2015年7月7日火曜日

モンゴル大草原、ゴビ砂漠ツアー4日目、5日目

ゴビ砂漠ツアー4日目。

ツアーも中間にさしかかり、目玉となるホンゴル砂丘へ。
雪山近くのゲルで朝からテンションが高いナッサに起こされると、雲一つない快晴。
澄み切った青空が山々の先まで広がっている。
前夜は無数の星空が頭上を埋め尽くしていたし、この快晴はゴビ砂漠ツアーに彩りを与えてくれる。



今回の7泊8日のツアーにおいてiPhoneやデジカメのバッテリーを充電する機会はない。
ゲル内にソーラーパネルによる充電器があるものの、コンセントはなし。
iPhoneを機内モードにして写真、動画撮影以外電源を切り、
デジタル一眼レフは予備を含めた2つのバッテリーを節約しながら使う。
それでもツアー6日目頃に残量がなくなりそうな勢い。
せっかくの雪山背景もあるのでツアーメンバー5人、
ナッサ、バットボール、ミレン、アンナと記念撮影。
ゴビ砂漠のツアーなのに背景が雪化粧の山々なのは滑稽だけれども。


この3日間同様、荒野にできた自然の道をバンは走っていく。



毎日何もない平原を眺めていて飽きると思っていたが、
多様性に富んだゴビ砂漠の大自然に高揚感はおさまらない。
360度何もない荒野でのトイレ休憩時に道に寝そべったりと
子供のようにはしゃいでしまうツアーの毎日。



正午過ぎについに砂丘が見えてくる。
180キロの長さ、幅20キロ前後の大砂丘。
大砂丘のバックグラウンドには険しい山々が続いているという非現実的な世界が現れる。


ランチ前に今日、明日と滞在するゲルに到着。
この3日間のゲルに比べてより観光客向けであり、
遊牧民家族のゲルの他にゲスト用ゲルが4つ並んでいる。


またゲルの前には観光客を乗せて砂丘に連れて行ってくれるラクダたちが待機している。
ゲルの前からしてすでにホンゴル大砂丘を一望できるのが嬉しい。
近そうに見えて砂丘のふもとまで5キロもあるそうだ。



遊牧民家族のゲルに招かれるとはっと惹きつけられる美少女がいた。
ゴビ砂漠に現れた遊牧民の美少女
…と思っていたら、別のツアーグループのガイドのアシスタントの少女らしい。
恥ずかしながらの微笑みが可愛らしい少女は英語を喋れる。


メンバーとの話し合いで高さ200メートルの大砂丘にバンで向かう時刻を夕暮れ時にする。
遊牧民家族のゲルでナッサが作ってくれたトマト味野菜スープを食べてから
夕食時まで5時間以上あるので1人で砂丘まで歩こうと思う。
優しい味のスープが歩く気力を高めてくれる。


ゲルから10分も歩かないうちに浅い川にぶつかる。
水深はあまりにも浅く、靴を脱いで余裕で歩いて渡れる。
流れる水は泥水で水浴びできる状態でない。




川を渡る前にラクダたちが現れ、水を飲みつつ横断していった。



前日までと打って変わって砂漠は暑い。
半袖になると強烈な日差しで確実に日焼けしていく。
乾燥地帯の刺だらけの植物に気をつけながら砂丘へ前進。
飼われているラクダが多く、糞も散乱しているからか、ハエの数が多い。
オーストラリアやモロッコの荒野といい、乾燥地帯ではハエが目や鼻にまとわりついてくる。



思っていたほど距離はなく、40分くらい歩いて砂丘がぐっと近くなり、
1時間もかからずにホンゴル砂丘のふもとにたどり着く。
イメージ通りの砂の砂漠が横たわっている。



何らかの動物の骨が生々しい。
砂漠は生物が生きていけない死の世界のようだ。


と思っていたら生存者を発見。
これまでに何でも見てきたフン転がしのような昆虫は砂上も徘徊している。


小高い砂丘に登って砂漠を見渡してみる。
アートのような風紋が残る大砂丘が細長く続き、まさに砂の海。
砂漠の表面が波立っているようだ。



細長いとはいえ幅が20キロ前後あるだけあってモロッコのサハラ砂漠を思わせてくれる。
歩みを中断して立ち止まると、たまに吹き抜ける風の音、ブーンと近づいてくる一匹のハエ以外に静寂を乱すものはない。
大草原でも同じ現象を味わったが、耳鳴りのようなキーンとした断続音が流れる。


ゲルから歩いてきた方向には地平線の彼方まで羊雲が続いている。
ゆったりと流れる雲のおかげでゴビ砂漠の広大さを直に感じられる。




反対側には樹木が生えていない山々が連なり、雲が落とす影でホンゴル砂丘に立体感が生まれる。
砂漠の陰影礼賛は素晴らしい。
200メートルの大砂丘に登らなくても起伏が続く砂丘をぶらついているだけで満足感に包まれる。




夕食を終えた午後8時、バンで大砂丘を訪れる。
尚、二週間の休暇を利用してパリからミレンに会いにきたアンナは妊娠三週間であることが発覚。
ゴビ砂漠に入ってから悪路のアップダウンで体調を壊しており、今日一日中ベッドで休養。
ナッサは当たり前のようにバンでドライバーと待っており、
自分とミレン、別のゲスト用ゲルに宿泊している韓国人カップル、
遊牧民家族のゲルで出会ったガイドアシスタントのモンゴル少女と一緒にバンで大砂丘を登る。

200メートルの大砂丘頂上からの夕日に期待感が湧くも束の間。
見るからにして登れるかどうか不安になりそうな巨大な砂丘を前にして新たなる不安が発生。
東側から砂嵐が近づいてきている。
砂丘での砂嵐は人生初体験になりそうだ。


砂に刻まれた風紋が美しい砂丘の肌。



ここでも一番元気なミレンがガイドアシスタントの少女を出し抜いて200メートルの砂丘を登り始めている。



西日は明るいものの、すでに風が強くなり、細かい砂が舞っていた。
電子機器は砂に弱いため、iPhoneをバンコクのソンクラーン中に購入した防水ビニール袋に入れ、
デジタル一眼レフはパーカーの中に隠しつつ瞬間的に取り出して砂丘を撮る。


ミレン、ガイドアシスタントの少女、韓国人カップル、自分の順に砂嵐が近づく大砂丘を登っていく。
ただでさえ歩きにくい砂の表面が急勾配なので、皆滑り落ちないようにゆっくりと進む。
すでに心臓の鼓動が風の音に勝りそうだ。
ミレンの後を登るモンゴル美少女が時々振り返っては韓国人カップルや自分が登るのを待ってくれる。
食後の砂丘登りがしんどいからじゃないけど、モンゴル少女がゴビ砂漠に突然現れた天使のように見えてしまう。




苦労して頂上付近に近づくと、タイミング悪く砂嵐と合流。
200メートルの砂丘の峰から燃え盛る炎のように砂が沸き上がっていた。


いち早く頂上近くにたどり着いたミレンが地上から吹き上げる風に向かって腕を広げて遊んでいる。
強風に向かって飛び立とうとする鳥にも、コルコバードの丘に立つキリスト像にも、
タイタニックの舳先に立つローズにも見えなくもない。
ちなみに韓国女性は恐怖のあまりボーイフレンドの腕をしっかり握りしめて登っていた。
大砂丘の真ん中で愛を育んでいるようだ。


やっとたどり着いた地上200メートルの砂丘頂上。
砂嵐の強風でバランスを崩して落ちそうになり、なかなか立ち上がれず。
ミレンが言う洗濯機の中にいるよう、という表現がしっくりくる。
全身砂まみれになり、口の中が砂でじゃりじゃりするので唾をはくも
運悪く跳ね返ってきて眼鏡やジーンズに自分の唾のしぶきを浴びる無様さだった。

多少砂嵐が弱くなってきてから防水ケース中のiPhoneで動画を撮ったり、
大砂丘の向こう側の砂漠にデジカメを向けたりした。



残念ながらサンセットを待つ気力は皆なく大砂丘から撤退。
皮肉にも砂丘の中腹くらいで砂嵐は収まったようで、西側の空はピンク色に染まりつつあった。


メンバー4人にだいぶ遅れて1人大砂丘からの大地を眺める。
でものんびりはしていられない。
東側から新たな砂嵐が近づいてきている。



地上近くに戻ってきて、次の砂嵐が来るまでメンバーで撮影会。
砂丘でタイミングよくジャンプしてもらったり、
砂漠に仰向けになったりして遊ぶ。
大砂丘は1人で登るより何人かで登った方が楽しい。



地上付近の砂紋は西日を浴びて幻想的。
頂上からは無理だったけれども、また砂で濁った大気で霞んでいるけれども、
ホンゴル砂丘で夕焼けを見れて大満足だった。





最後はガイドアシスタントの少女と西日をバッグに記念撮影。
はにかみスマイルが素敵な少女はまるでゴビ砂漠の蜃気楼のごとく翌日目覚めるとゲルから蒸発していた。




ゴビ砂漠ツアー5日目。

前夜は砂漠の空に輝く星が美しかった。
24時頃フランス人女性2人を起こさないようにゲルから出ると、
暗闇の中で体育座りして星空を眺める韓国人カップルがいた。
シャッタースピード30分間で星の軌跡を撮影しているらしい。
自分はデジカメのバッテリーセーブのため、30秒だけシャッターを開き、
カップルの邪魔をしないようにすごすごとゲルに戻った。


5日目のハイライトは人生初のラクダ乗り。
逆にラクダで砂丘を訪れる以外ツアー日程なし。
今日は砂漠でのバケーションの日だとナッサが言う。
毎日長距離ドライブのバットボールにも休息は必要。
ミレンとアンナが読書をしながらゴビ砂漠バケーションを満喫している間、
自分は手持ち無沙汰でベッドで横になっていた。
インターネットがないとすることもない。
思えば2012年に人生初のiPhone4Sを購入して以来、毎日ネットと繋がった生活を送っていた気がする。
今回の世界周遊においても香港でSIMロックフリーのiPhone5Sを購入し、
Wi-Fi環境が整ったモダンな生活で4日間もネット世界から遠ざかった経験はほとんどなかったはず。
そう考えれば、7泊8日のツアーでインターネットを使えないのは貴重な経験かもしれない。
でも、デジタルカメラのバッテリーくらいは充電したい。



昼食後ラクダ•ライディングのスタート。
ちょっとひょうきんなものの、よく見ると愛らしいラクダたち。


ミレンは初のラクダ乗りに満足な様子。


ラクダ乗りの少年も含めてメンバーで記念撮影をしてからウォーミングアップ。
ラクダが立ち上がる際に前のめりに落ちそうになるのをのぞいて悪くない。


とはいえ、ラクダの背中は固く、10分ものウォーミングアップで尻が痛くなる。
妊娠3週目で体調不良のアンナはギブアップ。
ラクダ乗りの少年に手綱をひかれて三頭のラクダが砂丘を目指す。
ルートは夕暮れ時に訪れた200メートルの大砂丘ではなく、昨日の日中歩いて訪れた丘陵のような砂丘地帯。
靴を脱いで渡った川でラクダは水分補給をしてゆっくりと歩いて行く。
じわじわと尻の痛みが増幅していき、ラクダの背中でケツの骨を砕かれそうな感じがする。



人間が歩くスピードより少し早い40分で砂丘のふもとに到着。


ラクダは砂丘は登らないようで、他の観光客のラクダも集まる場所で降り、自分の足で砂丘探索。


昨日に劣らず静かで、無の世界に限りなく近い砂の丘を歩き回る。
時間の流れの軌跡のような風紋を靴の跡で乱すのがもったいない。
生まれたばかりの柔らかい大地を歩いている気分である。




愛嬌のあるラクダと無言のコミュニケーションを交わし、砂丘を後にする。
初めてのラクダ乗りは楽しかったけれど、翌日まで続く尻の骨の痛さには参ってしまった。




美味しいトマト味のスープ麺の夕食までミレンとバットボールはチェスに夢中。
フランス人女性以上にモンゴル人はチェスが好きなようで、
かなり先手まで考えており強い。バットボールの圧勝だった。



食事を終えた夕暮れ時。
ナッサの提案で200メートルの大砂丘にリベンジする。
ある程度体調がよくなったアンナも最初で最後にして砂丘を見れる。

前日と異なり、風がない大砂丘。
夕日で影が濃くなった砂紋はこの2日間でもっとも鮮やか。
200メートルの頂上に登る前からして立ちすくんでしまうホンゴル砂丘のアートだった。




急勾配の砂丘を登りつつ眺める大地の展望も抜群。


食後の運動として登には過酷な200メートルの大砂丘の頂上からは
前日のリベンジした甲斐のある夕日が待っていた。




ゴビ砂漠ツアーの日々は価値観を覆してくれる極限的な体験ばかり。
今夜も静寂に包まれたゲルでぐっすり眠れそうだ。












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