その発着地となるのがプエルトリコの首都サンフアン。
アメリカ自治領ということで通貨がドルだったりとアメリカっぽい部分が多いがアメリカ合衆国でなく、
スペイン語が公用語で中米諸国の一つのようだが独立国ではないプエルトリコをラテンアメリカ最後の国として訪れてみる。
当初ドミニカ共和国のサントドミンゴからプエルトリコへ船で渡るつもりだった。
が、サントドミンゴ出航の数日前にフェリー船内で火災が発生し、運休中になってしまう。
急遽フェリー会社にてオンライン予約で支払った100ドルを返金してもらい、
慌ててフライトを予約した。
サントドミンゴからサンフアンまで1時間強のフライト時間なのにSeaborne航空で220ドル。
この航空会社はチェックインの際に預け入れ荷物代を請求してきてバックパック一つが30ドル。
つまり本来フェリーで100ドルだったはずが、突然のフライトへの変更で250ドルの出費。
キューバのサンティアゴデクーバからサントドミンゴのフライトも320ドルと高く、
カリブ諸国は飛行機で周遊するだけで金がかかる地域だと実感する。
だめ押しでサントドミンゴの空港までのアクセスはタクシーだけでさらに20ドルも搾取される。
サントドミンゴ20時50分発サンフアン22時着のSeaborne航空なので、
サンフアン空港に到着したら空港野宿で一泊分浮かせて節約するしかない。
Seaborne航空はこれまで乗った飛行機で一番小さかった。
席は通路を挟んで1列、2列の合計3列。
乗客の数も30人くらいだったと思う。
常時プロペラの音がうるさい小型飛行機だった。
着陸したサンフアン空港は久しぶりに先進国の無機質な匂いがする。
やはり陽気なラテンの空気が漂う中米諸国というより厳格なアメリカの雰囲気に近い。
夜遅い着陸だからか他の到着客もいないようでイミグレはがらがら。
5ヶ月前のニューヨークでのアメリカ入国がモロッコで取得したアメリカビザのおかげで指紋と写真撮影だけで質問なく簡単だったけれども、
今回は滞在目的などちょこちょことおばさんの入国係官に尋ねられる。
パスポートに貼られたアメリカビザを見てどうしてカサブランカで取得したのかと聞かれたので、
昨年イランを訪れたことなど、現在2年10か月世界周遊していること、
さらにプエルトリコ入国目的はカリブ海クルーズなどありのままに話す。
最後にカリブ海クルーズの予約表を見せて無事スタンプを押される。
アメリカビザを持っているからといってニューヨークのようにイミグレでの質問スルーとはならないらしい。
サンフアン空港での野宿は出発ホールのベンチで試みたが、
エアコンが寒すぎて仮眠をとるのも難しかった。
夜が明け、予約したホステルのチェックイン時間が正午以降なので
外のベンチで仮眠を取ってから市バスでホステルがあるCondadoへ。
アメリカ自治領とはいえ、アメリカ本土より物価が安く、バス代は75セントだった。
空港からCondadoへは5番、53番のバスでアクセスできる。
CondadoにあるMango MansionというホステルにCarnival Fascinationでのカリブ海クルーズ当日の8月28日まで5泊する。
日によって19ドルだったり25ドルだったり、
宿泊税やハウスキーピング代などという訳の分からない手数料が上乗せされて5泊で120ドルも取られる。
ドミトリーで一泊20ドル以上は中米諸国の他でない高さ。
プエルトリコがアメリカ自治領というのを懐を通して実感する。
また何気なく入ったバーガーキングではセットメニューで7ドルもし、
確かにアメリカ本土より安いけれどもメキシコはもちろん、
パナマやコスタリカ、ベリーズより高いプエルトリコの物価にクルーズに乗る前に撃沈しそうだ。
空港野宿がエアコンによる寒さで妨げられ、
サンフアンに着いた日は眠ってばかり。
翌日目覚めるとあいにく曇り空だった。
Condadoでのビーチでの日光浴は無理だし、
雨模様なのでサンフアンの旧市街も歩き回る気になれない。
ということで、雨が降っても支障がないラム工場見学に行く。
プエルトリコとはいえばバカルディ。
実際にはキューバのサンティアゴデクーバで生まれ、
本社はバミューダ諸島にあるそうだが、最大の工場があるのがプエルトリコ。
キューバのハバナクラブ以上に大好きなラムなので是非訪れたい。
ちなみに、テキーラやハバナクラブのボトルが日本の三分の一で購入出来る本場メキシコ、本場キューバと異なり、サンフアンのスーパーで見かけるバカルディのボトルはそう安くない。
日本の安い酒屋で買うのとあまり変わらない12ドルと強気だった。
Condadoから市バス53番でオールドサンフアンのバスステーションへ。
バスステーションの目の前が大型クルーズの発着所となっており、
数日後に自分が乗るCarnival Lineの別のクルーズ船が停泊している。
動くホテルというべき巨大さ。
クルーズ船の長さはもちろんのこと、高さもあり、
この巨大船でカリブ海を周遊できると思うと淡い緊張感と高揚感に包まれる。
でもつい口元がニヤついてしまう。
昨年から計画しており、ニューヨーク滞在中の3月に予約したカリブ海クルーズがついに実現する。
プエルトリコはカリブ海クルーズのためだけに立ち寄ったと言っても過言でない。
プエルトリコのもう一つの目的がバカルディ。
バカルディ工場、Casa Bacardiへはオールドサンフアンから50セントのボートで対岸のCatanoへ渡り、そこからシェアタクシーで向かう。
Catanoの船乗り場を出るとすぐにバカルディ工場行きのシェアタクシー案内のおじさんがいて、他の観光客と一緒にタクシーに詰め込まれる。
片道3ドル。
3キロ弱なので歩くのもいい。
タクシーを降りて少し歩くと、オープンなバーがあり、
ここがチケットオフィスとなっているようだ。
さすがアメリカ自治領だけあってバカルディ歴史ツアーで15ドル+税金で17ドル弱。
より興味が惹かれた工場見学やラム味比べ試飲ツアーは45ドルもするので諦める。
お土産用のバカルディグラスを受け取り、ツアー前、またはツアー後にカクテルを一杯飲めるコインをもらってツアー開始を待つ。
自分の番が呼ばれると、トイトレインのような乗り物に乗り、見学所へ。
肝心な工場内を見学できないのが惜しい。
プエルトリコ名物バカルディの最大の工場の外観だけ眺める。
バカルディのコウモリの紋章がある博物館に入る。
オールドサンフアンの港に停泊していたクルーズ船の乗客だろうか、
賑やかな黒人グループがコウモリの銅像の前で記念撮影している。
創始者のバカルディさんがキューバのサンティアゴデクーバで作り、
その後バカルディが有名になる道程を映像で見る。
最大の工場はここだけれども、
本社はバミューダ諸島のハミルトンにあるらしい。
いろんな種類のバカルディの味比べはできないが、香りを比べられるコーナーがあったり、
工場見学はできないがラム酒を作る工程を映像で見れたりする。
でも、正直言うと自身でネット検索すれば工程を学べるので15ドルも出す価値がある歴史ツアーがどうかは微妙。
30分ほどのツアーの終わりはお土産屋に案内される。
いろんなバカルディグッズが売られているものの、なんとも消化不良の歴史ツアーだった。
唯一、最後にオープンバーにてお土産用のグラスにバカルディを使ったカクテルを注いでくれて飲めるのが良かった。
カリブ海クルーズまで滞在日数があるので、
白くないビーチで日光浴ばかりせず、オールドサンフアンを歩き回ってみる。
旧市街は世界遺産に登録されている。
アメリカ自治領と思えないほどスペイン風のコロニアルな街並みが広がっており、
石畳の路地は中米諸国を回った後でも魅力的。
でも正直言うと、つい先月までメキシコのコロニアルな街の中でも特に美しいサンミゲルデアジェンデやグアナファトを堪能していたので、
1時間も歩き回れば十分といった感じ。
旧市街にある要塞に5ドルの入場料を払って入ることもなかった。
それにしても鳩が多いサンフアン。
公園の一部は鳩に占拠されており、不気味な光景である。
国会議事堂のような建物がある。
アメリカの国旗と星が一つだけのプエルトリコの国旗がなびいている。
よく見ると赤と青の部分がキューバと色違いなだけ。
キューバとの関連性を漂わせている。
サンフアンを歩いていて気づかされるのが空き家や廃墟の多さ。
今年で3度目のデフォルトで経済破綻に苦しんでいるプエルトリコの現状を目の当たりにできる。
アメリカの自治領というより植民地のような状況を知る由もなく、
砂浜でバカルディを飲みつつカリブ海クルーズ出航を待つだけだった。
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