8日滞在したレーを離れてマナリへ移動。
ヒマラヤ山脈を北から南へ越える。
レー早朝発のローカルバスで途中キーロンに一泊して二日間かけての移動となる。
レーからマナリへの移動手段を旅行会社やバススタンドで聞きまわったところ、
シェアタクシーだと午後3〜4時出発で翌日マナリ到着。
旅行会社に手配してもらった場合、後席、窓側によるが3000〜3500ルピー。
レー市街から2キロほど南下した場所にあるシェアタクシー乗り場からでも2500ルピー(4500円)と高い。
それでいて午後4時発の夜行便になるので、レー〜マナリ間の絶景を見れないのが惜しい。
またローカルバスの場合、バススタンドから早朝5時発のキーロン行きが一本ある。
18時間くらいの移動で550ルピー(1000円)と安い。
キーロンからマナリへは数本バスが運行されているので、
キーロンで一泊し、翌朝マナリ行きに乗ることになる。
キーロン行きのバスチケットは前日の午前中にバススタンドに停車しているバスのドライバーから直接買うシステムで、
下調べに行った日の正午には翌日分が完売していたので、午前10時に買いに行った。
窓側を予約してもらい、何も印字されていないレシートの紙切れに4時半集合と席番号だけボールペンで書かれて渡された。
厄介なのは午前4時半に町の中心から少し離れたバススタンドへ行くこと。
暗いと無数の野良犬が吠えているレーなので、宿泊していたChowゲストハウスから30分以上歩くのは現実的でない。
バスドライバーからチケット購入時にバススタンド正面にゲストハウスを見つけ、
600ルピーの部屋にチェックイン。
Chowゲストハウスをチェックアウトして、荷物をバススタンド正面のゲストハウスに移動させる。
宿を出て30秒のところにバスが止まっているので早朝起きで犬の心配もない。
600ルピーも払ってWiFiなし、お湯もない部屋にて早朝4時起きに備えた。
が、バンコクで治療した歯のあたりが急に痛み出し、
バススタンド正面だけあって暗くなってからの野良犬の合唱がやかましく、2時間くらいしか睡眠がとれなかった。
ほぼ徹夜状態で4時20分に宿を出て、暗い中人が集まっているキーロン行きのバスへ。
西欧人旅行者が8人、韓国人が一人、日本人旅行者も自分を含めて3人いた。
バスの荷台へバックパックを上げるのはセルフサービス。
各自ハシゴを登ってバスの屋根にバックパックを置く。
ロープもないし、カバーもないのでバックパックの転落や雨で濡れるのが怖い。
カシミールからラダックまで一睡もせずに車窓を楽しんだバスと違い、
さすがに寝不足で居眠り続きの移動。
ときおり目覚めると、ヒマラヤ山脈の5000m級の峠越えに向かって雄大な渓谷が目に入る。
マナリの後は夜行バスでデリーに移動するので険しい山々を見るのも間もなく終了だろう。
何度か検問でのパスポートチェックと記帳があり、
ちょこちょこ止まりながらバスはいくつかの峠を越えていく。
大きな食事休憩はなく、乗客は軽食や菓子を食べている。
午後になってもスローなバスでの夢現つが続く。
キーロンに向かって標高を下げていき、午後の日差しを浴びた絶景を食い入るように眺める。
18時頃に最後の休憩。
さすがに朝から何も食べていなかったのでチャイをすする。
結局山岳の村キーロンに着いたのは午後8時前。
すでに暗くなる頃だった。
バスで知り合った日本人旅行者二人と1200ルピーのゲストハウスの部屋をシェアし、
屋台で鳥の唐揚げを食べたり、小さな酒屋で買った缶ビールを標高3300mのキーロンで飲んだ。
キーロンからマナリへのバスは早朝4時半、5時半、6時半、次が9時半、10時半。
なぜかバスチケットは事前予約できないらしく、出発30分前に窓口に来いと言われる。
仕方がなく早めに眠り、5時半のバスに乗るべく起きるも3人ともだるかったし、
マナリまでそう遠くないので少し遅い9時半のバスに乗るべく二度寝。
ヒマラヤ山脈の旅最後に備えて朝飯を食べ、
8時50分にバス乗り場の窓口に行くと理不尽だけれども、9時ちょうどまでチケット購入を待たされた。
それなのにマナリ行きのバスは10時過ぎに現れ、10時20分に出発したので訳がわからない。
今回も前日同様、バックパックのバス屋根運びはセルフサービス。
前日のレーからのバスで一緒だった西欧人も次から次へと屋根に登ってバックパックを置いている。
事前に窓口でチケット購入して席確保できたからいいものの、
定員オーバー、山道なのに立ったままの人がいるバスが出発。
今日で見納めのヒマラヤ山脈。
雪解け水が滝になって流れ落ちるのをぼんやりと眺める。
小高いところから落ちる滝はベネズエラのエンジェルフォールズのようだ。
ヒマラヤ山脈越え最終日はあいにくの曇り空。
どんよりとした雲の下に色を持たない川が流れている。
ラマユルあたりで見た青い乳白色の水が流れるインダス川が懐かしい。
これまでいくつか越えてきたヒマラヤ山脈の峠。
レーからマナリへの移動のハイライトであり、クライマックスであるロータン峠に向かう。
標高3300mから一気にジグザグの山道を登り、4000mに突入していく。
ジグザグ道に入るとヘアピンカーブごとに車窓が崖から渓谷に切り替わる。
悪路に揺られながらの山々の風景は同じだが、
エレベーターのようにゆっくりと上昇していき、頂が迫ってくる。
バスはノンストップで山道を登り、不思議と上に行くとアスファルトのマシな道になってくる。
雪解け水や土砂崩れのせいで下の方が悪いのかもしれない。
標高4000mのロータン峠に近づくと、雪が残る世界になり、雲が地表すれすれを流れていく。
ロータン峠の最高潮4000mを通過したと思ったら、
休むことなく下り始める旅行者に冷たいローカルバス。
急勾配の崖で羊の群れを見た。
マナリに向けて雲が眼下を流れる天空の世界がしばらく続く。
ここを過ぎるとヒマラヤ山脈も終わり、
下界の入り口となるので名残惜しみつつ車窓を眺める。
途中断崖絶壁と滝、雲に覆われた渓谷が視界に広がる。
乾いた岩山ばかりのラダックから樹木に覆われたインドの渓谷に降りてきた。
山道を下ってからバスの故障があり、小雨があり、
マナリが近づくと30分以上の渋滞があり、
17時近くにようやくマナリに到着した。
マナリのメインバザールは一気に嫌悪感が芽生えるほどのインド人観光客の数。
どうやら6月はインド人のホリデーシーズンらしく、
デリーに近い避暑地のマナリはインド人の家族連れや若者たちでごった返していた。
まったく興味が芽生えないマナリの中心を去り、
北に3キロほど歩いたところにある小高い村ヴァシシュトへ。
温泉でも有名なヴァシシュトもインド人観光客がいるものの、マナリのバザールほどのカオスはない。
観光客用のフィッシュスパなんかがあるのは興ざめだが。
それでも西欧人、日本人の長期滞在者が多いヴァシシュトの村はローカルな雰囲気も漂っており、
観光客が温泉に浸かるかたわら、お湯で洗濯する村人もいる。
宿泊した日本人経営のTajゲストハウスはホリデーシーズンのせいか、
1泊700ルピーと高め。
部屋のベランダからの展望のエクストラ料金として納得したいところ。
Tajゲストハウスで約2年前、2015年夏にビシュケクのサクラゲストハウスで出会い、
長らく中央アジア諸国のビザを一緒に待っていたみのるさんと再会。
当時自転車で中国から中央アジア、イラン、トルコとユーラシア大陸を横断していたみのるさんは
現在バス移動でも過酷なラダック、カシミールのヒマラヤ山脈を自転車で周遊中。
久しぶりの再会でローカル食堂でカレーを食べたり、
日本人経営のフジ食堂で和食を食べつつ、
サクラゲストハウスの思い出話や旅話、旅のきっかけや人生などいろいろ語り合った。
特に見所はないが風光明媚なマナリで3泊し、
すぐ頭上に見えるヒマラヤ山脈に別れを告げる。
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