以前ケーララ州を訪れたときも乗ってみて楽しかったバックウォーターの船旅に再び乗る。
アレッピーからクイロンまで8時間。
ヤシの木々に囲まれた運河をのんびりと進んでいく船旅となる。
チェンナイからムンバイ、ゴア、ハンピ、マイソールと回ってきた南インドの4週間の旅はコーチンで終了する。
コーチンからトリヴァンドラム経由でモルディブへ飛び立つ。
その前にインド最南端のカニャクマリ、バックウォーターの起点となるアレッピーに滞在する。
快適なハンピから夜行バスで移動してきたマイソールでまさかの風邪と発熱。
インド滞在3週間目にしてとうとうダウンしてしまった。
すでに先のバスチケットを取得していたし、クラクションでやかましいマイソールに長居しする気になれず、
マイソールから夜行バスでエルナクラム、
早朝着のエルナクラムからケーララ州の最大都市トリヴァンドラムへ移動。
追い越しの際の正面衝突ギリギリ、乱暴な運転でうんざりするバスに6時間振り回されてトリヴァンドラムに到着。
風邪で体がだるい中、人に聞きまくるとトリヴァンドラムからカニャクマリへの直行バスは出発したばかりで、
ナガルコイル行きのバスに乗り、さらにナガルコイルで乗り換えて最終目的地のカニャクマリへたどり着いた。
マイソールで夜行バスに乗ったのが20時半であり、
20時間後の午後4時半にカニャクマリ到着となった。
無理に移動したからか、風邪も悪化し、扁桃腺の腫れで声が出にくくなる。
旨い魚カレーを食べて栄養だけはとる。
東にも西にもインド洋を見渡せるインド最南端は波が荒々しく、
この600キロ南西に1週間後に向かうモルディブの透明な海があることが信じがたい。
それでもインド洋の水平線、
正確には水平線のかなり上の空に沈んでいく夕日に見とれてしまう。
荒々しい海を前に日本海のサンセットのようだ。
なお、カニャクマリで二泊しても風邪は完治せず、
インド洋から昇る朝日を見にいく気力が湧かなかった。
カニャクマリからアレッピーヘ。
二日前のエルナクラムからのルートを遡る。
乗り換えの拠点となるトリヴァンドラムへは早朝6時40分の電車で移動した。
カニャクマリの宿から駅まで近かったし、料金は二等席で45ルピーと安かった。
2時間半の列車旅が終わって早々、トリヴァンドラム駅前のバスステーションでアレッピー行きのバスを探す。
インド人は適当だからか、人によって答えがまちまちであり、
何人かに尋ねてようやくアレッピー行きのエアコンバスを見つけた。
エアコンバスだけあって4時間の移動で270ルピー(450円)とられた。
アレッピーに着いても体調がすぐれないし、扁桃腺が腫れたままなので二日間眠って過ごす。
バスステーション近くのWhitehouse Innはシングルルームが350ルピー(600円)。
蚊が多いケーララ州でベッドに蚊帳が備え付けられており、
外からクラクションの騒音にかき乱されず安眠がとれ、
さらに久しぶりに部屋でもWiFiが繋がり快適な宿。
二日間休養し、体調が良くなってきた頃、バックウォーターの船旅に参加。
値段が高いハウスボートや他のバックウォーターツアーは多いけれども、
地域観光復興協議会DTPCが雨期を除いたシーズンに毎日アレッピー〜クイロンの8時間のクルーズを催行している。
料金は片道500ルピー(800円)。
2009年に同じDTPCの船旅に参加したが、当時はもっと安かった気がする。
船はバスステーション近くの船着場から発着。
予約など不要で船内で500ルピーを払うシステムらしい。
また眺めのいい二階席が人気あるので、クルーズが出発する10時半の1時間前から場所取りしている人もいた。
今回はアレッピーを10時半に発ち、午後6時半にクイロンに到着してから前回のようにクイロンで一泊せず、
バスでアレッピーに引き返す予定。
案の定15分前に二階席はすべて埋まり、ゆっくりと船が綺麗とは言い難い運河を進んでいく。
すぐに大きな水運に出る。
人口密度が大きく、車やバイクの騒音に疲労がたまる陸地と異なるウォーターワールド。
ハウスボートが停泊し、ヤシの木が茂る水際がケーララらしい光景である。
喧騒で溢れた陸地では想像できない穏やかなライフスタイルを目の当たりにできる。
前回同様8時間続くバックウォーターの牧歌的な風景と穏やかな空気に眠気を誘われる。
うとうとしつつもヤシの木と運河の世界をぼーっと眺める。
これこそバックウォーターの船旅の醍醐味だろう。
鏡と化した水面に映り込む緑の世界がまたいい。
バックウォータークルーズが3分の1くらいに差し掛かった13時にランチタイム。
運河沿いの村に寄港し、どちらかというと観光客向けの食堂でお馴染みのミールスを食べる。
揚げ魚が乗ったミールスが150ルピー(240円)。
バナナの皮でなく緑色の用紙にご飯と具が載せられている。
南インドではカレーとご飯を手でこねて食べるのが主流だけれど、
手で食べ慣れていない西欧人観光客の中にはスプーンを頼んでいる人もいた。
食後すぐにバックウォーターへの船旅再開。
ヤシの木々の密生が多くなり、緑の濃度が増した気がする。
船を見かけると声を出して手を振ってくる。
ちょうど中間地点あたりで乗客の半分近くが降り、二階席の最善席をゲット。
ゆっくりとバックウォーターでの人々の営みを眺める。
水門の通過が二回あり、パナマ運河やパリのサンマルタン運河のように水位の調整はなかったものの、ゲートの開閉作業を鑑賞できる。
ケーララ州の名物のチャイニーズ・フィッシング・ネットも次から次へと現れる。
網を水中に沈めて魚を引き上げる装置らしい。
強かった西日がうっすらとたなびく雲に弱められる頃、工場脇の水運を進んでいく。
ゴミが散乱していて汚い部分もあるが生活臭も滲み出ている。
やがて運河が湖のように広くなる。
バックウォーターというよりアマゾン川の支流のようだ。
眠気もなくなり、夕方前のバックウォータークルーズがひたすら続く。
ウォーターワールドがオレンジ色に染まる時間帯はより静かになり、
1日で一番美しい。
日が沈み、空がピンク色に変わっていく頃に沿岸にクイロンの街が見えてくる。
インドの中では大きな町でないだろうが、バックウォーター越しのクイロンは文明の塊に見える。
8時間飽きることがなかったバックウォーターの船旅も終了。
70ルピー(110円)でわずか2時間半でアレッピーに戻れる。
もちろん、いつ事故が起きてもおかしくない乱暴な運転で、
土埃が開け放たれた窓から入り込み、クラクションでうるさすぎるバス旅だけれども。
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