの中心にあり、綺麗そうなPrasantホテルにチェックイン。


清潔なシングルで500ルピー、久しぶりに部屋でWiFiも繋がり、
ブータン往来の起点として良さそうだ。



快適な宿でネットサーフィンした翌日。
残念なことにこの日も雨。
デリーからシリグリに移動してから毎日雨で、
しかもザッと降って止む雨でなく、朝から夜までずっと延々と降り続けており、
洗濯物は乾かないし、部屋は湿気くさいし、気分も滅入ってくる。
相変わらず雨模様のジャイゴンからプンツォリンを日帰りで訪れる。
前日すでに徒歩での国境ゲート通過も試しており、
ものの見事に楽勝だったので自信を持って何度も往来できる。


リキシャーやクラクションで喧しいインドの車は国境ゲート前に待機しており、
歩行者用の国境ゲートをブータン人のふりして通過すると、落ち着いたブータンに世界が変わる。
クラクションや交通量だけでなく、人ごみもなくなり、開放感さえ感じるプンツォリン。


インドと真逆なブータンなのにそこまで驚かないのはインド最北部のラダック同様チベット圏だからだろうか。
今回のインド旅行で何度も見かけたタルチョーをここでも見る。
ただ国王、王妃の写真が飾られているのがブータンらしい。


町の中心から少し離れると歩行者をあまり見かけないプンツォリン。
歩道橋から眺める街並みは整然としており、建物のデザインもチベット風でいい。


チベット仏教一色でイスラム教徒も多かったラダックやネパール系やヒンドゥー教徒が多かったシッキムとも別世界。


大きなマニ車がすぐ目につく。
ときどきブータン民族衣装の男女を見かける。
スカートにハイソックスと女学生のような服装な青年がマニ車を回している。


歩道橋が整備され、ゴミが落ちてなければ人ごみもない落ち着いた中心街をぶらつく。


インドと東南アジアがグラデーション的に変化していくミャンマーみたいに、
プンツォリンでも東アジア系の顔つきに混じってインド系の顔つきも目にする。
東アジアとインドのハーフなのか、ネパール系なのか、
エキゾチックで美形の女性も目立つ。
また、インドやネパール、バングラデッシュからの出稼ぎ労働者のような男どもも多い。
ブータン人の女性の服装が短パンやスカートだったりして、
サリーやジーンズばかりのインドから来るとついつい目で追いかけてしまう。


酒場が異様に多いのもブータンならではか。
なかなか人目につくとこで酒を買ったり、酒を飲めないインドと異なり、
あちこちで普通にビールやワイン、リキュールが売られている。
値段はインドの半額くらいと安い。


650mlの瓶で70ルピー(120円)と安いビールを昼間から飲んでしまう。


食堂や酒場、商店のあちこちに飾られている美男美女の国王夫妻を眺めながらビールを飲むのも悪くない。


小さな町プンツォリンじゃ1時間も歩けば見回ってしまうものの、
せっかくのブータン日帰り旅行なのでいろいろ見て回る。
国境ゲート近くにチベット寺院があり、きめ細かい装飾を見入る。


巨大なマニ車をゆっくり回すおじさんもいた。


重そうにマニ車を回しているのを見ていると腹が減ってきたのでランチタイム。
ブータン料理を期待して入ってみた食堂でビーフを頼んでみる。
実際に出てきたのはビーフカレー。
ブータンまで来てカレーとちょっと失望したが、
インドで食べてきたカレーと味付けも違って旨かった。
汗で眼鏡が曇るほどチリがきいて辛かったけれども。



午後、タルチョーがかかったのんびりとした土手を歩いたりしてプンツォリンを去る。
インドにない静けさに後ろ髪引かれるがまた夜ブータン料理を食べにくればいい。


国境ゲートに近づくと、国境と呼ぶには軽率なフェンスの向こうに小汚いインドの建物が見える。


昨日同様、インド人、ブータン人と一緒にインド側へ。
ブータン出国に関してもチェックなしで拍子抜けする国境越え。


わずか数秒でブータンからインドに戻ると、
先ほどまで皆無だった騒音と汚さ、人の多さ、カオスの光景にため息交じりで笑うしかなかった。
野良牛も人をあざ笑うかのようにマイペース。




日が暮れてから再びブータン国境越えをし、豚足スープのブータン料理と安いビールで最後の晩餐となった。



今回のインド旅行の最終目的地である12年ぶりのカルカッタ、
現在のコルカタには明日再び徒歩でブータンに入り、プンツォリンからの直通夜行バスで向かいたい。










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