タイには美しい島が多い。
2002年に生まれて初めて旅したタイで訪れたピーピー島は記憶の中では最高の楽園風景だし、
海が透明すぎるサメット島、アジアのリゾートの象徴のようなプーケットにサムイ島、
バックパッカーが多いパーティーアイランドのパンガン島、
昨年訪れて海の青さに魅了されたタオ島。
どの島にも個性があり、いろんな島をもっと訪れたくなる。
ただ、残念ながらどの島でも年々リゾート開発が急速に進み、
島のキャパシティを超えそうな大勢の観光客が津波のごとく押し寄せ、
環境汚染にさらされている。
2011年にピーピー島を9年ぶりに再訪してみると、
映画『ビーチ』の舞台を見ようとする個人旅行者だけが集まる素朴な小さな島だったピーピードンの面影はなく、
ビーチ沿いにリゾートホテルが並び、村のメインの通りは舗装され、
自分もその1人とはいえプーケットからの日帰り団体ツアーが次々に上陸し、
ディズニーランドのような混雑ぶりに失望したものだった。
2002年に数隻の小舟のツアーでしか行けなかったピーピードン隣の無人島ピーピーレーでは
無数の大型ボートが島を包囲しており、
小さなボートが浅瀬を埋め尽くすように停泊している『ビーチ』の舞台のマヤベイに近づけなかったほど。
人が少ないマヤベイの白い砂浜でエメラルドグリーンの海を見ながら寛ぐなんて昔話だろう。
メジャーになりすぎて、観光客が溢れ、海水も汚染されてきているタイの島々…。
それでもタイの島に行きたい。
なんだかんだ自分も身勝手な観光客である。
今回はシンガポールの宿で出会ったPatに教えてもらった極上のリゾート、リペ島に行ってみる。
タイ南部の街サトゥンに奥さんを持つPatがタイで一番美しいと押すのでネット検索してみると、
タイ最後の秘島、タイ最後の楽園、さらにはモルディブを超える…なんて記事も出て来た。
ちょうど1ヶ月前のシンガポールからのモルディブ旅行で青いラグーンの透明度、
無人島の美しさに魅了されただけに絶賛されるリペ島もぜひ見てみたい。
タイやマレーシア、インドネシアの島々を遥かに上回るレベルの海を持つモルディブに匹敵する島がまだタイに残っているのだろうか。
2月後半のモルディブの写真を眺めながら思ってみる。
ペナンから昨年6月以来9ヶ月ぶりのタイに入国し、
2日間馴れ親しんだタイ南部の都市ハジャイで寛ぐ。
週末のハジャイは中華系やマレーシア人で賑わう活気のある街だ。
リペ島の宿は高く、ハイシーズンは予約した方がいいとPatが言っていたので、
事前にネット予約をする。
確かに安くても1000バーツ(3700円)。
昨年より一段と円安が進んだためか、今回のタイは物価高に感じられる。
ハジャイのちょっとした食堂で食べたトムヤムクンとレオビールの大瓶で230バーツ(900円)もした。
ハジャイで有名なCathay guest house(キャセイ•ゲストハウス)階下の旅行会社キャセイ•ツアーからミニバンが出発。
リペ島行きのボートが出るPak Bara(パクバラ)まで2時間。
ハジャイ〜パクバラ〜リペ島の片道で650バーツ(2500円)とやはり高い。
パクバラ港は小さな旅行会社が連ねており、月曜日にかかわらず観光客が多かった。
リペ島行きのボートは何隻も出ており、どれも満席状態で出航している。
それでも、タオ島やパンガン島に比べると圧倒的に西欧人が少なく、タイ人や中華系が目立つ。
リペ島はまだまだ秘島に近いのかもしれない。
多少の揺れはあるもののボートは快調にリペ島に向かって行く。
いくつかの島々からなるリペ島周辺はタルタオ海洋国立公園として保護されている。
多少霞がかった空の下、1時間15分でリペ島に到着。
パクバラ港からのボートはちょっと大きめなので浅瀬には上陸できないそうで、
人工的な浮島に停泊。
ここでタイ名物のロングテイルボートに乗り換えて初めてリペ島に足をつける。
小さな人工的な浮島はパクバラから到着した人々とこれからパクバラに向かう人々が溢れ返り、
ちょっとしたカオス状態。
ロングテイルボートの船代50バーツとリペ島への入島料20バーツを合わせて
観光客の長列に加わって待ち、チケット売りのレディボーイに払う。
週末を避けたにもかかわらず、月曜日からして人が多く、
モルディブのリゾートアイランド上陸のようなテンションの高さはなかった。
ロングテイルボートに乗る際にパタヤビーチかサンライズビーチ、サンセットビーチと行き先を聞かれるも、
リペ島は歩いてまわれる小さい島と思い込んでおり、ネット予約した宿の場所は詳しく調べていない。
とにかく重いバックパックを担いで先に出発するロングテイルボートに乗り込んだ。
ロングテイルボートが到着したのはサンライズビーチ。
島の東側に面したビーチで空は霞んでいるものの、海は奇麗だった。
サンライズビーチにて改めてiPhoneの地図を見ると、
歩き回れる小さな島とはいえ、南北貫通するだけで2キロ弱はありそうだ。
一周1キロもないモルディブのリゾートアイランドと同じ感覚でいると苦労する。
それでも比較的安めのバンガローが集まるメインの通りは1キロもないので、
バックパックを背負ってゆっくり歩いていると、
ネット予約したGipsy 2 Bungalowの看板が見えた。
ちょっとした林の中にたたずむ簡素なバンガローで1000バーツ(3800円)。
モルディブのローカルなマーフシ島のエアコン、ホットウォーター、テレビ、朝食付きのロッジと同料金。
割高感を気にせずにはいられないリペ島である。
それでも部屋の内装やバスルームは清潔だし、夜になると蚊取り線香が部屋の外に用意されたりする。
蚊帳に包まれたベッドに入らないと蚊の猛攻にあってしまう。
早速外へ。
もちろん海水浴できるように海パンをはいていく。
すでに14時とあって高めの食堂でグリーンカレーを食べた。
リペ島で驚いたのはウォーキング•ストリートというメインの通りが舗装されていること。
そしてサイドカーに人を載せるバイクが走っている。
当たり前のように車もバイクも存在しない島という先入観があったのでちょっとがっかり。
思い返せば、タイの島でバイクが走っていない島は存在しないし、
島人が住んでいることを考慮して利便性は必要だろう。
白い砂浜とヤシの木々、洒落たレストランやコテージしかないモルディブとついつい比較してしまうのは
インドを旅したバックパッカーが帰国後に何かにつけてインドと比べるインド病と変わらない。
まぁ、でもセブンイレブンは…。
タイ本土の2倍近くする水ボトルをセブンイレブンで買いながら疑問に思ってしまう。
便利な社会でしかサバイバルできない自分のような貧弱な旅行者は身勝手である。
ただタイ最後の秘島と言われているだけあって、
西欧人が飲んで騒ぐようなバーは多くなく、ハリウッド映画のDVDをスクリーンで流すバーも一軒。
2002年の段階ですでにバックパッカー御用達のバーが溢れていたピーピー島に比べても秘島感が大きい。
サンライズビーチで寛いでいる西洋人はタイの他の島に比べて圧倒的に少ないと思う。
Patに勧められ、実際に来てみて良かった。
サンライズビーチの透明な海を前にしてすぐに実感する。
エメラルドグリーンにロングテイルボートが似合っている。
島人よりも犬が多いビーチの砂は白い。
こんなビーチで毎日寛ぐ犬たちはぜいたくである。
若干空が霞んでいるために青さのパンチが足りないハンデ付きの海ではあるけれども、
モルディブ直後に見た海としては十分すぎる透明度。
また、地元のタイの子供達が観光客に混じって遊ぶスローな海でもあった。
初日から秘島の雰囲気と素朴さを残すサンライズビーチに満足し、
夕暮れ時はパタヤビーチへ。
リペ島のメインのビーチだけあて海水で戯れるタイ人、西欧人、中華系、犬も多く、
浅瀬に並ぶロングテイルボートはタイの島のイコンのようだ。
ちょうど干潮時なので浅瀬を歩き回っていると、
珊瑚の周辺を泳ぎ回る魚、砂底のトンネルをくぐって遊んでいる魚を見る。
イソギンチャクの触手にからまるニモのような熱帯魚も発見。
この魚を目の前で見るのは初めてかもしれない。
しかもシュノーケルなしで海面からである。
初日最後は日が出ているうちは温厚な犬と夕日を眺める。
小高い丘の向こうか、雲間にゆっくりと落ちていく。
物価が高いタイ最後の秘島なので2日目がリペ島最終日。
モルディブに匹敵するような海を見るべく空が晴れ渡るのを祈るのみ。
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