高地にあるインレー湖の気候は穏やかで朝晩が涼しい。
最高気温30度ちょっと、最低気温20度前後。
日中40度を超える猛暑のバガンで朝日、夕日2回、
ママチャリにまたがっての仏塔遺跡廻り3セットで上がりまくった体温をインレーで下げる。
バガンからインレー湖近くの小さな町ニャウンシェへミニバンで移動。
平坦でまっすぐな道から曲がりくねった山道に入り、気温もじょじょに低くなる。
窮屈なミニバンに押し込まれて8時間の旅となったが、
たまたま旅好きの同年代の日本人男性と隣席になって
過去に訪れたイエメンのサナアやパキスタンのフンザ、東欧、東南アジア、中国の旅話で盛り上がり、
途中のKalawというトレッキングで有名な避暑地で降りてしまうまであっという間の6時間だった。
バガンで出会った何人かの方も含めてゴールデンウィーク中にミャンマーを旅されている日本人は旅歴がディープで話していて面白い。
やはりミャンマーが東南アジアで最後に旅の舞台としてオープンした国だけはある。
マンダレー、バガン同様、インレーでも入域料のような観光料金をニャウンシェに入る前に徴収される。
ビザ代810バーツ(3000円)とは別に町ごとに10ドル、バガンでは20ドルも取られるのはきつい。
しかも外国人向けのゲストハウスは10〜20ドルとこれまで訪れたすべての東南アジア諸国で一番金がかかっている。
70日間過ごしたシンガポールでも1日平均4000円を超えることはなかった。
ニャウンシェの宿はMayゲストハウス。
2012年版のロンプラで7ドルのMayゲストハウスもシングル料金15ドル。
円安のせいで1泊1800円とマレーシア、タイよりはるかに高い。
部屋は隣室からの声が筒抜けでやかましいものの、
ミャンマーで初めてFacebookに写真UPできるほどのWi-Fiの回線速度だった。
若いヨーロッパ人で騒がしい宿だけあって内装も悪くない。
夜になると気温が下がり快眠を味わえるニャウンシェに3泊する。
目玉のインレー湖ボートツアーは最終日にして2日目午後から自転車で探索。
午前中少し雨が降っていたけれど、陽光が現れる午後になると暑い。
それでもニャウンシェから出てすぐに広がる田園風景、素朴な村に和んでくる。
畦道や2階建ての木造家屋を前に懐かしい日本の田舎の夏がよみがえる。
もちろん、日本の夏の原風景に水牛はいないけれど。
まだ乾季で水量がない水上村を訪れたり、
ミャンマー映画をテレビで流している村の食堂でドラフトビールを飲んだりする。
ほろ酔いで自転車を漕ぎつつ、水路で遊ぶ子供達を見つけて近づいてみると、
坂道で滑って転んで浸水し子供達を驚かせてしまった。
ビールの酔いで笑いながら写真を撮ったが、自転車に戻ってみると腕と足に擦り傷と出血。
後半は痛さに耐えつつのサイクリングとなった。
酔いが完全に覚めるも田園風景は目に焼きついている。
ニャウンシェ3日目は早朝6時に起きてインレー湖のボート廻り。
ボートツアーは一隻チャーター15ドル(1800円)。
人数割りになるので3人集まれば1人5ドルになる。
Mayゲストハウスでボートツアー参加者は集まらず、
1人で15ドルも出すかどうか悩んでいたところ、
前日のサイクリング中に日本人男性と偶然出会い、一緒にボートに乗ろうという話に。
ダイスケさんというゴールデンウィークを利用してミャンマー周遊をしている方で、
例に漏れず他の東南アジア諸国はすでに訪れたのでミャンマーを選んだそうだ。
6時半の待ち合わせ時刻に船着場に行くと、ちょうど近くの食堂に入ったダイスケさんを発見。
他にインド人のシャン、韓国人女性2人組も呼んでくれたようで5人でのボートツアー。
1人3ドルと格安でありがたい。
朝飯として担々麺のようなシャン州名物の米麺を食べながらそれぞれ自己紹介。
インド人のシャンはシンガポール在住のエンジニア、
韓国人の1人イェジはシンガポールのホテルのバーで2年働き、現在仕事を終えて10週間アジアを旅行しているそうで
自分も昨年、今年あわせて70日間滞在したシンガポールについての話で盛り上がる。
もう1人の韓国人女性もまた自分のように仕事を辞めて世界周遊最初の国としてミャンマーを廻っているという。
川辺を降りて木製のボートに乗り込む。
細長いボートに5人用の椅子が並べられており、ライフジャケットも用意されている。
ボートツアーのガイドのような船頭は小柄な青年で頼りなさそうに見えたが、
実際は気遣いが素晴らしい誠実な若者だった。
ちなみにインレー湖のボート廻りは1〜2時間という短いものでなく、
午前7時に出発して湖周辺の村市場や水上農園、水上工房、寺院などを廻り、
午後2時くらいにニャウンシェに戻るという本格的なボートツアーらしい。
1人3ドルでは罰があたりそう。
朝早く涼しいニャウンシェからエンジン音を轟かせながらボートは水路を進んでいく。
地元の人々を乗せた同じようなボートが何隻も通り過ぎていく。
朝日は明るく、風は肌寒いくらい涼しい。
ボートは水路を抜けて広大なインレー湖に出た。
韓国人二人は感嘆をあげている。
まだ乾季のため水面下に水草が見え、浅そうな湖である。
穏やかな水面に周りの山々が映り込み、巨大な鏡のように思える。
そんな静かな水面を波立たせてボートは最初の村へと向かう。
船頭の若者はガイドというよりあくまでボートドライバーで、
村に着いてから5人の自由行動。
フレンドリーな犬たちが迎え入れてくれた。
村の市場はカラフルで湖の恩恵を受けた豊かさに満ちている。
野菜やハーブを並べて行き交う人々をぼんやり眺めている村の女性たち。
他のアジアのマーケットのように活気あるかけ声で騒がしいわけでもなく、
穏やかでのんびりとした市場の風景である。
ゆったりと朝食をとっている人々もいる。
犬も幸せそうに徘徊している市場は微笑ましく、
物色しながら探索していて飽きない。
村の朝市を見終わり、広大な沼のようなインレー湖を南下していく。
地元の人々の移動手段はボート。
ボートに乗りながら仕事をしている人がほとんどであり、
器用に片足をオールに絡ませながらボートを漕ぎ、手作業をこなす人もいる。
被写体が充実していてなかなかカメラを置く余裕がない。
水上園芸に立ち寄る。
ぱっと見、ただのトマト菜園かと思ったがすべて湖を土壌としており、
世話する人は狭い水路をボートに乗って作業している。
陸地から離れたウォーターワールドだ。
湖南部には水上村が広がっている。
先月バンコクで見た水上マーケットよりはるかに大きく、
また運河沿いのマーケットと違い、水上に家屋が並んでいる。
洪水で浸水した町に見えなくもない。
タナカを塗りまくった少年たちに船を引かれ、タバコ工房に入る。
ツアーメンバーは5人とも禁煙家で、それでもシャンだけが試しにシガーを購入し数口味わう。
あまり旨くないそうだ。
日本人二人は可愛らしいタバコ工房のガイドさんに写真をねだったりする。
ミャンマー人女性は純朴で可愛らしい娘が多い。
男三人がでれでれしている間、韓国人女性2人はどこにいったのだろう?
再びボートに乗り、次は織物工房へ。
早朝の涼しさから一変、太陽がじわりじわりと昇ってきた10時過ぎにはすでに暑い。
水上村も日本の真夏のような景色に見える。
織物工房では経験豊かそうな女性と10代の可愛らしい娘が働いている。
糸は蓮の繊維から紡いでいるという。
これもインレー湖ならではの産物だろう。
午前中の水上工房廻りの後は水上村にある寺院を訪れたり、
まるでモルディブで見た水上コテージのようなレストランでランチタイム。
レストラン直前で浅瀬に引っかかり、
ボートを降りて滑りやすいぬかるみを歩いてレストランに向かうというハプニングもあった。
早朝起きもあって皆疲れており、水上レストランでは1時間半まったりしながら談笑。
ちなみに乾季の水上コテージレストランからの眺めは広大な湖ではなく、野原だった。
午後のメインとして首長族に会えるらしい。
観光客用のボートツアーだけあって見世物のような首長族だろうと思うもやはり期待してしまう。
その前に水上レストランから歩いてシルバー工房へ。
シルバー工房のガイドさんがiPhoneサイズの銀の塊について説明してくれるもこの先の首長族が気になって仕方がない。
シルバー雑貨の店内も軽く素通りする。
真面目に働く職人には申し訳ない。
シルバー工房を脱出し、仏塔が並ぶ村を歩いていよいよ首長族と面会。
ただの村なのにそれなりの雰囲気を感じてしまう。
最後は織物工房。
インレー湖のボートツアーは水上工房廻りでもある。
人生で初めて見たカレン族はそうインパクトはなく、淡々と仕事をしている感じ。
想像していた観光客向けにスナップショットを一緒にとれるような空気ではなかった。
手作業を邪魔しないように数枚撮らせてもらう。
がっかりではないものの、期待していたほどではなかった。
すでに14時過ぎでツアーは終了。
最後に飛ぶ猫で有名な変哲もない修道院を訪れ、
ニャウンシェにボートは向かった。
さすがにメンバーは帰りのボートで眠っていたと思う。
確信が持てないのは自分自身が帰りの1時間は夢うつつを彷徨っていたからだろう。
朝7時に川辺を発ち、16時に戻った9時間のボートツアー。
インレーのウォーターワールドを想像以上に満喫できるツアーとなった。
にほんブログ村
↑↑
いいね!と思われましたら
閲覧ごとにクリックお願いします!
0 件のコメント:
コメントを投稿