ホンジュラスを訪れた最大の目的であり、唯一の目的といえるのがコパン遺跡。
今後グアテマラ、メキシコを北上していくと何度か見るであろう古代マヤ文明の遺跡を初めて見る。
昼間の熱がこもった天井下の部屋で暑苦しくて熟睡できなかったサンペドロスーラの宿、Dos Molinosをすぐに去る。
部屋自体は綺麗だったけれどもWiFiは部屋まで届かないし、眠れないのに20ドルも取られるのは高い。
Dos Molinos唯一の利点はバスターミナルへの送迎サービスがあることだろう。
世界一治安が悪いと言われるサンペドロスーラで市バスや10ドルもするタクシーを使わずに済む。
トーストとコーヒーだけの簡易な朝食を終えてバスターミナルに送ってもらった。
サンペドロスーラからコパン遺跡のベースとなるコパンルイナスの町までHedman AlasとCasasolaという会社がバスを走らせている。
Hedman Alasはエアコン付きの大型バスだが料金はかなり高く、
自動車学校への送迎ミニバスのようなCasasolaはHedman Alasの4分の1ほど、140レンピーラ(700円)とお手頃。
本数もCasasolaの方が多いので当然安い方を選ぶ。
それにしても、サンペドロスーラのバスターミナルは入り口からしてライフル銃を持って武装した警備員が多いし、
バス乗り場にも拳銃を持ってガードマンがいる。
あまり治安が良くない中米でもこんなに銃を見かける町はなかった気がする。
ほぼ満員のミニバスは午前11時に出発。
コパンルイナスに向かうバスだけあって西欧人バックパッカーも二人乗っていた。
すでに気温が高く、開け放たれた窓から入ってくる熱風に気分が悪くなってくる。
ドライヤーの風を浴びているようで窓を閉めた方がまだましである。
それでも、山道に入っていくと風が涼しくなってくる。
銃を持った警察が車の荷台に乗ってパトロールしているサンペドロスーラを出れば、
ニカラグアと変わらないのどかな山林風景が続く。
途中何もないような道端で新たに母娘が乗り込んできたり、
小さな家屋が点在する山中でおじさんが降りたりする。
水滴に覆われたペットボトルのジュースを洗面器に入れて売る若者が乗ってくるときもある。
3時間半くらいでコパンルイナスに到着。
コパンルイナスへようこそと書かれた橋を渡り、石畳の小さな町に入る。
コパンルイナスがただの田舎町に見えないのは世界遺産のコパン遺跡のベースとなる町だからだろう。
町の奥の方にあるIguana Azulという宿まで歩く。
一泊350レンピーラ(1750円)を3泊するということで割引してもらい一泊300レンピーラ(1500円)。
清潔で落ち着いたクリーム色と橙色のペイントの部屋であり、
窓からのそよ風に揺れる白いレースのカーテンや卓上ライト、
高い天井についたファンのライトのオレンジ色の明かりに癒される空間は
ちょうど1ヶ月滞在した中米で一番居心地いい。
日が沈むと涼しくなる山奥の町でホットシャワーを浴びられるのが贅沢。
思えば、パナマから始まった中米の旅で常時ホットシャワーが出る宿はなかったはず。
WiFiもニカラグアでなかったほどの満足できるスピードで、
コパン遺跡とは別にIguana Azulで寛ぐためだけに長居してもいいと思えるコパンルイナス。
ちなみにIguana Azulの隣に同系列のCasa de CafeというB&Bがあり、
値段が高めだからか西欧人の子連れ観光客が宿泊していた。
逆にIguana Azulは自分一人。
静かで快適なプライベートな空間に緊張感が伴う中米の旅の疲れがとれる。
唯一Iguana Azul宿泊客に朝食は含まれておらず、
コパンルイナスでベストと評判の朝食を隣のCasa de Cafeで食べると150レンピーラ(750円)。
部屋代の半分もするけれども、一回くらい食べる価値がある朝食だった。
コパンルイナスの町は小さな田舎町であり、観光客向けの町でもある。
中央広場はホンジュラスと思えないほど平和でのんびりしており、
タイのトゥクトゥクのようなタクシーが石畳の坂道を登る光景に気が和む。
カラフルな家屋が連なる通りを歩いているだけで楽しい。
やはりコパンルイナスはコパン遺跡のためだけの町でなく、
ホンジュラスで魅力のある街の一つのようだ。
涼しくなる夕方頃から人々が玄関先に出て寛いでいる。
朝晩は涼しいとはいえ、標高500メートルちょっとのコパンルイナス。
最高気温が30度後半になる午後を迎える前にコパン遺跡へ向かう。
町から遺跡まで何キロも離れたアンコールワットと違い、
道路沿いの整備された歩道を歩いて20分くらいでコパン遺跡の入口にたどり着く。
カンボジアのアンコール遺跡群やミャンマーのバガン仏塔群を知っていると、
がらんとした駐車場やビジターセンターに拍子抜けしてしまう。
ホンジュラス一の観光地なのにほとんど観光客がいない。
コスタリカやニカラグアで溢れていた西欧人バックパッカーもちらほら見かけるくらい。
むしろホンジュラス人の訪問客が目立つ。
コパン遺跡の入場料は330レンピーラ(1600円)。
博物館や地下トンネルは別料金なのでとりあえず払わず。
ビジターセンターの入口で見かけた案内板によるとJICAがコパン遺跡の保護に貢献しているそうだ。
ホンジュラスからグアテマラ、メキシコのユカタン半島に散らばるマヤ遺跡。
人生初の古代マヤ文明の遺跡をホンジュラスで見るのは悪くない。
逆にメキシコやグアテマラで他の遺跡を見てから南下してくる頃には遺跡廻りに飽きているような気もする。
いざ遺跡内へ。
直射日光を遮る樹木の間の道を歩いていく。
木の上で怪物のようなギャーギャーとなく声が聞こえるので見上げてみると、
虹色の巨大なインコがとまっている。
周辺にインコ用の木箱や水飲み場が設置されており、間近でカラフルなインコと対面できる。
鳴き声もさることながら、顔もくちばしも迫力がある。
遺跡内の地図と探索ルートを眺めてから歩き回る。
手入れされた草原に佇む石の祭壇。
修復が現在進行中のピラミッドのような石段が南側に広がっている。
草原にはステラと呼ばれる石像がいくつも点在している。
マヤ古代人だろうか。
ガイドブックを読み返してみるとラビット18世という王様とのこと。
遺跡保護のためだろうが少なからず景観を乱すバラック屋根のもと、石像が立っている。
草原にはステラとあわせてマヤの神々も展示されている。
それにしても訪問客がまばらすぎるコパン遺跡。
観光客が溢れかえっているアンコールワットやマチュピチュにない開放感がいい。
すぐ近くで先の怪物のようなインコの鳴き声が聞こえてくる。
近づくと6羽のカラフルなインコがとまっている。
たまに木の枝間を巨大な虹色が舞う。
崩れ加減と鬱蒼とした樹木のコントラストがいい。
石段を登ってみると鳥の頭の彫刻を発見。
この一帯で見かけるインコに違いない。
まるで石壁に飲み込まれているようであり、大空に飛び立つことを渇望して悲鳴を上げているように見える。
古代から虹色のインコが生息していたのだろうか。
修復中でテントで保護された階段もある。
崇高なレリーフに見とれてしまう。
強い日差しを遮るテントも悪くないかもしれない。
崩れかけた巨大な石段を裏から登る。
遺跡を突き破って成長している樹木に生命力の強さを実感。
アクロポリスと呼ばれる南側には二つの広場があり、
広場に挟まれるように自然に同化したピラミッドのような寺院がある。
寺院に入口があり、追加料金を払えば地下トンネルに入れるようだ。
手入れされた草原の北側と異なり、
南側のアクロポリスの方が遺跡が崩れていたり、
樹木に侵食されていたりと遺跡ぽっさが強い。
遺跡群の一番奥、最南端にかつて住居だった遺跡が放置されてる。
緑に覆われた光景はアンコール遺跡群のベンメリアに似ている。
誰もいない朽ち果てた住居跡を歩き回っていると、
このためだけにホンジュラスに来た甲斐があったと実感する。
鳥の声をのぞけば静まり返った樹林で石たちが息を潜めているようだ。
日差しが強くなり、気温も上がる午後、
深い樹木に覆われた遺跡をゆっくりと回るのに限る。
大満足の人生初のマヤ遺跡となった。
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