2015年9月3日木曜日

パミール高原をゆく③ランガル〜ビビファティマ〜イシュカシム〜ホーログ(2015年8月23日)

タジキスタンに入り3日目。
パミール高原の4WD移動が続く。
ワハーン回廊をランガル〜イシュカシム〜ホーログと進めばパミールの旅が一段落する。

ワハーン回廊の道程一泊することになったランガル。
ランガルのホームステイから外に出てみると、満点の星空が覆いつくしていた。
標高が高いパミール高原は銀河に限りなく近い気がする。


前夜のムルガブのような寒さや息苦しさはないのになかなか眠れず、
小さな蚊に苛まれながら寝苦しいホームステイの夜を送った。



7時半に起きると晴れ渡っており、午前中から暖かい。
今日は暑くなりそうな予感。
インスタント麺とパン、ポテトとのびきったスパゲティ炒めの朝食を食べて出発する。
今日もポーランド人3人が助手席と真ん中席で、自分と誠さんは窮屈な後席。
ちょっとした4WDのバンピングで頭を天井にぶつけそうになる。
ランガルからイシュカシムへのワハーン回廊ではひたすら緑豊かな渓谷を進んでいく。
ポプラ並木が清々しい。
ときおり巨大な犬が現れ、三菱のパジェロを全速力で追いかけてくる。


進行方向左手にアフガニスタンとの国境線となるパミール川が流れている。
パミール川の向こうにはさらにアフガニスタンとパキスタンの国境をなすヒンドゥーカシュ山脈が連なっている。
雪が積もったヒンドゥーカシュ山脈はパミール高原より遥かに険しい。




ちなみにパミール川とヒンドゥーカシュ山脈に挟まれたアフガニスタンの領土は細長く、南北50キロくらい。


ドライバーが湧き水が出ているところで停まってくれる。
珍しいことに炭酸水が出ているという。
水の流れの後の褐色に抵抗があったが、すくって飲んでみると確かに炭酸水だった。


進行方向右手では村人が農作業に営んでいる。
緑豊かな渓谷のバックグラウンドをなす乾いた岩山も険しい。




パミールの旅3日目のハイライトとしてビビファティマの温泉を訪れる。
ワハーン回廊から少し登ったところにビビファティマがある。
麓の村に泊まってビビファティマの途中にあるヤムチュン城跡まで6キロ、
城跡から温泉まで1キロを山登りするのも可能らしい。
自分らはムルガブからホーログまで1泊2日300ソモニで4WDをチャーターしているので
歩かず楽してビビファティマまで向かう。
車一台しか通れないジグザグの山道からワハーン回廊の渓谷、ヒンドゥーカシュ山脈の絶景を一望できる。



ビビファティマが近づいてきた頃、断崖絶壁の上にたたずむヤムチュン城跡が見える。
ジグザグ道で車は停車せずに通過してしまう。



ヤムチュン城跡を去ってまもなくビビファティマの温泉に到着。


男女で入浴時間が異なり、女性時間が終わってから男性5人で屋内の小さな温泉に入る。
余談だがポーランド人3人はあきらかにゲイであり、特に2人の仕草、喋り方、目の使い方はおねえっぽい。
水着姿ではなくすっぽんぽんになる正真正銘の温泉だけれども、
彼らがゲイであることは見て見ぬふりをする。



温泉は自分ら5人、タジキスタン人のおじさん2人が入るとほぼいっぱいになる。
水温は想像していた以上に温かく、旅の疲れがとれる。
思えば1年10ヶ月前に日本を発ってから湯船に浸かったことはあっただろうか。
確か2013年10月22日に福岡から釜山のフェリーで激しい船揺れの中、風呂に入ったのが最後だった気がする。
溜まった垢を洗い流し、血行をよくしてからビビファティマを去る。

ワハーン回廊の南側にアフガニスタン、パキスタンへと続くヒンドゥーカシュ山脈が表情を変えながら車窓を流れ、
北側に豊穣な高地、ときおり雪化粧の山頂が現れる。





本来であれば昨夜泊まるはずだったイシュカシムは閑散とした町なのでスルー。
タリバン勢力の影響で毎週土曜日に開かれるアフガンマーケットもないらしい。
いずれにせよ、この日は日曜だが。

イシュカシムを出てまもなくドライバーはアフガニスタンへのイミグレが見える川辺に停車してくれる。


短い橋を渡った中州にタジキスタンのイミグレがあり、さらにその先にアフガニスタンの国旗を掲げた小屋がある。
まったく人の気配が感じられない国境。
ホーログのアフガニスタン領事館で100ドルか200ドル出せばアフガニスタンビザが取得できるらしい。
タジキスタンのビザがシングルなのでいずれにせよ無理だが。
どうせアフガニスタンに入るなら国境近くの町だけではなくカブールまで行きたいのが本音。





イシュカシムを過ぎても同じようなワハーン回廊の景色が続くものの飽きない。
今日も居眠りゼロで絶景を眺めまくる。




遅い昼飯をイシュカシムとホーログの間の食堂で午後3時過ぎにとる。
8ソモニ(160円)のボルシチはなぜかチキン入りで美味かった。


食後、断崖絶壁を縫うような山道を軽快に進み、
雲行きが怪しくなってきた午後5時過ぎにようやくホーログに到着した。




文明を感じさせるホーログで3日間のパミール高原の移動が終了した。






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