クリスマスが終わると残すイベントは年越しカウントダウンのみ。
カウントダウン花火のために物価が高いシドニーに1ヶ月間滞在してきたといっても過言ではないので
テンションも高まってくる。
クリスマスホリデーに入り、世界中からの観光客が増え、
シドニーの人口密度はいまだかつてないほど大きくなる。
特に買い物客が集まるピットストリートやサーキュラーキー周辺の混雑ぶりはカオスである。
年末年始のシドニーの宿泊料金は通常の2倍以上であり、早い段階から満室になるようなので、
12月27日からの8日間は比較的低料金のホステルを事前予約した。
バーが多く、タイ料理店が多いワールドスクウェアの近く、
まさにシドニーのタイタウンのど真ん中にあるシドニー•セントラルイン。
通常は30ドル(3000円以下)だけれども、年末年始は合計8泊で420ドル(42000円)。
共有ルームやキッチンが異様に狭く、
Wi-Fiもほとんど機能しない4人相部屋のドミトリーでの1泊平均5000円以上なのでぼったくり料金である。
ちなみに大晦日1泊だけした同室の人は68ドル払っていた。
それでも別のホステルではドミトリーで1泊80ドルもするので安い方なのだろう。
2014年の12月31日、大晦日。
ニューイヤーズイブは早朝6時に起きてカウントダウン花火のための場所取りに行く。
当初目指していたのはシティ側のMrs Macquaries point(ミセス•マッコリーズ•ポイント)。
ボタニックガーデンの近くにあるミセス•マッコリーズ•ポイントは
オペラハウスとハーバーブリッジを同時に眺められるベストロケーションで、
毎日のように中国人観光客を乗せたバスが立ち寄り、記念撮影をしている。
カウントダウン花火において一番人気があるスポットらしいが、
何度か下見したところミセス•マッコリーズ•ポイントには視界を遮る樹木が多いので、
よほど良い場所を確保しないと全景は見れない気がする。
またハーバーブリッジが少しばかり遠く、迫力に欠けるかもしれない。
シドニー•セントラルインで同室のポーランド人女性もミセス•マッコリーズ•ポイントに行くというので、
何時から場所取りに行くか尋ねたところ、なんと午前4時…。
花火観賞スポット会場のゲートが開く10時前から並ぶという。
午前10時になってからのんびり向かうはずだった自分は恥ずかしくて口に出せない。
さすがに夜明け前から起きるのはしんどいので、前夜は目覚まし時計を6時前にセットして早めに眠った。
すでに外が明るい6時頃目覚めると、午前4時に起きているはずのポーランド人女性はまだ眠っている。
前日ブルーマウンテンでトレッキングをして疲れているらしく、8時ぐらいに向かうそうだ。
自分はせっかく早く目覚めたので、
前日に安いスーパーで購入した固い地面で長時間座って待つためのクッション代わりの枕、
口を開けていないペットボトル、朝昼晩3食分のお菓子を袋に入れてホステルを出発。
実際に使えるかどうかは別にしてデジタル一眼レフ用の小さな三脚、ゴリラポッドをリュックに入れておく。
尚、花火観賞スポット会場にはアルコール類持ち込み禁止。
特にミセス•マッコリーズ•ポイントの手荷物チェックは厳しいらしく、
蓋が開いているペットボトルやフリスビー、
ボールやお手玉など持ち込み禁止リストが長々とニューイヤーズイブ公式ウェブサイトに記載されていた。
昨年の年越しカウントダウンの香港のようにペットボトルにウォッカをつめて持ち込もう
…なんて御法度である。
陽光が溢れるハイドパークを横切り、
自分と同様ミセス•マッコリーズ•ポイントに向かっていると思われる西欧人カップルを追って歩いていくと、
ゲートに到着する前から芝生に座り込む人々の列を目撃する。
嫌な予感が高まり先に進むと、ゲート近くにはテントを張って野宿をしている人々が大勢いた。
30日の夜から早くも待っているのだろう。
係員に尋ねると列の終わりはずっと後方らしく一気に奈落の底に落ちてしまう気分だった。
道を引き返して長列に加わったものの、
手荷物チェックだけでも数時間かかりそうな人の多さに気が滅入ってくる。
まだ午前7時である。
2014年の最終日の朝は悩みに悩み、花火観賞スポットを変更することを決断。
ミセス•マッコリーズ•ポイントが最高のロケーションとはいえ、
この長列では最前列はもちろんのこと、樹木に遮られないスポットを確保するのは不可能と判断する。
これまでに2回訪れてハーバーブリッジが目の前にひらけ、
オペラハウスも遠方に見えるBlues Point(ブルース•ポイント)に行くことにする。
場所はノースシドニーの西側で、オペラハウスに向いたハーバーブリッジの反対側となるものの、
シティ側から橋を渡った先なのでミセス•マッコリーズ•ポイントほどは混雑していないはず。
ニューイヤーズイブ公式ウェブサイトによると、
花火観賞スポットか以上の収容人数は12000人なので広そう。
芝生で座って待っている大勢の人々を横目にミセス•マッコリーズ•ポイントを退散する。
急いでハイドパーク近くのバス停に行き、ノースシドニー行きの市バスに乗る。
まだ7時半だからか乗客はほとんどいない。
陽光だけが輝くゴーストタウンのようなノースシドニーでバスを降り、
歩いて15分くらいのブルース•ポイントに向かう。
不思議なことに手荷物チェックのためのゲートがないブルース•ポイントの芝生には
すでにテントを張っている人が多くて驚く。
やはり前夜から野宿して待っているのだろうか。
それほど有名なスポットではないので地元のオーストラリア人ばかりだろうという予想に反し、
台湾人の若者グループがテントの中でトランプをやっていたりと奇妙な光景だった。
思えば、昨年香港のビクトリアハーバーで年越しカウントダウンを待っていたときも両隣は台湾人の夫婦、カップルだったのは偶然だろうか。
芝生を埋めるテントが多く最前列は難しいと思っていたら、
ブルース•ポイントの小さな公園を越えて奥の方に行くと芝生ではないが湾に面した場所があいており、なんとか最前列を確保。
とりあえずほっと一息でリュックを置き、クッション代わりの枕で場所取りをしたのが午前8時。
24時のカウントダウンまで16時間もあることはとりあえずおいておいて、
目の前のハーバーブリッジを眺めながら打ち上げられる花火を想像した。
太陽はそう高い位置にないからか、雲があるからか、涼しかった。
午前中のブルースポイントはそう混雑していないので、
クッション代わりの枕を背に居眠りをしながら過ごす。
じょじょに日が高くなり、雲がなくなると暑い。
ちょこちょこと時刻をチェックしつつ、
スーパーで買ってきた菓子や和風もちを食べたり、ジュースを飲む。
すぐ近くに公園の公衆トイレがあり、昨年の香港年越しで一番大変だったトイレ往復の心配はなさそうだ。
居眠りが終わってからはFacebookを投稿したり、ネットサーフィンして暇つぶしするものの、
バッテリー残量が気になってすぐにやめる。
動画撮影のためにバッテリーをセーブすべく、iPhoneの電源は切っておいた。
腕時計を見るとようやく11時。
目の前の風景は変わらない。
左隣のインド人家族はテントの中で眠っているのはもの静かで、
右隣の台湾人の若者グループは仲間同士で雑談したり、食事をしながら楽しそうに待っている。
正午過ぎにはブルース•ポイントが大勢の人で埋め尽くされており、
自分の真後ろで敷物に座っているピクニック雰囲気の南米の大学生たちは賑やかだった。
意外にも居眠りしたり、菓子を食べたり、トイレを往復したり、
ぼーっとしているだけで時間がどんどん経過していく。
せっかく有り余る時間があるので2014年の旅尽くしの日々を振り返ろうとするも思考は働かず。
とても感傷的になりながら1年を思い返すなんてできない。
夕方からは会場に設置されたスピーカーから大音量の音楽が流れ、
外で酒を飲んでから入ってきたのか超テンションが高いメキシコ人の若者たちが踊っている。
不意をつくようにインド人の男性が自分と台湾人の若者が座っている最前列に割り込んでき強引に座り込む。
一瞬苛立ったが大晦日だし、花火観賞スポットのパーティー雰囲気もあって許せてしまう。
たまに両隣と雑談をする程度で、打ち解け合って騒いだりすることはなく、
各自がそれぞれの時間を過ごしている。
それでも皆の目的は同じなので一体感が湧いてくる。
朝方は見当たらなかった入場ゲートがもう閉まったのか、
ブルース•ポイントでは人がこれ以上増えている様子はなかった。
…というより、すでに収容人数いっぱいの会場。
後方にも人が多く、近くの公衆トイレも長列なので往復20分はかかる。
18時頃から航空ショーや噴水ショーがあり、周囲のインド人、南米の若者から歓声が湧く。
それにしても会場一帯はインド人が圧倒的に多く、次いで南米、台湾の人々だろうか。
オーストラリア人は朝から場所取りなんてしないのか、
あるいは自家用ヨットをシドニーハーバーに浮かべてカウントダウンも待つのだろうか。
20時半にはようやく日が暮れて、
21時から迫力のある花火がハーバーブリッジを挟んだ湾から上がる。
朝から待たされているだけあって皆歓声を上げつつ、
スマホを片手に8分間の花火を眺めていた。
22時40分にも小規模な花火が上がり、午前8時からの待ち時間も15時間近くになる。
気温も下がって上着がないと肌寒い。
体は疲労困憊しているはずなのに精神は研ぎすまされており、
2001〜2002年のワーホリ時代はメルボルンで年越しだったために見れなかったシドニーでのカウントダウンが現実のものとなり感慨深くなる。
シドニーでのニューイヤーズイブの花火は東京での大晦日にテレビで見て毎年憧れていた。
また、シドニーでのカウントダウンは今回の世界周遊において叶えるべき夢でもあった。
両隣のインド人や真後ろのコロンビア人とメキシコ人がもの静かに座って待っている間、
自分はスピーカーからの音楽に振動する夜の空気を顔に感じつつ、
ハーバーブリッジを行き来する電車を立ち上がって眺めていた。
朝から待っている周囲のインド人、台湾人、
南米の大学生の集団がハイテンション
…ではなく、疲れ果ててきた頃、
ラスト1時間。
会場に設置されたスピーカーから大音量の音楽が流れる中、
多国籍の人々との一体感を味わいながらのカウントダウンを迎える。
群集の中でのカウントダウン後のたかだか12分間の花火。
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