2014年8月8日金曜日

クアラルンプールで時の流れに身をまかせる(2014年8月7日)

お気に入りのクアラルンプールでも滞在期間が1週間以上になると、
旅の日々が日常に近くなる。
とはいえ、日常と相反するような異国の都会で、
何も考えずに時の流れに身をまかせるのも悪くない。

観光などはせずにぶらぶらとあてもなく街中を歩き、
休息に立ち寄ったセブンイレブンの椅子に腰掛けて
ジュースを飲みながら友人にLINEメッセージを送ったり、
Facebookでコメントを残したりする。


あるいは、日本でも一度も食べたことがなかったクリスピークリームのドーナッツを食べたり、
フードコートでマレー料理でも中華でもインドカレーでもない
テキサス風メキシコ料理を食べたりする。
東南アジアのスパイシーな料理ばかりで感覚が鈍ってきた舌に
上品な甘さのドーナッツやトロトロチーズのブリトーは新鮮である。




クアラルンプール在住のラメスが時間を作ってくれるのは嬉しい。
イエメン料理レストランに誘ってもらって
香ばしくてジューシーなアラブ料理を食べたり、
マレーシア西海岸のポートディクソンまでドライブを楽しませてもらったりする。
あまりにも贅沢な時間。





ポートディクソンは数年前まで小さな漁村だったようだが、
つい最近急激に開発が進み、今では洒落たカフェやレストラン、
ブティックホテルが海辺に並ぶちょっとしたリゾート地らしい。
リゾートといっても、外国人が訪れるようなペナンやランカウイの賑やかな雰囲気からは程遠く、
いかにも地元の人向けの憩いの場といった感じ。
灰色の空の下、海はそう奇麗なものではなかった。
天気がよければ、スターバックスに飾られている写真のような南国的なビーチなのだろう。



残念ながらこの日は太陽が出ることがなく、
雨雲も近づいているので、
スターバックスで3時間ほどまったりと寛ぎ、
ラメスといろいろ話し合ったりする。




自分の旅行計画やライフスタイルについて語り、
4年間東京で働いて稼いだ貯金を切り崩して長期の世界周遊している理由など話す。
また、仕事の話になると、
ヨルダン人としてマレーシアに住んでいるラメスにとって職場での待遇がいかに悪いこと、
日本人であればマレーシアでも国籍が優遇されるので仕事を見つけやすいことなど
強い口調で語っていた。
また、ヨルダン人のパスポートに比べ、日本のパスポートがどれだけ世界で通用する強いものか、
日本人というだけで多くの国をビザなしで旅行できる素晴らしさを面と向かって言われると、
得意げにこれまでの世界周遊について語っていた自分がどれだけ日本という国の恩恵を受けているのか、
日本に生まれてどれだけ幸運なのかを深く実感してしまう。
当たり前だけど、人間はこの世に生まれた瞬間から不平等である。
日々の努力や運で変えることが出来ないものも多い。
ある程度の貯金と時間さえあれば世界周遊はできるなんてとても言えない。


夕暮れ時は見事な雨で、夕日はおろか夕焼けも皆無だったが、
地元の人しか知らないという隠れ家的なビーチに連れて行ってもらう。
ビーチは小さいが、干潮になれば歩いて渡れるらしい島が見えたり、
板が一部朽ち果てたような桟橋があった映画に出てきそうな風景だった。





クアラルンプールへの帰路はラメスが好きなトランスミュージックを聴きながら、
雨に濡れる車窓をぼんやりと眺めていた。

クアラルンプール滞在は残り数日。
その次のマラッカにて50日に及ぶマレーシア周遊が終わる。






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