夢のような楽園の日々から現実世界に戻る。
ホテルのレセプションのおじさんに聞いたら、
マーフシ島から首都マレへのローカル船は土曜運休で毎朝7時半発とのこと。
船のチケットはアチャというローカルスーパーで買えるというので、
前夜9時過ぎに慌てて買いに行った。
尚、1島1リゾートへの日帰りエクスカーションで利用したiCom toursのホワイトボードで
空港行きのスピードボートの集客を行なっており、
20〜30ドル出せればマーフシ島から空港に戻れそうだった。
一日一本、片道2ドルのローカル船を逃せば島に置き去り、
…という心配はなくなり、安心してマーフシ最終日は遅寝した。
翌朝7時半に出発した乗船率100%の船内は窮屈なので、デッキに登る。
幸か不幸か、午前中は雲が多く、陽当たり良好のはずのデッキは涼しかった。
マーフシ島からマレに戻るまでの最後の航海を楽しむ。
マレが近くなった頃に前日日帰りで訪れたヴァドゥのリゾートアイランドが見えた。
モルディブ名物の水上コテージもこれで見納め。
船旅の間、太陽はほとんど現れず、逆に昨日まで快晴続きで幸運だった。
モルディブの天候まで誕生日を祝ってくれたと勝手に思い込んでしまう。
やがて灰色の空の下、水平線に並ぶ建物群が見えてくる。
他のモルディブにはない光景であり、これがウォーターワールドの現実世界。
世界一人口過密な首都マレ。
南北1キロ、東西2キロの小さな島に10万の人口をかかえている。
首都の島マレを探索するのは翌日として、
モルディブ5日目は初日と同じく空港隣接のフルフマレ島のUI innに午前中にチェックインし、
終日エアコンがきいたホテルで休息。
モルディブに到着して以来、島間移動のローカル船や1島1リゾートへのスピードボートに乗るため4日連続の早朝起きで疲れが溜まっていたし、この日はマーフシ島からマレに着いてからバックパックを背負いながらバイクで溢れ返るマレの狭い路地をVillingiliフェリーターミナルからフルフマレ•フェリーターミナルまで40分以上歩き汗だくになっていた。
さらに行きと違ってホテルからの無料バンサービスがなく、
マレ島のフルフマレ•フェリーターミナルからフルフマレ島まで水上バスのような船で移動してから、
今度はフルフマレ島をホテルまで炎天下歩く羽目になった。
まぁ、今はモルディブにいるとはいえ、これがバックパッカーの旅スタイルなので仕方がない。
ちなみに、フライトとローカル船の乗り継ぎの関係で前後1泊ずつしたフルフマレ島は
空港近くの海を埋め立てて造られた長方形の人口島。
空港の滑走路で大部分が占められたフルレ島と橋で繋がっている。
ホテルから空港まではモダンな市バスで移動可能である。
確かに楽園のリゾートアイランドや閑静なローカル島からかけ離れた現実世界だけれども、
意外と人工的な海岸線やビーチは美しく、
マレのベッドタウンのようで素のモルディブ人の生活が垣間みれて興味深かった。
モルディブは宝石のような島々が点在する環礁に浮かぶ海洋国であると同時に
国旗に月マークが描かれている厳格なイスラム国家。
リゾートアイランド以外でアルコールは飲めないし、
ローカルなビーチで水着になることは禁止。
公共の場でいちゃつくのもNG。
モスクからはアザーンも流れてくる。
モルディブが話に出るとよく耳にするのが、近い将来海に沈むということ。
地球の温暖化により海水が上昇し、海抜が低い島々がなくなってしまう…。
でも、モルディブ人はのんきに国が沈んでいくのを待っているのではなく、
フルフマレ島の近くの海を埋め立てて、新たなる島を造っていたりする。
モルディブ6日目、最終日。
スリランカ航空のコロンボ行きは22時発であり、
実のところ前夜フルフマレ島のホテルに1泊しなくても、
そのままマーフシ島から空港に直行すれば十分すぎるほど夜行便に間に合った。
それでもあえて空港近くのホテル前後泊も含めて5泊6日のモルディブ旅行を計画した。
もちろんモルディブという一国の首都マレを見るためである。
UI innを午前中にチェックインし、市バスでフルフマレ島から空港へ。
ホテルで教えてもらったバス停でバックパックを背負って待っていると、
地元の人に今の時間帯はここにバスは停まらないよ、と言われ、
別のバス停に案内された。
見た目がインド人と変わらないモルディブ人は結構いい加減である。
同時に旅行者に親切である。
シンガポールからの到着時は夜で真っ暗だったために様子が分からなかった空港周辺。
空港から歩いて5秒のボート乗り場の光景からしてモルディブだった。
リヒヴェリやヴァドゥでこの世のものとは思えない透明な海を見てきたとはいえ、
ボート乗り場の海水の透明度と色には笑ってしまう。
しばらくの間、ボートの発着を眺めているだけで飽きない。
テレビコマーシャルでしか見たことがないような海が現実世界にもある。
ボート乗り場から防波堤を挟んで首都マレのスカイラインが見える。
モルディブの島々は水平線にへばりつくような平坦なものがほとんどで、
マレ島も例外にもれず平らな島。
もちろん、ヤシの木々に覆われた白い砂浜の島ではなく、
コンクリートのビル群に覆われたアスファルトの島だけれども。
空港の荷物預かり所に5ドルでバックパックを置かせてもらい、
スーツを着たサラリーマンや黒いムスリム服をまとった女性が乗る渡し船でマレ島に向かう。
前日利用したフルフマレ•フェリーターミナルすぐ近くで降りる。
いきなり楽園から現実世界に引き戻されたようなビル群。
人口密度が世界一と言われるマレの表情は迫力がある。
それでも海水が奇麗なのはモルディブの首都であり、
多くの人が行き来するボート乗り場のすぐ下で熱帯魚が泳いでいる。
島の隅から隅まで建物で覆われたマレを歩き始める。
ただでさえ狭い通りには無数のバイクが停められており、
次から次へとバイクや車がやってくる横断歩道がない道路を渡るだけで疲れる。
機能的にはコンパクトにまとまっているようで、
政府関係の建物や領事館が集まる小さな官庁街があったり、
モダンな店が並ぶ目抜き通りがあったりする。
ほぼ碁盤の目状の街なので分かりやすいし、
7〜8階建ての建物ばかりなので日差しが遮られて暑くない。
不意に生活臭が漂う狭い路地も現れ、
300円以下でカレーが食べられるローカルな食堂もある。
ちょこっと歩くだけでバイクと人の多さに目眩がし、
寛げるスペースがない窮屈さに疲れたので食堂でコーヒーをすすりながら休息。
あてもなく長時間歩くには向いていないマレ。
とはいえ、マレには同じ南アジアの首都、デリーやコロンボ、ダッカ、カトマンズのようなカオスはなく、
過密で狭苦しいながらもモダンで整然としている。
見た目がインド人のモルディブ人はまったく温厚な人々で、あまり他人に詮索してこない。
インドやバングラデシュの路上のように人がわらわらと寄ってくることはないし、
怪しい客引きやぼったくりもなさそうだ。
人々からは中東独特のフラグランスが漂い、インド亜大陸というよりアラビア半島に近い空気を感じる。
モダンなビルやパステルカラーのマンション群はオマーンのマスカットやドバイの商業地区デイラを想起させる。
午後は空港に戻る夕暮れ時まで漁港や市場をぶらついたり、
こぢんまりとたたずむ運動場でサッカーの練習を見たり、
島の南側の海岸線で簡易的に設置された公共プールを眺めた。
島の南側にはゴミの運搬船があったり、働いている人々の姿もある。
島の東南端にある津波メモリアルの塔や東側でビーチバレーが行なわれているのを見て
2時間ちょっとのマレ島一周も終了。
水上コテージや無人島とは異なるモルディブの別の側面、
世界一人口過密な首都でリゾートや観光地ではないモルディブを垣間みれて良かった。
現実離れしたウォーターワールドから超モダンなシンガポールに戻る前のワンクッションとも言える。
マレから空港のみが存在するフルレ島に渡し船で戻る。
空港の入口、
歩いて5秒のボート乗り場からモルディブ最後の夕日を見た。
22時発のスリランカ航空で飛び立ち、
コロンボのトランジットルームで野宿して翌日の飛行機に乗り込めば、
世界周遊途上の夢の楽園バカンスは終わり、
現実世界のシンガポールとなる。
シンガポールも形は違えど、モルディブ同様島国である。
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