それぞれの島を陸路で横断していく。
地図を見る限り巨大な島ではないものの、
曲がりくねった山道を進んでいくのでやたらと移動に時間がかかる。
フローレス島の港町エンデからは避暑地のようなバジャワを通り、
西端のラブアンバジョへ。
一気に横断すると15時間以上かかるらしいので、
途中のバジャワで宿泊することにする。
エンデの北西の町外れ、Ndaoバスターミナル近くの小さな売店が並ぶ場所からバスが出る。
事前に訪れて出発時刻を尋ねたところ、
バジャワ行きもラブアンバジョ行きも朝6時とのこと。
乗り遅れないように日の出前の5時半に3泊したイクラスホテルを出る。
バックパックを背負ってイクラスホテルの前の通りに出て間もなく、
バイクタクシー、オジェのおじさんから声がかかり、
Ndaoバスターミナルと告げる。
すでに明るくなり始めたエンデの町を眺める余裕はなく、
バイクの後席でバックパックの重みで振り落とされないようにバランスをとるので忙しかった。
オジェは3台のバスが並んで停車しているバスターミナル近くまで連れて行ってくれる。
わずかな交渉によって10000ルピア(90円)を払うが、
高いのか安いのか分からない。
フローレス島の公共交通手段でもあるミニバスは当然エアコンなしの乗り合いバス。
道端で待っている村人を乗せたり、市場の物資を運んだり、
屋根に甲高い声でわめく豚を載せたりしている。
バジャワまでは4時間程度。
料金は後払いなので降りるときに忘れそうになってしまう。
60000ルピア(540円)と高くはない。
海沿いの曲がりくねった山道を進み、やがて竹林が目立つようになる。
木々の合間からは火山が見えたりする。
実際バジャワに到着してからも思ったが、
インドネシアのフローレス島で竹林を見るのは不思議な感じがする。
はっきり言って何もないバジャワの小さな町。
それでも、標高1100メートルのため若干涼しく、
頭上を流れる雲が近い。
1泊で素通りではなく、せっかくなので2泊する。
宿は久々にWiFiがあるEdelweis(エーデルワイス)ホテル。
高地の柔らかい陽光が大きな窓から差し込む明るい部屋である。
お馴染みの溜め水によるバケツ水浴のマンディではなく、
上から水が出るシャワーがある。
残念ながら、標高が高いバジャワでは水シャワーを浴びるには寒すぎるので、
結局大きなバケツに多少ぬるい水を貯めて、
小さなバケツですくって浴びることになってしまったが。
WiFiもあまり機能せず、1泊150000ルピア(1300円)は高かった。
バジャワでは観光地にもなっている近郊の村廻りや温泉に行ったりはせず、
例のごとく休養しつつ、町を探索した。
村人の伝統刺繍が売られている市場からとぼとぼ歩き、
町の中心から外れると町というより村という感じがして
あえて高いツアー代を出したり、
バイクタクシーの後席にまたがって遠出する必要もなくなる。
竹林が風に揺れるとカタカタと心地よい音楽が流れ癒される。
素朴な高地の町はリゾート的な避暑地というより
エチオピアやボリビアの小さな町を思わせる雰囲気だった。
こじんまりとした町の中心からは火山が遠方に見える。
町にはキリスト教徒とイスラム教徒が共存しているようで
モスクの前に教会があったりする。
夕暮れ時のアザーンがモスクのスピーカーから流れる中、
どこかの教会の鐘が6時の時報を打つ。
こんな山奥の小さな町で宗教が混在しているのは興味深い。
バジャワからは一気に西端のラブアンバジョへ。
今回も早朝6時半発。
早起きが苦手な人間には毎回早朝出発のミニバスはしんどい。
でも、ありがたいことに今回はエーデルワイスホテルの前までピックアップしてくれる。
東ティモール、インドネシアではいつも外国人は自分一人、
あとは地元の人達という移動パターンが続いてきて、
ここでようやく他の外国人も同じミニバンに。
3週間でインドネシアを旅行しているスロベニア人のカップル。
会話らしい会話はしていないものの、
長距離移動で他にも外国人がいると少し安心してしまう。
エンデ〜バジャワの4時間移動とは違い、
バジャワ〜ラブアンバジョは10時間はかかるという。
大きくなる火山を車窓に眺めながらひたすら続くヘアピンカーブに体を揺らす。
早朝起きの眠たさもあって何度頭を窓枠にぶつけたことか。
途中で山道は開け、棚田が現れる。
雨期に入ったというのに一度も雨が降らないインドネシアで清々しい青空が広がる。
水が張っていてこそ美しい棚田には一刻も早く雨が降ってほしいだろう。
乾燥した水田はちょっとさみしい。
乗り合いバスは何の変哲もない家屋の前に停まり、
屋根の物資を誰かに届けたり、村人が新たに乗り込んだりする。
見とれてしまう夕日が山々の向こうに沈んだ頃、ラブアンバジョに到着。
ラブアンバジョは最西端というより、北西に位置しているようだ。
町に入ると、ミニバスはそれぞれの乗客の希望の場所まで送ってくれる。
自分はHotel Chez Felizで降ろしてもらう。
ラブアンバジョの入り江を見渡せる高台にあり、
青い海を見ながらの朝食は格別。
Hotel Chez Felizから見る海面に照り映えた夕日も美しい。
1泊150000ルピア(1400円)。
隣のコモド島やリンカ島でのコモドドラゴン•ウォッチング、
珊瑚の海でのダイビング、シュノーケリングで人気が出始めた新しい観光地らしく、
宿代はバジャワ同様高め。
ちなみに、インドネシアでは初めてまともにWiFiが繋がるホテルだった。
ラブアンバジョの海岸線の通りではバリ以来に西欧人旅行者を多く見かける。
ラブアンバジョ自体は小さな漁港で奇麗な海以外際立ったものはない。
有名なのはあくまでツアーで行けるコモド島とリンカ島にいるコモドドラゴン。
ここまで来てドラゴンを見に行かない旅行者も珍しいはず。
歩いているとよくツアーの勧誘があり、
コモドドラゴンは見にいかないと告げると当然のように「なぜだ?」と聞かれ、
返す言葉がなかった。
別に動物嫌いではないし、中国の成都ではパンダ飼育センターに行ったりしたが、
なかなか高いツアー代や国立公園入場料を払ってコモドドラゴンを見にいく気にはなれない。
アフリカ大陸縦断時にケニアやタンザニア、ザンビア、ボツワナを訪れているのに
一度も動物サファリを体験していないひねくれ者である。
ラブアンバジョ滞在中はあまりにも臭い魚市場を見たり、
地元の人々がのんびりと過ごしている船着場をぼーっと見たりする。
自分の旅スタイルではツアーに参加するよりも目的もない街歩きが一番楽しい。
東ティモールの海、クパンの海、エンデの海も良かったが、
エメラルドグリーンやブルーが混じり合ったラブアンバジョの海のグラデーションは鮮やか。
ちょっと町から離れて北側に歩いていくと、
造っている最中の桟橋があり、
桟橋からはラブアンバジョの入り江を見渡せる。
奇麗な海は見ているだけで癒される。
何もせずに高台から海をただ眺めるのは高級ホテルのゴージャスな部屋に泊まったり、
レストランでワインボトル付きのディナーを味わうより贅沢にちがいない。
ティモール島のクパンからフェリーで24時間かけてエンデに入り、
バジャワ、ラブアンバジョと8日間過ごしたフローレス島の旅が終われば、
ここもまた海と火山しかなさそうなスンバワ島をフェリーと夜行バスで貫通し、
一気にロンボク島に向かう。
ラブアンバジョからスンバワ島のサペへのフェリー、
スンバワ島の東端から西端へのバスでの横断、
ロンボク島へのフェリー、
ロンボク島のマタラムへのバス移動、
と長い移動の旅になりそうだ。
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