5月8日ですでに10日目となってしまった。
シェムリアップで会った旅行者に再会して深夜まで飲んだり、
日本から訪れた友人と夜の繁華街で飲み歩いたりして充実した日々が過ぎていく。
ゴールデンウィークが終了し、
5月6日に友人が日本に帰ってからは久々に1人になる。
彼と最後の昼食を終え、
オープンバーで雨の中を人々が行き来する光景を眺めながらビールを飲んだ。
友人と別れると、炭酸が抜けたビールのような虚無感に襲われた。
バンコク到着早々の一週間、
ノンストップでさまざまな人々と会い、酒を飲み交わしていたからだろう。
今回のバンコク滞在で、初めて1人になったとも実感した。
バンコクを訪れるたびに何度も会っているタイ人の友人とは
まだ再会できていないほど忙しかった。
早めに起きて5年ぶりにバンコクの街歩きをする。
早めに起床とは言っても、毎日午前3〜5時に眠りにつくバンコクでは時差がある。
普段よりは早い11時に起きると、暑すぎる快晴だった。
カオサンはアクセスが悪い、とよく言われている。
確かにバンコク市街の西側にあるカオサン周辺には
BTSスカイトレインや地下鉄は走っていなく、
街中のサヤームやスクンビットにはタクシーで向かう西洋人が多い気がする。
唯一、カオサンから観光名所の王宮や寺に歩いていけることを除けば、
場所としてのメリットは少なそうだ。
でも、カオサン近くの運河を走る水上バスや市バスを利用すれば、
バンコク中どこでも安く行ける便利な場所だと自分勝手に解釈している。
カオサン通りから出てすぐの民主記念塔近くのバス停から
79番、2番、511番のバスに乗れば伊勢丹があるセントラルワールドに行けるし、
2番と511番は乗り換えなしにスクンビット通りを進むので使い勝手がいい。
エアコン付バスであれば13〜15バーツ(約40円)、
エアコンなしのバスであればどういう理由か今現在無料なので、
BTSスカイトレインよりはるかに安い。
他にもカオサンから戦勝記念塔やウィークエンドマーケット、
シローム通りへの直行バスもあるので便利だと思う。
カオサン通り西側の商店街近くのバス停からは
フアランポーン駅や北バスターミナルにも行ける。
ただし、いつ来るか分からないバスに30分以上待たされたり、
渋滞にはまってセントラルワールドからカオサンに戻るのに1時間以上かかったりと、
時間を持て余す旅行者や忍耐強いタイ人にしか向かない気もするけれども…。
自分は1時間以上かかるバスでは物思いにふけたり、ネットラジオを聞いたり、
ひたすら居眠りをして過ごしている。
2002年以来ずっと常用しているカオサンからの市バス。
路線ルートもバスの番号もほぼ変わっていない。
残念なのは、デモの影響か民主記念塔の東側が通れないために大きく迂回したり、
日によってバスの便数が少ないこと。
また、ラッシュアワー時のバスで席を確保できずにずっと立っているのもつらい。
カオサンからの市バスを利用すればサヤームやスクンビットにすぐに行けるので、
バスに乗らずに歩くことはまずない。
カオサンから歩いていける範囲にあるのは一度観光すれば十分な王宮や寺くらいだろう。
それでもあえて、歩いてみる。
目指すはフアランポーン駅。
距離にして4キロ弱。
フアランポーン駅がカオサンからの最寄りの地下鉄駅となるだろう。
やはり多くの人が言うように、
市バスを使わなければカオサンへのアクセスは悪いのかもしれない。
カオサン通りを出て南下していくと、
西欧人だらけのカオサン周辺から一転してのんびりした庶民の街に入る。
コンビニの前にどうどうと構えている屋台がバンコクらしくていい。
すでに正午を過ぎているので、朝食とも昼食ともいえる食事を安食堂でとる。
値上がりし続けるバックパッカー街からちょっと離れるだけで、
35バーツ(100円)のおかず2品ぶっかけご飯が食べられる。
晴れていると当然暑いが、灰色の雨模様よりはずっといい。
エアコン付きのバスでモダンなショッピングモールにすぐに行けるバンコクだからこそ
汗をかきながら蒸し暑い庶民の街を歩いて見て回りたい気もする。
ひたすら南に向かって歩いていくと、
オールドサヤームプラザという昔からある庶民の憩いのショッピングセンターに着く。
タイの甘いデザートや衣服、アクセサリーを売っていたり、
上階には昼間からおじさんがカラオケを歌うフードコートがあったりする。
銃を扱っている店まである。
この近辺の下町雰囲気は2002年、2003、2004、2005、2007、2009と
バンコクを訪れるたびに立ち寄っているがまったく変わっていない。
上階からはすぐ近くのインド人街のシーク教寺院が眺められる。
バンコクにはインド系の人々が多いらしく、
カオサンでもオーダーメイドのスーツの仕立て屋やインド料理店で働いている。
バンコクで一番高いビル、バイヨークスカイタワー周辺やスクンビット通りの路地でも
インド系の商人が多いホテルやインド料理店が集まる界隈を見かける。
カオサンから歩いて1時間、中華街近くには正真正銘のインド人街が昔からある。
狭い路地にこぢんまりと佇んでいるので、普通に歩いていると素通りしそう。
黄金ドームのシーク教寺院が目印で、
隣のインドエンポリアムという小綺麗なモールの脇道と、
道路を渡ったインドエンポリアム向かいの路地にバンコクのインド人街がある。
インドのお香やアクセサリー、安食堂が並び、
個人的にはかなりディープなインドの雰囲気を感じた。
アジア最大のインド人街かもしれないシンガポールのリトルインディアや
ヨーロッパ最大のインド人街に違いないロンドンのサウソールに比べると、
あまりにも規模が小さい。
それでも、洗練されてはいない地元インドの庶民的な臭いが鼻孔をつく。
薄暗い路地ではおじさんがチャパティをこねており、
カルカッタのサダルストリートにありそうな安食堂があって懐かしい。
タイでは時間に関係なく食べたい時に食べる習慣があるようなので、
早いが庶民的な食堂でポテトとカリフラワーが入ったアルーゴビという野菜カレーと
チャパティ、インドの甘いミルクティーであるチャイを頼む。
海外のインド料理店では一般的にナンが出てくるが、
安食堂ではナンではなくチャパティなのが本場のインドっぽくていい。
炎天下のバンコク。
それでもインド人街から中華街にかけては日陰ばかりで汗はかかない。
インド人街あたりからはアクセサリーや衣服、おもちゃ、
雑貨、日用品などが売られるアーケード街に入る。
狭い通りを行き来する人が尋常ではない。
また、中華街へと続く下町アーケードの雰囲気は
日本を発つ直前に訪れた大阪の庶民的なアーケード街を想わせた。
このアーケード街もバンコクを訪れるたびに毎回立ち寄っており、
買うものもがないのに意味もなく、儀式のように通過したりした。
アーケード街に並行して延びているのがバンコクの中華街のメイン通りヤワラー。
中華門があり、土産物屋が多い世界中の俗なチャイナタウンとは異なり、
金を売る店やフカヒレ料理店が連なる機能的な中華街のようだ。
路地の市場に入ると、北京ダックがぶら下がっていたりして
インドカレーを食べてまもないのに食欲をそそられる。
不思議と中華街では既視感があった。
今までも何度も訪れたので見たことがあるのは当然だが、
今回の住み渡りにおいてどこかで見たような感覚…。
そういえば、香港の路上市場に似ている。
バンコクの中華街ヤワラーは観光地のチャイナタウンや、
土産屋ばかりの中国本国の繁華街とは違って、
香港の庶民的な市場の喧噪を漂わせていた。
喧噪の中華街から出ると、再び庶民的なバンコクの通りになる。
バンコクのインド料理や中華料理は美味しいが、
やはり路上のタイ料理に勝るものはなさそうだ。
正午にカオサンを出てから休みつつ、のんびりと歩いて廻ったからか、
すでに西日が強くなっている。
昔ながらの運河を渡ると、街歩きの終点のフアランポーン駅が見えた。
6時前。
フアランポーン駅から多くの旅行者は列車でチェンマイを目指し、
歩き疲れた自分はフアランポーンMRT駅から地下鉄でモダンなバンコク中心に向かう。
不便と言う人は多いけれども、
カオサンや中華街周辺に地下鉄やBTSスカイトレインが開通されないのは悪くない。
徒歩でしか廻れない下町もバンコクの魅力だと思う。
多くの人々が椅子や床でのんびりと列車を待つフアランポーン駅で
18時数秒前になると皆がゆっくりと立ち上がり、
タイ国歌が流れる中、駅構内の全員が立ち止まっていた。
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