パナマにペロ島という美しい島があると中央アジアのキルギス、
ビシュケクの南旅館で出会った旅仲間に教えてもらった。
ペロ島があるサンブラス諸島には歩いて一周1分もかからないような小さすぎる島が360も点在している。
サンブラス諸島をネットで画像検索してみると、
平らな小さな島にヤシの木が茂るモルディブのような光景が現れ、ぜひ行ってみたくなった。
サンブラス諸島はクナ族の保護地区であり、
島々へのボートが出る船着場への公共交通機関さえ存在しない。
南旅館の旅仲間に途中まで市バスで行ってからボート乗り場までヒッチで行けば安く済むと教えてもらったが、
蒸し暑いパナマでヒッチする根性なし。
また雨季に入ったからか、毎日雷雨予報のパナマにおいて、
水も電気も通ってないペロ島でワイルドな夜を過ごす気力もない。
倹約バックパッカーのくせに渋々110ドルも払ってゲストハウスでサンブラス諸島日帰りツアーを申し込んだ。
モルディブの個人旅行者が集まるマーフシ島から1島1リゾートへ日帰り旅行に行くより高い。
ツアー当日は午前5時のピックアップ。
意識がもうろうとしている4時半頃から準備し、
同じく日の入り前から起きてくれたゲストハウスのスタッフが電話でツアーのピックアップと連絡を取り合ってくれる。
エアコンが効いた4WDの助手席に座るとやっと開放的な気分になる。
Spanish in the cityという名のゲストハウスにエアコンはなく、
部屋の天井で回るファンはゆったりしすぎて毎晩熱帯夜だった。
夜明け前から雨が降り出して幸先が悪い中、
コスタリカからの若者やおじさん、おばさんを別ホテルでピックアップし、
高層ビルが乱立する寝静まり返ったパナマシティを出る。
明るい時間帯になっても空は灰色一色でテンションが上がらない。
どんなに美しい島でも天候が悪ければ台無しになりかねない。
早朝起きの熱帯夜の寝苦しさもあって、
パナマシティを出るとエアコンが効いた車内で爆睡。
へたれバックパッカーになってしまった自分はヒッチハイクに挑戦しなくて正解だったと思う。
日帰りなので重い荷物はゲストハウスに置いたままで海水浴の格好だけで向かえるのもいい。
幹線道路を外れてサンブラス諸島へのボート乗り場に向かう道に入るとジャングルに囲まれたアップダウンの山道。
急勾配の坂道とカーブがひたすら続く。
途中クナ族の保護地区の入場料として20ドルを取られる。
またコロンビアとの国境が近いためパスポートチェックがある。
ピックアップのドライバーがツアー客が4WDに乗る際に確認しており、
パスポートを忘れてきたコスタリカのおばさんが慌ててホテルの部屋に取りに戻っていた。
午前8時半頃、ボート乗り場に到着。
すでにサンブラス諸島の平坦な島が見えているものの、
完全に雲に覆われた空の下、海の青さがない。
小さなボートが並ぶボート乗り場でどいういう振り分け方なのか、
順番にツアー客が呼ばれてそれぞれのボートに案内される。
乗り込んだボートは自分一人。
ライフジャケットを着用してボート乗り場を離れる。
なんとなくタイの南の島を訪れる気分だ。
わずかながらの水しぶきの向こうにカリブ海に浮かぶ小さな島々が見える。
やがて砂浜で寛ぐ白人が見える島が近づいてくる。
ペロ島、英語で言うとドッグアイランド、犬島。
色彩を持たない海水がとある境界線からエメラルドブルーに変わる。
透明度抜群の海水がボートの下を流れる。
太陽が出ていなくても綺麗な海にやはり青空がないのが惜しい。
ペロ島に上陸するとクナ族の若者たちが近づいてきて日帰りツアー客用にピンクのシールを貼られた。
白い砂浜に打ち寄せる波は穏やかで、透明な海に見入ってしまう。
直径100メートルちょっとのペロ島はまさに楽園のような島。
無人島でなく、クナ族の一家が住んでおり、小屋がいくつかある。
モルディブが1島1リゾートであれば、サンブラス諸島は1島1ファミリーのようだ。
男性は普通だが、女性は色彩豊かな原色の衣服や手足にビーズをまとっている。
カラフルな編み物を訪れる観光客に売っている。
透明な海で海水浴。
しつこいけれども、太陽さえ出ていればモルディブ並みに美しいに違いない。
ペロ島の周囲にも大小さまざまな島が点在しており、
島々を眺めているだけで飽きない。
まるで漫画に出てきそうな小さすぎる白い砂浜の島に一軒家とヤシの木だけがある光景が微笑ましい。
1島1ハウスという最高の楽園である。
似たような1島1ハウスはすぐ近くにも見え、
ペロ島から泳いでいけそうな気もする。
地元のクナ族がときおり小舟を漕いで海を渡っている。
正午近くになると多くのツアー客がボートでやってくる。
小さいペロ島の人口密度が大きくなっていく。
ヤシの木々が生える島の真ん中にテントを張り、宿泊するコロンビア人やブラジル人、
コスタリカ人が多いようだ。
水や電気はなく、トイレの排泄物は海に垂れ流しとか。
ワイルドな無人島ごっこができない自分にとってラテンアメリカの若者とペロ島で夜を過ごさなくて良かった気がする。
砂浜でぼーっとしているとボートの船頭から声がかかる。
ペロ島を離れて別の島に移動するようだ。
スペイン語ができないとコミュニケーションが難しい中米。
浅瀬で人々が戯れる島に近づく。
白い砂浜でビーチバレーしている人もいる。
ここも数人のクナ族が住む島であり、
ペロ島より小さく一周1分もかからない。
テントを張っても宿泊客もいないため、南国特有ののんびりさがある。
何よりも砂浜は白く、浅瀬のグラデーションが素晴らしい。
ほんの一瞬でも太陽が出ればと願ってしまう。
浅瀬にはヒトデや魚が浮遊している。
すぐ近くにここと瓜二つの島が見え、
ビーチバレーのネットがあったり、浅瀬で水浴びする人がいたりと、
鏡で自分らの世界を眺めているような錯覚を覚える。
残念ながらより空の灰色が濃くなってきた頃、ランチタイム。
歯をむき出した揚げ魚とココナッツの味がするご飯は粗野だが美味しい。
南国の小島のグルメといった感じ。
食後は再びボートに乗り、島すらない浅瀬で停泊。
モルディブで初体験したサンドバンクのようで、
干潮時には海水から白い砂浜が現れるのかもしれない。
地図で見るとまさに海の上のウォーターワールド。
遠方にいくつもの島々が見え、シュールすぎる世界。
これまでアジアや地中海、アフリカの島々をいろいろ訪れたが、
こんなに小さな島が密集するウォーターワールドは見たことがない。
モルディブでさえ、島々の距離感があったし、一つの島がこれほど小さくなかった。
いくつかのボートが集まり、
腰くらいの水位の浅瀬でツアー客が戯れている。
最後に海水が静まり返ったクナ族の村落のような島を訪れツアー終了。
外国人が南の島に憧れるのと違い、水上生活は楽でない。
ペロ島に一泊する気力もない旅行者はそう強く実感する。
犬もやる気なく砂浜で寝そべっている。
パナマの秘島のサンブラス諸島をまた訪れる日が来るだろうか。
その時は快晴で海一面がエメラルドブルーであればいいと願う。
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