居心地よかった5週間のモロッコ滞在が終わり、アフリカ大陸最北端の国チュニジアへ飛ぶ。
未知なるチュニジアを11日かけてちょこっと周遊する予定。
元フランスの植民地でアラブ語圏なので、モロッコの二番煎じのような国と想像していたけれども、
明らかにモロッコともエジプトとも異なる独特な北アフリカの国だった。
カサブランカにて無事にメリカビザを取得でき、
7年半ぶりのフェズの再訪で快適なモロッコ周遊を締めくくる。
相変わらず観光客目当てに金をせびろうとする連中が多いフェズだが、
アフリカ最大級の迷路をあてもなくぶらついているだけで楽しかった。
3日間フェズで有意義な時間を過ごしてから、
チュニス行きのフライト前日にカサブランカに戻る。
トドラ渓谷のティネリールから夜行バスで到着したカサブランカ。
アメリカビザ申請においての面接待ち日数をつぶすのにアルジャディーダを訪れてから戻り、
アメリカ領事館で面接を終えてからパスポート受け取りまで一週間以上かかるのでアルホセイマ、
シャウエンを訪れてから再び戻り、
最後にアメリカ領事館指定のARAMEXオフィスでアメリカビザシールが貼られたパスポートを受け取って、
フェズ滞在後に戻ってきたカサブランカ。
突然のアメリカのビザ免除プログラム改定によりアメリカビザ取得手続きを強いられてしまい、
カサブランカを起点としたモロッコ滞在となってしまった。
2月15日、ついにモロッコを去る。
アメリカビザが取得できたことによりすでに購入済みのベネチア〜ニューヨーク、ニューヨーク〜パナマ、
ロサンゼルス〜東京の14万円強の航空券代が無駄にならなくて一安心。
もともとESTA登録だけで入国可能だったアメリカだけに、
ビザ取得で大喜びというより安堵の気持ちが大きい。
1泊150ディルハム(1800円)と高いが快適だったHotel Du Palaisを午前8時にチェックアウトし、
空港行きの列車に乗るべくカサポール駅まで歩く。
カサポール駅から空港まで2等で43ディルハム(500円)。
カサボワヤージュ駅を経由して1時間近くかかる。
13時10分発のモロッコ航空チュニス行きのフライトのチェックインをちょうど3時間前の10時にカウンターで行なってバックパックを預けたが、
カサブランカ空港の混み具合、手続きの悪さは最悪の類だった。
ボーディングパスを受け取り出発口に向かうと、
トランジットルームへのセキュリティーチェックが恐ろしいほどの長列で、
セキュリティーチェック後の出国イミグレ手続きも遅すぎる。
搭乗時間が迫っている人が横入りしてきたり、意味もないストレスに苛まれてくる。
結局パスポートにモロッコ出国スタンプが押されるまで1時間以上かかってしまった。
空港に遅めに着いた人はフライトに乗り遅れてもおかしくない。
また使い残したモロッコ通貨ディルハムを免税店やフードコートで使い切ろうと思っていたのに、
トランジットルームで利用できるのはユーロのみ。
インフォメーションで尋ねても両替所がないと言われ、
クレジットカードで免税店のアルコールを買う気にもなれず食事も機内食まで我慢。
何よりも余った120ディルハムをユーロやドルに再両替できず、
紙切れになってしまうのが惜しい。
その後も搭乗ゲートオープンが遅かったり、
飛行機までのシャトルバスを降りてから風が強いタラップでなぜか再びパスポートとボーディングパスのチェックがあり乗客が苛立ったりと、
幸先の悪いフライトとなった。
さらに実際の離陸は50分遅れ、フライト中は何度も乱気流で揺れてこのまま墜落するのではないかと思ったりした。
機内食を食べ終わったらすぐに着陸態勢に入る2時間半のフライト。
同じアラビア語とフランス語を喋り、見た目に際がないモロッコ人とチュニジア人。
空港に降り立ってもあまり新しい国にたどり着いたという感慨はない。
入国審査もいたって簡単で、カサブランカ空港の手際の悪さと雲泥の差。
ターンテーブルですぐにバックパックを見つけてピックアップし、
アライバルホールのATMでもすぐにチュニジア通貨ティナールを降ろせた。
やはりチュニジア国内でモロッコ通貨ディルハムは両替できないとのことだった。
悪名高いアライバルホールからでなく、上階の出発ホールから出てタクシーを拾う。
それでもメーターを使ってくれなく、20ディナール(1200円)とふっかけてきたのを交渉し、
12ディナール(700)で旧市街メディナのカスバ広場へ。
12ディナールでも後々考えるとぼったくり料金だ。
チュニスは調べても安宿が少なく、
メディナのカスバ広場近くのユースホステルのドミトリーで20ディルハム(1200円)。
そこそこのスピードのWiFiがあり、パンとコーヒーだけの朝食がついている。
開放感のあるパティオの周りに部屋が配置されているのだが、
小汚いドミトリーのベッドでは南京虫を見かけてげんなり。
マットレスでなく、古い木製のベッドに潜んでいるのかもしれない。
不幸中の幸いにも噛まれるなどの被害ななかったとはいえ、
1200円払って南京虫が出るとは最低のユースホステルである。
チュニスとモロッコの違いをすぐに実感する。
まったくと言っていいほど観光客、外国人を見かけない。
町を歩いていてモロッコのようにフランス人やスペイン人の若者、
西欧人やアジア人のツアー客、アジア系の個人旅行者はおろか、
金髪の欧米人も目につかない。
唯一目にした外国人はユースホステルに泊まっているアメリカ人と香港人の2人だけ。
2010年、2011年のジャスミン革命、アラブの春の影響によりいまだ観光客が来ないのかもしれない。
モロッコのマラケシュやエッサウィラ、シャウエン、フェズのメディナに馴れてしまうとあまり魅力的に感じられないチュニスのメディナ。
それでもローカル色が濃い石畳のメディナは独特の雰囲気があり、
アーケードのように天井が覆われているため薄暗い。
夕方以降ほとんどの店がシャッターを下ろして人気がなくなり、
薄暗い街灯の中歩き回るのは怖いくらいである。
自分が想像していたチュニジアの青と白がメディナ内でも見受けられる。
またモロッコではカサブランカの場末の薄暗いシーシャバーでしか見かけなかったみずタバコをチュニジア人はいたるところで吸っている。
カフェはもちろん、路上に置いてシーシャを吸っていたりするのがチュニジアらしい。
新市街は小奇麗でモロッコ以上にフランス植民地時代の影響を感じる。
カフェが並ぶ大通りはパリにありそうだ。
モダンなトラムが走っていたりと、北アフリカというよりヨーロッパに近い。
さすがアフリカ最北端の国だけはある。
道行く人もモロッコ人のおっさんのようにジェルバを羽織っていることはなく、
またスカーフを巻いていない女性が目立つ気がする。
ただ、デモが頻発しているからか警官が多かったり、
有刺鉄線に囲まれたフランス大使館があったりと歩き回っていてテンションが上がる首都ではない。
チュニジア料理も独特。
フランス語で書かれたメニューを見せられ、
美味しいけど単調なタジンばかりのモロッコからやって来ると、
アラビア語のメニューで何を注文したらいいか分からない。
おじさんが丼飯みたいなものを食べていたので指差してみる。
すると店員がいきなりパンをちぎり始め、どんぶりに入れてくれる。
その後、どんぶりにオリーブオイル、豆スープ、辛子のような赤いペースト、
温泉卵を落としてくれる。
これをふたつのスプーンで混ぜてから食べると教えてくれた。
ご飯の代わりにパンを使ったビビンバのようなチュニジア国民食ラブラビ。
ぐちゃぐちゃに混ぜた後の見た目とは裏腹に美味くてくせになる。
1どんぶり2.5ディナール(150円)。
またスパゲティがあったので頼んでみると、
チキン入りのナポリタンスパゲティが大量に出てきて苦笑い。
胃が破裂しないばかりに食べ続けたナポリタンが5ディナール(300円)。
そして、特に美味かったのがオジャと呼ばれる煮込み。
ソーセージと卵2個をトマトとチリで煮込み、タマネギやパセリをかけたものは絶品だった。
たらふく食べて4.5ディナール(270円)のオジャにチュニジアの食のレベルはモロッコより上かもしれないと思った。
ナンのようなものでチキンチーズカツを包んだサンドイッチを食べたときもそう実感。
ただし何を食べても辛いのがチュニジア料理なのだろうか。
チュニス街歩きは1日で十分なので近郊の町シディブサイドを訪れる。
前に雑誌かなんかの写真で見たのだが、
ギリシャの島と見間違えるほど青と白で眩しい街並だった。
チュニス新市街東のチュニス•マリン駅からTGMラインで30分ほど。
15くらいの駅に停車した後シディブサイド駅に到着する。
どことなく江ノ島と湘南を結ぶ路線を思い出させてくれる。
なかなか陽光が出ないけれども閑静で観光客がまったくいないシディブサイドの街歩き。
確かに白い壁に青いドアや窓枠がアクセントとなっていて魅力的な町並み。
白に照り映えるブーゲンビリアのピンク色も明るく、
まるでギリシャの島のようでもある。
ただ、日の差し込む時間が短くて若干肌寒いからか、
あるいはギリシャのサントリーニ島やモロッコのシャウエンでより青が美しい世界を見馴れてしまったからか、思っていたほど高揚感はない。
坂を下って行くとマリーナが見渡せ、
やがて閑散としたビーチにたどりつく。
青い空が広がっていればより素晴らしい地中海のはずだ。
マリーナから再び山道を登り、地中海を一望できる見晴し台へ。
オフシーズンでも十分に絶景の地中海。
高台にはシディブサイドの青と白の町が広がっており、
若干サントリーニ島を想起させてくれる。
お金持ちが住んでいそうな邸宅が白く眩しい。
門や窓枠に使われている濃厚なマリンブルーをチュニジアブルーと呼ぶのかもしれない。
それにしても、たまにローカルな人を見かけるだけで、
外国人はおろか観光客もいなく、青と白の路地はひっそりと佇んでいる。
最後に猫に挨拶をしてお別れのシディブサイド。
モルディブで誕生日を迎えて昨年と違い、
今年はチュニジアのカイルアン、スース、ジェルバ島を周遊しながら誕生日を過ごすことになりそうだ。
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