もともと日本人であればビザ免除プログラム(VWP)によりオンラインでESTA取得後に渡米できるのだが、
2016年1月21日に突然ビザ免除プログラムの法律改正になり、
2011年以降シリア、スーダン、イラク、イランへの渡航歴がある場合、
VWPを利用してのアメリカ入国ができなくなってしまった。
知り合いが在日本アメリカ大使館のオペレーターに問い合わせてくれた情報によると、
たとえ登録済みのESTAの有効期限が残っていてもアメリカのビザを取得しないと入国できないそうだ。
今回の世界周遊中にイラン旅行を堪能した自分はまさに運悪くビザ免除の対象外となる。
昨年の時点ですでにイタリアのベネチアからニューヨーク行きの航空券を予約しており、
また一時帰国用として9月後半のロサンゼルスから東京行きの航空券も購入済みなので変更出来ない。
3月14日にベネチアからイスタンブール経由でニューヨークに飛ぶまで訪れる国はモロッコ、
チュニジア、マルタ、イタリア。
モロッコ以外の国々での滞在は一週間ちょっと、
アメリカ大使館や領事館でビザを申請するチャンスは長居しているモロッコしかない。
いろいろネットで情報を調べ、モロッコのアメリカ領事館があるカサブランカでアメリカビザ取得に挑戦する。
いわゆるアメリカに敵視されているイランを訪れたために取得必須となったアメリカビザ。
それは昨年の中央アジア諸国のビザ取得耐久戦と比べものにならないほど面倒なものだった。
ロンドンからマラケシュに到着し、
のんびりとエッサウィラ、マラケシュ、ワルザザート、ザゴラを廻り、
再びワルザザートに戻った1月22日にビザ免除プログラム改正について知る。
とりあえず、予定どおりティネリールに移動し、
ティネリールに近いトドラ渓谷にある快適な日本人宿、
典子さん経営のMaison D'hote la Fleurにてアメリカビザ申請方法など調べる。
カサブランカのアメリカ領事館のウェブサイトを見ると、ビザ取得まで一週間以上かかるそうなので、
ティネリールの次に向かう予定だったメルズーガ、サハラ砂漠は断念して一気にカサブランカ行きにプランを変更する。
サハラ砂漠は2008年に訪れているし、何よりアメリカに行けるかどうかも分からない心境で砂漠を楽しんでいられない。
典子さんのMaison D'hote la Fleurは居心地よく、毎晩和食が出て嬉しかった。
チキンカツやカレーはもちろん、
東京1人暮らしにおいても口にしなかった数年ぶりのみそ汁やホウレンソウのおひたしも家庭の味がして懐かしさがこみ上げる。
さすがに2年3ヶ月以上日本を離れていると和食が恋しくなる。
日本人宿なのに初日の宿泊者は自分1人。
2日目、3日目はビシュケクのサクラゲストハウスで出会い、
ギリシャのメテオラ、アテネ、サントリーニ島で再会したコウスケ君とまたまた再会を果たし、
これまでの旅程や今後の旅程などいろいろ話し合ったりした。
典子さん、コウスケ君と3人でティネリールのスークを訪れたり、
タジキスタンのパミール高原のように絶景のトドラ渓谷を見て廻った。
モロッコを周遊してからモーリタニアへ向かうコウスケ君、
3泊4日お世話になった典子さんと別れ、
夜行バスでティネリールからカサブランカへ移動する。
2週間かけてまったり滞在したワルザザート、マラケシュに深夜停車し、
早朝にはすでにカサブランカ到着。
静かなトドラ渓谷の村から来ると人口400万人以上のカサブランカは大都会。
久しぶりの都会の喧噪と身なりの良い服装で闊歩しているカサブランカ人に
この町で難関のアメリカビザを申請しなければならない不安と憂鬱に重たくなる。
カサブランカの宿は降り立ったCTMバスステーションから徒歩圏内のHotel Du Palais。
モロッコの地方都市であまり見かけない酒場やシーシャバーが多い界隈にある。
カサブランカ新市街で安宿の部類だがシャワー共同で150ディルハム(1800円)。
マラケシュやワルザザートの快適なシングルルームが60ディルハムだったのでコスパが悪すぎる。
カサブランカでのアメリカビザ申請手順は下記のとおり。
① 非移民ビザ申請書DS-160のフォームのウェブサイト
(CEAC)https://ceac.state.gov/ceac/にアクセスし、
ひたすら続く英文の質問の返答をすべて入力して申請フォームを完了させる
※観光の場合、ビザの種類はB2となる
② アメリカビザ申請のCGIウェブサイト www.ustraveldocs.comより自分のアカウントを作り、
プロフィールを作成し、必要事項を入力していく
※途中で求められるCEAC申請番号は①で発行されるもの
③ CGIウェブサイト www.ustraveldocs.comの入力手続きを進め、
モロッコの指定銀行BMCIでの払込書をプリントアウトする
また、パスポートとビザ受領時のARAMEXオフィスをカサブランカかラバトから選ぶ
④ 払込書をBMCIに持って行き、
ビザ取得の有無にかかわらず返金不可の160ドル分の1600ディルハム(2万円)を支払う
⑤ 支払日の翌日入金確認メールが届いたらCGIウェブサイトにアクセスし、面接日を予約する
⑥ 予約した面接日に必要書類を持ってアメリカ領事館に向かう
※必要書類
↓
•パスポート
•5㎝×5㎝の写真
•CEAC確認画面のプリントアウト
•面接予約確認画面のプリントアウト
•ビザ代払い込み後のレシート
•以前のアメリカビザがあるならそのパスポート
•面接時に役立つと思われる書類
カサブランカのアメリカ領事館の住所:8 Boulevard Moulay Youssef Casablanca
電話番号:212-522-64-2000
⑦ 面接の一週間後に指定のARAMAXでパスポートを受け取る
※モロッコのアメリカ大使館のウェブサイト
http://morocco.usembassy.gov/visas/nonimmigrant-visas.html
に詳細が記載されている
①〜③について。
①の非移民ビザ申請書DS-160のフォーム(CEAC)https://ceac.state.gov/ceac/ではとにかく細かい質問が英文でひたすら続く。
20分ごとのインターバルで入力を続行するか表示され、また途中で保存も可能なので休憩することも可能。
質問事項はお決まりのパスポート情報、個人情報に加え、アメリカ滞在期間や宿泊場所、
以前の職場の住所や上司の名前、以前のアメリカ滞在期間、過去5年間の訪問国など多岐に渡り、
入力完了まで1時間はかかった。
一度入力完了して提出すると変更が難しいので要注意。
またデジカメ証明写真をオンライン上でサイズを編集してアップロードしなければならない。
すべて入力すると画面にバーコード付きのCEAC確認画面が表示されるので、
プリントアウトする。
プリントは近場のネットカフェで。
次に②のCGIウェブサイト www.ustraveldocs.comに移り、
アメリカビザを申請する場所「モロッコ」を選択し、
メアドとパスワードを入力して新規アカウントを作成する。
①と相違のないようにプロフィールを作成していく。
中断してもメアドとパスワードでログインして続行できる。
③の銀行払込書プリントアウトまで終えると、最速の面接日がCGIウェブサイトで見れるようになるけれども、実際に面接日を決定するのは入金確認後となる。
①〜③はトドラ渓谷の宿で終えていたので、
④の銀行で払い込みをカサブランカ到着時の1月27日(水)に行なう。
申請料金というより面接代の160ドル。
ビザ免除であれば無料なのに、イラン渡航歴があるだけで2万円というのはひどい仕打ちだ。
しかもビザが降りなくても返金不可なのでぼったくりにもほどがある。
CGIウェブサイトで表示される払込書をプリントアウトし、近場のBMCIで払い込みをする。
BMCIの銀行はカサブランカを歩いているとあちこちで見かける。
銀行窓口で1600ディルハム払い込み後に渡されるレシートは大使館に持って行く際に必要なので大事に保管する。
翌日の早朝に早速入金確認のメールが届いており、⑤の面接予約を行なう。
自分の場合、1月27日(水)午前中に払い込みを終え、1月28日(木)にメールが届き、
CGIウェブサイトで確認すると週末を挟んで翌週の月曜日2月1日から面接予約できた。
時期や予約人数により面接日まで数日待たなければならないこともありそうだ。
面接予約画面もプリントアウト必須。
航空券のEチケットのようにスマホ画面で見せるというわけにはいかない。
他の書類も含めてまとめてネットカフェでプリントアウトするのがいいかもしれない。
尚、面接に備えて世界周遊の旅程表を作成し、
ベネチアからニューヨーク行き、ニューヨークからパナマ行き、ロサンゼルスから東京行きのEチケット、日本語だが銀行残高もプリントアウトして状況を説明できるようにしておいた。
そして、いよいよ⑥の面接。
当日は面接時刻の午前8時半の30分前にはカサブランカのアメリカ領事館に到着するようにする。
上記の必要書類をすべてファイルに入れて手ぶらで向かう。
8 Boulevard Moulay Youssef Casablanca
領事館前の警備員に面接予約確認のプリントアウトを見せて入館する。
空港より厳重なセキュリティチェックを行ない、スマホも預ける。
20人くらいが座っている待合室で座って名前が呼ばれるのを待つ。
ほとんどがモロッコ人だけれども、自分と同じようにイラン渡航歴があるイギリス人が1人いて、現在のESTAで入国できないのでビザが必要になったと窓口で話していた。
同じ境遇の人がいると若干安心できる。
最初に名前を呼ばれてからアナウンスされた番号の窓口に行き、
機械で指紋を読み取ってもらう。
しばらく待ち、再び名前が呼ばれたら黒人の男性に必要書類を求められた。
強度のガラス越しなので若干英語が聞き取りにくい。
待合室に入ってから1時間くらい経ち、ようやく面接となる。
取得が難しいアメリカビザの面接だけあって日本での就職面接以上に緊張感がある。
自分の名前が呼ばれた別窓口に向かうと、白髪の紳士が強度のガラスの向こうにおり、
自分は以前に日本に住んでたと日本語で言われていきなり空気が和んでしまう。
それでも英語での質問は細かく、なぜモロッコでアメリカビザを申請するのか、
アメリカでの滞在期間や過去の滞在歴、世界周遊のルートやどうやって旅費をまかなっているか、
アメリカに知り合いがいるか、肝心のイランに行った目的なども尋ねられる。
自分が答えた内容を白髪の紳士はコンピューターに打ち込み、面接終了。
一週間後に指定のARAMEXオフィスでパスポートを受領できるとのことだった。
ビザ取得の状況はCGIウェブサイトで確認できる。
面接を終えてアメリカ領事館を出ると一安心で気が抜ける。
ついつい入口に預けたスマホを忘れるところだった。
実際にビザが降りるかどうかは翌週にならないと分からないけれども、
一仕事終えたような達成感があった。
「ready for pick up」と表示されて初めてARAMEXにパスポートを受け取れにいけるルールとなっている。
しかし、9日目になっても「origination scan(荷物郵送)」と表示されたままだったので、
試しに直接ARAMEXオフィスに行ってみたら、すでにパスポートが領事館から届いており、
10年間有効、マルチエントリーのアメリカビザのシールが貼られたパスポートを受領した。
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