マレーシアでは海水浴を楽しんだり、ラマダーン中の閑静な町を廻ったり、
何人かの旅行者と再会したり、クアラルンプール在住の友人にお世話になったり、
大都会で日常生活を送ったりと、平穏だけど有意義な夏休みを過ごした。
シンガポール長居前の最終地はマラッカ。
当初はシンガポールとの国境の町ジョホールバルにてマレーシア周遊を締めくくるつもりだったが、
ジョホールバルには安宿がないそうで、
また以前訪れた際にいい印象がなく、
今回はマラッカ滞在後一気にシンガポール入りしようと思う。
シンガポールでのプチ滞在はほぼ1ヶ月半。
90日間のビザなし滞在が許されたマレーシアと異なり、30日しか滞在できなく、
1ヶ月半長居するには一度シンガポールから出国する必要がある。
その際にジョホールバルを日帰りで訪れるだろう。
薄暗くて心地よいとは言えないものの、
11泊したバックパッカーズ•トラベラーズロッジをチェックアウト。
2005年に宿泊した時のように南京虫に襲われなかっただけでもマシと言うべきかもしれない。
マラッカ行きのバスは中華街近くのバスステーションから運行がなく、
LRTに乗って南部のTBSバスステーションに行かなければならない。
モダンで効率的なTBSバスステーションでは窓口にて
バス会社に関係なくチケットを購入できて楽だった。
マラッカまでは約14リンギット(420円)。
快適なバスでうとうとしていると、
ものの1時間半でマラッカ•セントラルバスステーションに到着してしまった。
マラッカ•セントラルとはいえ、
場所はまったくセントラルではない。
いつものように市バスに乗り換えて旧市街へ。
日曜日ということもあり、
市バスからして観光客で混み合っている。
宿は夏休みシーズンなので前もってネット予約したトラベラーズプラネット。
すでに4泊分予約した35リンギット(1050円)の部屋を見せてもらうと、
窓なしのじめじめした暗い部屋で、
何度か嗅いだことがある異臭が立ちこめている。
マットレスとその下の板をチェックしてみると黒いシミが多く、
実物や抜け殻は見当たらなかったけれど、
いかにも南京虫が好きそうな環境である。
さすがにここに4泊する勇気はないので、
優しそうな女性に相談してみると、
2面に窓があり、床もマットレスも奇麗なダブルルームを紹介してくれた。
清潔なぶん、1泊45リンギット(1350円)と高い。
マラッカに5泊すると言うと、1泊40リンギット(1200円)にしてくれた。
南京虫遭遇率が非常に高いマレーシアの宿では5リンギットくらいケチるべきではない。
マラッカは2002年、2005年、2011年にも訪れている。
宿の女性が教えてくれたようにマラッカの変貌は著しく、
3年前にはなかった巨大ショッピングモールが宿の近くにできていたりする。
2005年まではドブ川にボロ家屋が連なる川沿いは一新され、
洒落たカフェが並び、散歩にはうってつけの遊歩道が続くリバーサイドになっていた。
さらに大昔はバスステーションだった場所には観覧車があり、
月日の経過が早いもので観覧車が動く様子はすでにない。
中華街の目抜き通りのジョンカーストリートではより観光客が増え、
比例して土産屋、軽食屋台の数も凄まじい。
たぶんマレーシアで一番変化のスピードが大きいのがマラッカかもしれない。
マラッカのジョンカーストリートには人気のチキンライスボール店があり、
2011年の短期旅行での訪問時には友人の中村さんと一緒にぷりぷりのチキンと
ボール型のジャスミンライスを食べた。
今回は一人長列に並んで、テーブルに案内されるのを待つ。
ライスボール5個とチキン少量は物足りなかったけれども、
中国茶とあわせて5.5リンギット(170円)と安かった。
チキンライスボールの味は長列のわりにはそこそこで、
自分としてはクアラルンプール中華街の海難チキンライスや
イポーのチキンライスの方がずっと美味しかった。
チキンライスの場合、鶏肉のどの部分があたるかという運もあるため、
同じ店でも日によって旨さが変わったりする。
オランダ人に作られた教会周辺や聖ポール教会跡には過去に何度も訪れているので、
軽くスルー。
さまざまな国からの観光客がひたすら記念撮影をしている。
数年前と違い誰でも気軽にスマホで写真を撮れる時代になり、
より多くの人々が観光地でポーズを決めつつ写真を撮りまくっている。
夕暮れ時に人工的なリバーサイドを歩く。
雨模様だからか散歩している人は少なく、
のんびりと歩いてまわれる。
やがて雲間から現れる西日がマラッカ旧市街の情緒を醸し出してくれる。
橋の上から川を眺めていると、
2002年に初めて見て驚いた巨大トカゲがいまだに泳いでいて嬉しかった。
人工的な世界遺産の街にジャングルに住んでいるような巨大トカゲが出没するギャップがいい。
歩いていても影響はないほどの微かな通り雨の後は、
マラッカの古い街並みに西日が照り映える。
ほんの数分だが街中が黄金色に包まれる。
そして不意に虹が現れる。
慌ただしい日常生活では気づくことさえないような淡い虹。
すぐに消えてしまいそうな虹をゆっくりと眺めながら
川沿いを歩けるマラッカのスローな時間がいい。
別の日には夕日を見に行く。
バックパッカーの間では深夜特急の影響もあって
マラッカの夕日は有名だけれども、
これまでマラッカで夕日を見たことはなかった。
マラッカを初めて訪れた2002年の時点では
まだ深夜特急を読んだことがなかったので夕日が有名だとは知らなかったし、
2005年の訪問の際、
小高い丘にある聖ポール教会跡から夕日を見ようと思ったが、
障害物だらけで夕日鑑賞スポットからは遠すぎた。
2011年はクアラルンプールからシンガポールへの途中下車のようなもので、
夕暮れ前にマラッカを発ってしまった。
今度こそ夕日が見たい。
マラッカ到着日に偶然中華街で再会したアキラ君はすでに夕日を見たという。
アキラ君とはバンコクのカオサン通りで一晩だけ一緒に飲んで、
その後インドに行った以外は分からなかったが、
無事インド、ネパール旅行を終えて、マレーシア、香港、台湾を経由して帰国するらしい。
アキラ君に夕日が見れるローカルスポットを教えてもらい、
夕暮れ時に向かってみる。
しかし、運悪く途中まで輝いていた熱帯の日光は
夕暮れ時に雲間に隠れてしまった。
雨を予感させる積乱雲も近づいてくる。
それでも雲と陸地の間にかすかに隙間があるので辛抱強く待つ。
やがて一瞬、丸い太陽の一部が現れ、それ以上大きな真円になることはなく、
マレー半島の西沖、スマトラ島の方角に沈んでいった。
まだまだ続く旅への希望を持たせてくれるような夕日だった。
ほんのりとピンク色に染まる夕焼けもノスタルジックなマラッカにふさわしい気がする。
マレーシアでの夏休み気分の旅行はようやく終わる。
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