すぐバンコクには戻らず、
パーイ、メーホンソンに寄ってみる。
チェンマイからパーイまではミニバンで3時間ほど。
10人ほどの乗客のうち自分以外は皆中国人観光客で、
チェンマイ同様にパーイも中国人のブームだと容易に想像できる。
エアコンが効いたミニバンではいつものように寝入ってしまう。
ミニバンは曲がりくねった山道を進むので、
何度も窓に側頭部をぶつけた。
小さなパーイの町に到着。
ミニバンはAYAサービスという旅行会社の前で停まる。
AYAサービスではモーターバイクのレンタルを行っており、
また、英語よりも中国語表記が優先だけあって、
中国人観光客の溜まり場となっているようだ。
ミニカオサンなどと呼ばれるパーイではむろん西欧人バックパッカーが多いが、
それ以上に中国人の個人旅行者ばかりで驚く。
ラオスのバンビエンのようなバックパッカー街の雰囲気は薄い。
かわりに前に見たようなどこかの観光地の雰囲気が漂っている。
思い返してみると、
バックパッカーの聖地を期待して失望した中国の大理に似ている。
大理ほど観光地化されていないが、
少数民族のアクセサリーが露店で売られていたり、
シェイクの屋台がある。
バックパッカーの聖地とは裏腹に洒落たカフェや雑貨屋も見かけた。
なお、ネットで調べたところ、
かつてのパーイはことの良し悪しを含めてバックパッカーの聖地だったらしいが、
近年はタイ映画のロケ地になってタイ人の観光客が増え、
さらにチェンマイと同じく中国映画の舞台になったようで
中国人個人旅行者が急増したそうだ。
どんな秘境でも観光客が増えると、
自然と土産屋や高めのカフェが増え、
どこでも見るような俗な観光地になってしまうから残念である。
とはいえ、パーイはチェンマイに比べると、
のんびり過ぎる田舎で、
バイクが通るだけの閑散としたメインの通りや
バンガローが点在する川辺は眠気を誘う。
数日間ゆったりと過ごすには良さそうな町である。
しかし、パーイには1泊だけして、
着いた翌日にはメーホンソンに向かうことになる。
パーイでは小さなバス駐車場前のとあるゲストハウスに泊まった。
古い木造のゲストハウスの2階建ての部屋で、見た目は清潔。
観光地のパーイで200バーツ(600円)と安かった。
午後部屋で休んでいると、
枕元をゆっくりと徘徊する黒い虫を発見してしまった。
疑う余地もなく南京虫。
これまで7ヶ月近い住み渡りでは初めて見るが、
前回の世界周遊中に3度被害にあった史上最悪の害虫である。
以前、エチオピア、クロアチア、ムンバイで南京虫にやられたときは
痒さが一週間以上続き、
おぞましい刺された跡は数ヶ月消えなかった。
すぐに潰すと、赤い血がシーツにべっとりとついた。
まだ刺された症状はないので前の宿泊客が被害にあったのかもしれない。
レセプションに言ってすぐに部屋を変えてもらう。
新しい部屋も見た目は清潔だが、
シーツをはがしてマットレスの裏側を見たりした。
とりあえず血痕などは見当たらないのでこの部屋に荷物を移す。
すぐ南京虫の存在に気づき、部屋を変えてもらったので、
安眠がとれると思ったのも束の間、
パーイのナイトマーケットを見て歩き、
夜遅く部屋で寛いでいると、
いきなり足首に痒みが…。
蚊に刺されたような水膨れが足首に3つ点在していた。
しかも、シーツの上にはまさに今刺したと思われる南京虫の幼虫がいて、
潰すと血が広がった。
遅い時間でレセプションは閉まっており、
再び部屋を変えることはできず。
電気を消すと次々と現れる体験があるので、
電気はつけたまま徹夜で戦うしかない。
ベッドで体育座りをしていると、
電気をつけているのに体臭に誘われてか、
ちょこちょこと現れてくる。
現れてはまだ吸血されないうちに潰すので被害は広がらないが、
気が滅入ってくる。
黒ずんだ大きな成虫から茶色い小さな幼虫を午前3時まで10匹以上は潰した。
さすがに3時を過ぎると戦う気力も失せて眠ってしまった。
不幸中の幸いにも南京虫の存在に早めに気がつき、
奴らが嫌がる電気をつけたまま眠ったので、
刺されたのは腕に4つと足首3つで済んだと思う。
以前のエチオピアやクロアチアでは
夜中猛烈な痒みに襲われてから南京虫の存在に気づいたので、
何十ヶ所も刺されてひどかった。
今回は早い段階で奴らを発見でき、被害は最小限に抑えられた。
翌朝は宿を変えてまでパーイに滞在する気にもなれず、
ゲストハウス目の前のバス駐車場に行き、
8時半のメーホンソン行きのミニバンチケットを購入する。
再び曲がりくねった山道を3時間、
メーホンソンまで向かう。
ミニバンでは爆睡だったのは言うまでもない。
メーホンソンでは手持ちのロンリープラネットに載っている
フレンドゲストハウスに宿泊する。
ちょうど改装が終わったのか、
部屋はペンキ臭かったが、
塗り立てのペンキの部屋はむしろ心地よい。
マットレスだけの部屋なのに、
パーイのゲストハウスよりずっとよく感じられる。
バスルームでは猛烈に熱いお湯が出るので、
念のために昨日までの衣服やリュックを熱湯で洗濯した。
かつて南京虫が衣服に寄生したのか、
痒みが数日続くことがあったからである。
奴らは高温に弱いとのことだった。
パーイから一転、
メーホンソンには旅行者がいない。
ミャンマーとの国境が近いので、
タイ人以外の外国人はいるだろう。
しかし、チェンマイ、パーイで溢れていた西欧人や中国人の旅行者を街中で見ることはなかった。
1日メーホンソンで過ごして見かけたのは、
ゲストハウス近くにあるミャンマー風パゴタが美しい小さな湖のほとりで
ビールを飲んでいたドイツ人のカップルと
丘の上のパゴタで写真を撮っていたフランス人のカップルのみだった。
メーホンソンはそれなりに知名度が高い観光地と思っていたものの、
旅行者が全然いないタイの田舎町に新鮮味を覚えた。
ただ、メーホンソンが普通のタイの町と異なるのは、
ミャンマーにあまりにも近く、
タイ辺境の空気を漂わせているからかもしれない。
日中は暑いので夕暮れ時に丘の上に登り、
ミャンマー風のパゴダと西の山々、ミャンマーの国境に沈む夕日を眺めた。
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3 件のコメント:
はじめまして。突然のコメント失礼します。
これからパーイに向かうのですが、もしよろしければ南京虫が出た宿の名前を教えて頂けないですか?
Kitajimaさん、コメントありがとうございます。
パーイのバスステーションの斜め向かいにあるDuang Guest Houseで南京虫の被害に遭いました。
旅行者が多いパーイなのに、自分が滞在したときには他の旅行者が宿泊している様子がなかったです。
最初に案内された部屋もその次の部屋も木造で、かなりの数の南京虫が住んでそうです…
さっそくご返信いただきありがとうございます!
他に宿泊者がいないということは、南京虫がでることで有名だったりするんですかね…!
宿探しの参考にさせていただきますー!ありがとうございました!
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