プノンペンに到着してから知ったのだが、4月13日はカンボジアの大晦日で、
14日からの3日間はタイと同様、カンボジアも正月休暇だった。
プノンペンはすでに多くの店が閉まっており、
中心街のホテルも満室ばかりで3人部屋を探すのに苦労した。
3人部屋というのは、ホーチミンシティからプノンペンへのバスで
中国人女性ターリャ、イギリス人男性エリオットとそれぞれ出会い、
プノンペンに一泊することになったからである。
かつてイギリスに一年半留学しており、
珍しく英語が堪能な中国人であるターリャの提案で、
翌日にはカンボジア南の島に行くことになった。
なんでもビーチリゾートのシアヌークビルからロン島という海が美しい秘島に船で行けるらしい。
残念ながらイギリス人のエリオットは残金に余裕がないということで、
ロン島には行かず、プノンペンで別れることになった。
カンボジアの正月初日だけあって、
プノンペンの老舗安宿であるキャピトルゲストハウス前のバス乗り場は混んでいる。
エアコンが効いたバスで4時間眠り続け、
ビーチリゾートのシアヌークビルに到着。
バスステーションでトゥクトゥクのドライバーにロン島に行きたいことを告げると、
シアヌークビル街中の旅行会社に連れて行ってくれた。
なんでもコーロン•ダイブセンターという西洋人が働いている旅行会社がロン島へのボートを運営しているらしい。
島に行こうと誘ってきたターリャも自分もロン島への行き方は知らないので、
流されるままに旅行会社で往復15ドルのボートチケットを買い、14時の出発を待つ。
ちなみに、自分らは帰りのボートの時刻を9時にしたので15ドルだったが、
9時か15時のオープンチケットにすると20ドルと少し高い。
コーロン•ダイブセンターの前でボートが出航する港までのピックアップトラックに乗り、
鄙びた桟橋があるだけの港に到着。
ボートは2階のデッキまで西洋人バックパッカーで溢れている。
これまたボートに乗ってから知ったのだが、
翌日の4月15日は月が真円を描き、
ロン島ではフルムーンパーティーが行われるらしい。
ネットの情報によるとロン島のゲストハウスは数少ないそうなので不安になる。
2時間のスローボートのデッキでは若い西洋人グループが持参のウォッカでカクテルを飲みつつ、
当たり前のようにガンジャを巻いて、仲間同士で回し合っていた。
なお、ロン島は南北に2つあるようで、
宿泊施設や村があるのは北の島のようだ。
フルムーンパーティーそのものは南の無人島で行われるらしい。
カンボジアの秘島と聞いて、
静かなパラダイスを期待していたのだが、
実際はタイの南の島のように白人天国かもしれない。
自分とターリャ以外にボートにはアジア人がほとんどいなかった。
ボートで出会い、ロン島で一緒に時間を過ごすことになったカンボジア人女性のマリアと
中国系カナダ人のカップリ以外は皆西洋人。
少しばかり場違いなシチュエーションである。
恐れていたとおり、ロン島のゲストハウスやバンガローは
カンボジア正月と翌日のフルムーンパーティーの影響でどこも満室。
なんとかカンボジア人のマリアが民宿のような島民のゲストハウスと交渉してくれ、
一部屋だけは確保できた。
蚊帳付きのベッドは一つなので、そこにターリャとマリアが眠り、
自分は床に敷かれたマットレスで雑魚寝。
薄いマットレスなので体は痛くなるし、薄いシーツを全身に被っても蚊に刺されて、
安眠からほど遠いロン島での2泊となった。
すでに正月の騒ぎは始まっており、
いきなり民宿のおばちゃんに無料のビールをもらい、顔に白い粉を塗られ、
村人と奇妙な正月祝いダンスをするはめになった。
島到着のウェルカムダンス鑑賞は聞いたことがあるが、
ウェルカムダンスに参加することになるとは。
また、規模は小さいものの、
水かけ祭りも行われている。
ビーチ前のオープンレストラン、バーに西洋人が多すぎることを除いては、
正月騒ぎといっても、島での時間はのんびりしており、
夕暮れ時の海は閑静で、
海面に映る満月は別世界にたどり着いたように思わせてくれる。
フルムーンパーティ前日からお祭り騒ぎの北のロン島では、
まるで12年前のタイの南の島、ピーピー島の夜を再現するように、
ライブミュージックが流れるバーでビールを飲んだりした。
カンボジア料理ではないが、
砂浜のテーブルで食べたチキンの串焼きバーベキューは旨い。
翌日はバーで出会った陽気なテキサス人に勧められるままに、
ターリャとマリアの3人で申し込んだボートツアーに参加する。
その前に同じくバーで出会った西洋人と共にハイキングに行く。
最初は5人だったハイキンググループはいつの間にか男女7人になっていた。
国籍も日本、中国、カンボジア、イタリア、カナダ、ドイツ、ポルトガルと皆違う。
8日間のんびり過ごしたホーチミンからカンボジアに入国してからは、
流されるように旅行者と過ごす時間が進んでいく。
1人でのんびり旅するのが大好きだけれども、
たまには他の旅行者と過ごすのもいい。
ハイキングコースは島を貫通する形でロングビーチまで続く。
ハイキングというよりはトレッキングで、
後半はジャングルの中のロッククライミングのようにハードだった。
1時間近く歩き、ようやくロングビーチが見える。
あいにく雲が多く、若干青さは欠けるものの、
白すぎる砂浜は圧倒的に非現実的で、
海水はロン島の村周辺のビーチよりも透明度が高い。
本来なら白いビーチが素晴らしいロングビーチでのんびりしたかったが、
午後からすでに申し込んだボートツアーがあるので、
30分だけ過ごしてロングビーチを後にする。
ハイキンググループの男女7人のうち4人とはここで別れる。
上り下りがハードなロッククライミングを再び行い、
1時間かけて村まで戻る。
午後2時からのボートツアーの集合時間ぎりぎりだったので、
昼飯を食べる時間もない。
すきっ腹にアルコールはよくないが、
ツアーのウェルカムドリンクのビールは嬉しい。
たぶん今夜はフルムーンパーティーがこれから向かう南のロン島で行われるからか、
ボートツアー参加者は自分、ターリャ、マリアを含め、9人だけだった。
ちなみにフルムーンパーティーへのボートは夜11時に南のロン島にむけて出航し、
翌朝の11時に戻るそうだ。
まずは南のロン島近くでシュノーケリング。
自分はまったく泳げず、
シュノーケリングは12年前のピーピー島で最初で最後のはずだったが、
海の美しさに負けて12年ぶりに挑戦。
といっても、ジャケットとマスクを身につけて海水に浮かんでいるだけなので、
大変なことはない。
西洋人は海水に浮きながらビールを飲んでいる。
次は夕食のバーベキューのために釣り。
前日のボートツアーではエンゼルフィッシュを釣り上げたという。
夕食がかかっているので自ずとテンションが高くなる。
が、まったく釣れない。
釣り糸を垂らしてすぐに小さな魚を釣り上げた人もいるので、
魚がいるのは確かだがまったく釣れない。
何かと気が短い中国娘のターリャも不機嫌になっている。
釣り糸に取り付けられた餌のイカが不味いのではないかと思ってしまう。
結局、9人で50分近く釣り糸を垂らし、
収穫は小魚三匹だった。
ツアーボートは南のロン島をゆっくり周り、
夕暮れ前には北のロン島へ。
午前中に往復2時間かけてハイキング…
いや、トレッキングしたロングビーチ近くでボートが停泊し、
遊泳タイム、夕日鑑賞タイムとなった。
ボートからロングビーチまで泳いでいる人が多い中、
泳げない自分はデッキから白い砂浜のビーチと現実離れした島の夕焼けを眺めた。
やがて日が暮れ、揺れるボート内でバーベキュー。
魚があまり釣れないことが予告されていたように、
バーベキューは事前に用意されていたチキンだった。
この日、4月15日はフルムーンパーティー。
島の山際から昇る満月、
ツアーガイドに言わせるとムーンライズは幻想的だった。
サンライズは見る機会が多いが、人生で初めて見るムーンライズ。
ロン島での2日間見るものすべてが満月のもと、輝いていた。
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3 件のコメント:
楽しそう!憧れます!
U-Maさん
偶然の出会いも素晴らしいですし、秘島で国籍関係なしに楽しめたのは最高でした!
いいですね〜
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