保守派のグラナダと自由派のレオンは暴力的に対立し、
結果として両都市の中間にあるマナグアが首都として作られたそうだ。
それぞれ特徴がありそうなニカラグアの三都、グラナダ、マナグア、レオンを訪れてみる。
特に何もないがニカラグア最初の町としてのんびり寛げたオメテペ島を去り、
渡し舟のようなフェリー、チキンバスを乗り継いでグラナダへ。
午前9時発のオメテペ島モヨガルパ発サンホルへ行きの船に乗り込めば、
サンホルへ港到着時に待機しているマナグア行きのチキンバスにスムーズに乗り換えられる。
グラナダはマナグアへの道路から外れているので、
多くのバックパッカー同様途中の分岐点で降ろしてもらい、グラナダ行きのチキンバスに乗り継ぐ。
正午前にグラナダに到着。
ニカラグアはコスタリカの平地部より暑く、日中は35度越え。
雨を降らす雰囲気が全くない青い空で太陽が強烈な光を放ち、じりじりと肌を焼く。
保守派の拠点だったグラナダはかつて訪れた真夏のスペイン、アンダルシアのグラナダ以上に暑い。
予約した宿近くにある荘厳な教会を見上げるも目眩が生じる。
教会入り口に物売りがいるくらいで人通りがまばらなグラナダ。
それでも市場は活気に満ちている。
カラフルな建物が多く、市場もコロニアルな感じがする。
長らく塗装していないようでボロボロと言えなくもないが。
美味い屋台風食堂が連なるコスタリカの市場を見た後だとちょっと物足りないニカラグアの市場。
グラナダの市場の食堂の数が少なく、
扇風機が回っている小さな安食堂でバナナやイモ、トウモロコシ入りの牛すじスープにやっとありつける。
500ミリの瓶ファンタとあわせて90コルドバ(360円)なのでコスタリカの半額近いのが嬉しい。
ニカラグア人はカラフルな原色が好きなのか、売られている衣服も色鮮やか。
赤、青、緑、黄、ピンク、紫と原色の街並みに人々の服装も溶け込んでいる。
まるで田舎のような小さな町グラナダの中心広場へ。
初めて見るはずなのに既視感がある赤いドームの黄色い教会が広場前に鎮座している。
樹木が多く、木陰が涼しい広場で寛ぐ人々が多く、
ジュース売りや土産屋の露店も並んでいる。
だらしなく舌を垂らした犬も徘徊している広場。
アジア系をほとんど見かけないニカラグア。
それでも西欧人には人気があるようで広場で若いバックパッカー以外に団体客も目にしたりする。
だからか広場周辺には西欧人好みのカフェやレストランが目につく。
馬車が石畳の上を走るグラナダは眠気を誘うような古都だった。
広場を離れるとカラフルな平屋が続き、穏やかな時間が流れている。
首都マナグアはグラナダから日帰り旅行で訪れる。
治安が悪いと旅行者の間で知れ渡っているマナグアなのであえて宿泊してみたいと思わない。
マナグアの治安の悪さは真偽が怪しいネット情報だったり、口コミによる誇張もあるけれども、
現に昔スーダンを一緒に旅行し、7年ぶりに中央アジアのキルギスの首都ビシュケクで再会した旅仲間が
マナグアでタクシー強盗に逢い、病院送りになったと聞いていたのでかなり用心して向かう。
パスポートやクレジットカードなどの貴重品は宿の部屋に置いておく。
これまで中米で常に背負っていたデジタル一眼レフ入りのリュックも持たず手ぶらの格好で、
写真と地図のためにiPhoneだけはあジーンズのポケットに入れておいた。
グラナダからマナグアへはレオン行きの乗り継ぎに便利なミニバスか、普通のチキンバスがある。
レオンに移動する際にミニバスを利用するので日帰り旅行においてあえてチキンバスを利用。
マナグア行き専用のチキンバス乗り場に行くと、乗客3人しかいないのにすぐに出発した。
片道18コルドバ(70円)で、1時間強のバス旅。
乗り合いバスなので途中何ども人が乗っては降りていく。
チキンバスはMercado Huembesという市場近くに到着した。
悪名高いマナグアなので緊張感があるけれども、手ぶらなので堂々と歩ける。
何よりも首都と思えない田舎のような街並み、穏やかな市場の光景に拍子抜けしてしまう。
腹ごしらえに適当に見つけた市場の食堂では肉の唐揚げとトルティーヤ、サラダ、ジュースで63コルドバ(250円)と格安。
店の子供じゃないのに少女が自分のテーブル前に座り、いろいろと話しかけてくる。
やがてどこからか現れた母親と去っていった。
市場ののんびりとした雰囲気に気が和む。
Mercado Huembes前から適当なバスに乗り込み街中へ。
と思っていたら町の中心から離れて別方向に向かっていたので慌てて降りて炎天下歩く。
グラナダ同様、いやそれ以上に暑いマナグアで歩いている人をほとんど見かけない。
それにしてもど田舎のような緑溢れる街並み、平屋ばかりの町にここが人口100万を要する首都なのか疑問が湧く。
正直、パナマシティの旧市街近くのスラムのような団地やサンホセのバス会社が集まる地区の方が小汚く、
閑散としており、危ない雰囲気が漂っていたが、
一見小綺麗なマナグアも人通りのなさ、厳重な鉄格子や有刺鉄線を前に夜歩きしない方が良さそう。
ちょうど休憩がてら立ち寄ったエアコンが効いたショッピングセンター近くにTicaバス会社があると分かり、
今後のホンジュラス行きも兼ねて立ち寄ってみる。
この界隈は強盗多発地帯といろんなネット情報で書かれているものの、
昼間歩いてみると学生が歩いていたりと普通の住宅街のようだ。
ただ有刺鉄線がどこにでもあるので気を緩めないようにする。
街の中心と思われる大通りに出ても人の往来がない。
ちょっとした露天商や信号待ちの自動車に水を売るおばさんたち、
車の窓を拭こうとする若者が木陰で待機しているくらい。
36度にもなる極暑の日中は悪い連中も昼寝しているのかもしれない。
ニカラグアらしいカラフルなモニュメントがあるロータリーを超え、共和広場へ。
広場に誰もいなく、宮殿のような建物と地震で崩壊したままになった廃墟の教会が静かに佇んでいた。
よく見ると記念碑がある公園の木陰で休んでいる人や警備員もいる。
警備員は時間を訪ねてきたりと暇そうだった。
カラフルな木のモニュメントが並ぶ湖畔も人気なし。
ここも警備員が日陰でぼーっとしているだけ。
とにかく暑く、先ほどショッピングセンターでペットボトルのジュースを一本空けてもすぐ喉が渇き、
身体中から汗がにじみ出てくる。
小汚い湖を眺めてからグラナダのミニバス乗り場方面にひたすら歩いていく。
首都というより完全に田舎の車道であり、
牛が草むらで尻尾を振っていたり、木造の平屋の前で男がぼーっとしていたりする。
マナグアほど活気がない街も珍しいかもしれない。
湖畔から40分くらい歩いていくと、震災後に作られたと思われるモダンなデザインの大聖堂が現れる。
ちょうどミサが行われている最中で、1日マナグアを歩いて見かけなかったほどのニカラグア人が集っていた。
すでに日が大きく傾いている。
大聖堂からUCAというミニバス乗り場まで10分ほど。
暑いだけで退屈でもあったマナグア街歩きは日帰りで十分だと実感した。
ニカラグアの三都巡り、最後はレオン。
グラナダからレオンへの直行バスはないけれども、
グラナダのミニバス乗り場からマナグアのUCAに移動し、
UCAのバス停留所で降りてすぐにレオン行きのミニバンに乗り換えることができる。
席数に関係なく乗客を詰め込むグラナダ〜マナグアの25コルドバ(100円)のミニバスと異なり、
マナグア〜レオンのミニバンは人数がいっぱいになったら出発し、
その後新たに乗客を追加することなくダイレクトに目的地まで走り続けるので楽。
西アフリカのシェアタクシーや中央アジアのマルシュルートカのようだ。
値段は54コルドバ(200円)とミニバスやチキンバスよりちょっと高め。
マナグアから1時間半ほどで到着したレオンはグラナダ同様のんびりした町。
日曜日だからかグラナダ以上に閑散としている気もする。
相変わらず回転スピードが遅いファンだけで暑苦しいホスタルに荷物を置いて歩き出す。
コスタリカのリベリアからニカラグアのオメテペ、グラナダ、レオンと30度後半の気温が続いているけど、
日数を重ねても暑さに体が馴れることはない。
かつてニカラグアの首都だけあってレオンの教会群は歴史を感じさせる。
世界遺産のカテドラル。
白亜の大聖堂は重厚な造りでひときわ目立つ。
カテドラル前の広場はグラナダのように土産屋が多かったり、
広場周辺にホテルやレストランがあったりとツーリスティックでない。
濃厚な甘さを持つ練乳をかけてかき氷を食べながらベンチでのんびりするのにいい。
また、グラナダの広場同様、フリーWiFiが利用できるので、
木陰でスマホやタブレットをいじる地元の若者が目立つ。
馬車以外にインドネシアやマレーシアにありそうなサイクリクシャーが走っているのが特徴か。
中米にいるという警戒心のガードが落ちてしまうほど穏やかなレオン。
とはいえ、不意に物乞いが声をかけてきたり、スリもいるので油断は禁物。
屋内市場はサウナのように熱く、扇風機もない食堂で汗を垂らしながら具沢山のスープを食べる。
暑いと食欲がわかなく、ひたすら喉が乾くけれども無理してでも食事をとるべき。
30度後半の昼下がりに歩き回る気になれず、
とろすぎるファンの元汗を滲ませながらぐったりし、夕方から街歩き。
日が暮れると広場周辺も人が多くなる。
ライトアップされるコロニアルな教会群も素晴らしい。
眠気を誘うようなニカラグア三都を巡り、中米の前半が終了。
ニカラグアの次はこれまた治安に不安があり、
ネット情報を見ているとノイローゼになりそうなホンジュラスの首都テグシガルパへ向かう。
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