山ばかりのタジキスタンから観光国のウズベキスタンへ。
首都ドシャンベから国境を越えてテルメズに行く。
テルメズはアフガニスタン国境手前、ウズベキスタン最南部の町となる。
パミール高原旅行のベースとなる町、ホーログに2日滞在し、
3日間の移動の疲れを癒すべくGaram Chasma(ガラムチャシマ)の温泉に日帰りで訪れる。
ホーログのバザール南の橋を渡ったところからマルシュで往復40ソモニ(800円)。
石灰質の温泉はぬるめだったが、いい休養になったと思う。
ホーログの夜は肌寒く、夕焼け、星空は澄んでいた。
パミール高原の旅の締めくくりとしてホーログからドシャンベへ移動。
14〜20時間の移動で1人300ソモニ(6000円)が相場らしい。
パミールロッジでシェア4WDを手配してもらい、格闘家のような大男、
娘3人を連れた女性、パミールロッジで再会したビシュケクのサクラゲストハウス長居の日本人3人、
合計8人で窮屈な車内となった。
それでもパミールの旅のクライマックスの車窓は絶景続き。
アフガニスタンとの国境に沿って断崖絶壁がそびえ、雪山もときどき顔を出す。
パミールハイウェイやワハーン回廊よりも多様性に富んでおり、
山頂からの雪解け水が滝として流れていたり、豊穣なアフガニスタンの村が次々に現れる。
今回のドライバーは休憩なしにひたすら4WDを飛ばす。
ホーログとドシャンベの中間地でランチタイムがあるくらい。
川の流れを眺めながらライス&ミートという目玉焼きがビフテキに載せられたものを食べた。
当初予想の14〜20時間から大幅に短い13時間でドシャンベに到着。
午前7時前にホーログを出発した4WDは夕暮れ直前に同乗した日本人旅行者が前に宿泊していたグリーハウス近くで停まってくれた。
グリーンハウスは1泊ドミトリーベッドで15ドルと高いが、いまだかつて見たことがない豪邸。
豪華な内装はバックパッカー向けのゲストハウスからかけ離れており、
土埃にまみれたパミール高原横断の西欧人のチャリダーや小汚いイスラエル人バックパッカーが泊まるにはもったいない。
パミールの旅からの休息も兼ねてドシャンベに4日滞在する。
ビシュケク同様探索していてうきうきしてこないのが中央アジアの首都。
それでも街並は綺麗で、路上喫煙罰金というだけあてゴミも落ちていない。
街路樹や公園も美しく、旧ソビエト風の建築物とルーマニア風のモダンな建物が混在している。
清潔感漂う公園には中央アジアでお決まりの銅像のモニュメントがある。
タジキスタンで偉大な人なのだろう。
また世界一大きいと言われる国旗がゆっくりとなびいていた。
パミールの旅を含めて8日間滞在したタジキスタンを去る。
ビザ代75ドル、パミール高原の移動費と割高な国だった。
ドシャンベで一足先にサマルカンドに行く誠さんとお別れ。
神戸出身と誠さんとはビシュケクのサクラゲストハウスに遅く着いた初日に出会って以来、
毎晩のように飲んだり、イシククル湖の週末旅行に行ったり、
アラアルチャでトレッキングをしたり、タジキスタンでもずっと一緒に過ごし、
かれこれ7週間も旅の時間を共にしてきた。
誠さんがサマルカンドへ早朝発の際はたいした感慨もなくあっさりと別れる。
ウズベキスタンでまたの再会もありそうだし、引きずるものがなく潔く別れるのが中央アジアの旅人かもしれない。
8月29日にウズベキスタンへ。
ビシュケクで取得した30日間有効のウズベキスタンビザはすでに始まっており、
期限は9月15日まで。
9月14日から5日間でトルクメニスタンのトランジットビザの日程を設定しているので、
ウズベキスタン滞在期間は2週間ちょっと。
7週間ぶりに日本人旅行者と別れて1人になり、ウズベキスタンへ向かう。
まだパミール高原の旅の疲れが残っているからか、
倦怠感と下痢の症状がある中、ドシャンベのグリーンハウスをチェックアウト。
豪邸の内装やふかふかの絨毯は素晴らしいものの、
西欧人のチャリダーやモンゴルラリー中の若者、常時10人以上でたむろするイスラエル人でやかましく、
Wi-Fi環境も貧弱なのがタジキスタンの首都のゲストハウスとして残念だった。
あまりにもWi-Fiが遅いので近場のシェラトンに通ったりもした。
そのシェラトン正面のAyni通りで8番のシェアタクシーに乗り、
3ソモニ(60円)でドシャンベ西郊外のZarnisar(ザルニサール)へ。
ザルニサールからウズベキスタン国境にほど近い町、Tursanzade(トゥルサンザード)までのシェアタクシーがあるとグリーンハウスのオーナーが教えてくれた。
ザルニサールで降りるとすぐに客引きが寄ってきて国境まで50ソモニなどとふっかけてくる。
グリーンハウスのオーナーのアドバイス通り
一人10ソモニ(200円)のトゥルサンザード行きのシェアタクシーで乗客が残り3人集まるのを待った。
ドシャンベからトゥルサンザードまで40分くらい。
隣席のおばさんは微笑みながらひまわりの種をくれる。
中国、中央アジアでも人気のひまわりの種だけれども、落花生のピーナツのように食べるところが多くないし、
歯で殻を割って食べるのが億劫なのでちょっと苦手。
それでもせっかく頂いたので頑張って完食し、自分の座席はひまわりの種の殻まみれになった。
トゥルサンザード鉄道駅前でシェアタクシーを降りてから
今度はさらに西へ数キロのウズベキスタンとの国境までのシェアタクシーを待つ。
車一台28ソモニ(560円)らしく、なぜか全然乗客が集まらない。
1時間ほどしてようやくおばさん1人が現れる。
ドライバーも自分もしびれを切らし、1人14ソモニ(280円)でおばさんと国境へ。
予想に反してタジキスタンとウズベキスタンの国境は閑散としており、
車の行き来はゼロ、歩いて国境を渡る人もほとんどいない。
人気のない国境付近でくつろぐ男に余ったタジキスタンのソモニをウズベキスタンのソムに両替してもらい、
炎天下バックパックを背負って1人国境へと歩く。
タジキスタンの出国は簡単。
入国と出国の建物が別になっているのを知らず、左側のタジキスタン入国のイミグレに間違って立ち寄ってから、
右側のタジキスタン出国のイミグレに改めて入り直す。
ウズベキスタンのイミグレオフィスが現れるまで10分ほど歩き、
銃を持った兵士にパスポートを入念にチェックされる。
ウズベキスタンのビザとは別に他国のビザやスタンプをチェックしたり、
いぶかしげにパスポートの増補ページを太陽に透かしたりしている。
ウズベキスタン側では建物が順にいくつかあり、
まずは陽気なおじさんに体温をチェックされる。
次の建物では再び別の兵士にパスポートを暇つぶしのように閲覧され、
ようやく解放されてイミグレの窓口へ。
英語を話す係員はウズベキスタン入国の目的、職業、最初に訪れる町などいろいろと質問してきた。
入国スタンプを押されてから最後の関門、税関申告と荷物チェック。
税関申告では手持ちの通貨と電子機器類を用紙に記入させられ、
丁寧に書いてから用紙を見せるともう一枚の用紙に同じように書くように言われる。
一枚は係員に徴収され、もう一枚は出国までなくさないように保持してなければならないらしい。
荷物チェックは若干真面目そうな男に淡々と行なわれる。
リュックとバックパックの中身すべてを外に出し、一つ一つ袋の中身をチェックされ、
日本から持ってきたiPhone4S、香港で購入したSIMロックフリーのiPhone5S、Nikonのデジタルカメラ、
MacBook Airのアルバム写真をすべてチェックされた。
とはいっても一枚ずつ見るというより、写真のサムネイルを流し見する感じ。
いやらしい画像や動画を持っていないので問題は一切ないと思っていたものの、
iPhone4Sに残っていたちょうど2年前の浅草カーニバルの動画をじっくりと鑑賞された。
セクシー衣装で踊るカーニバルの女性たちに見入っていたが、グッドと言うだけで削除されず。
なんだかんだ30分近く荷物チェックに時間を費やされる。
でもおかげで普段バックパックの底から出すことがない本や外付CD、今回の旅で一度も使用していない衣服などを自分でもチェックでき、
不要物は処分したり、ガイドブックや電子機器はイラン辺りからまとめて実家に郵送しようと思ったりする。
予想していたほどストレスはなく、形式ばかりのチェックをくぐり抜けてウズベキスタンに入国。
世界遊牧住み渡り21ヵ国目であり、人生118国目。
イミグレを出てまもなく数人の男たちに囲まれる。
行き先をテルメズと告げて1人のドライバーについていく。
タクシー1台貸し切りは高すぎるので他の人が同乗するのを待つも全くもって越境者が少ない国境。
ようやく現れた男性はサマルカンドに直行し、テルメズに向かう人は全然現れない。
手持ちのウズベキスタンソムが少ないので50ドル札1枚で1000ソム札200枚、200000ソムを両替してもらう。
闇両替のレートは1ドル=4500ソムと他の旅行者に聞いていたけれど、
他に誰もいない国境付近のタクシードライバからは1ドル=4000ソムがやっと。
それにしても輪ゴムで縛られた1000ソム札200枚渡されると大金を手にした錯覚に陥る。
かれこれ2時間半近く国境付近に停車しているタクシーで待ち、
他の乗客も現れないので、若いドライバーの提案により友人が途中のデナウからテルメズまでのシェアタクシーの乗客をすでに集めたので、
国境からデナウまで若いドライバーの来るまで行き、デナウからは友人のシェアタクシーに便乗で合計50000ソム(1500円)とのこと。
考えるまでもなく割高だと思うが、闇両替率で50000ソムは12.5ドル。
国境からデナウ経由でテルメズまで3時間。
すでに15時を過ぎていたので彼の案に賛成した。
疲労もあってデナウまで寝込んでしまいウズベキスタン入国を噛み締める余裕もなし。
デナウで後席に4人座っているシェアタクシーの助手席に乗り換えてテルメズへ。
デナウからのシェアタクシーを斡旋してくれた国境からのドライバーは35000ソムを自分の分、
残り15000ソムを友人の分と言っていた。
2時間ちょっとのドライブ。
テルメズ直前のパスポートのレジストレーションがあり、
同時に流暢な英語を話す係員に職業から旅のルート、これまで訪れた国、なぜ結婚していないのかなど尋問のように聞かれる。
街中のSurxhon(スルハン)ホテル近くで降ろしてもらい、お祭り雰囲気の明るく清潔なテルメズに1泊。
スルハンホテルは35000ソム、1000円ちょっとのシングルルームで快適。
プライベートルームは中国のホータン以来2ヶ月ぶり。
翌日午後16時37分発のタシケント行きの夜行列車のチケットも無事購入でき、
立ち寄ったレストランでは美形の少女とオーナーにもてなしを受け、
ラグメンの他にスイカとメロンのデザートを無料で頂いたりした。
第一印象がいい、中央アジアの大国ウズベキスタンの初日となった。
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