モンゴル大草原最初のゲルの夜は寒かった。
ゲスト用ゲルにベッド二台あり、ミレンとアンナがベッドで眠り、自分は床で雑魚寝。
寝袋にくるまり、羊の糞を燃料とした暖炉のおかげで寝る前は暖かいけれども
暖炉の火が消えて気温が急激に下がる朝方になると息が白くなる。
モンゴルの旅行シーズンが夏場の6〜8月しかないことを実感できる。
ゴビ砂漠ツアー2日目。
どうりで寒いと思ったら朝から雨模様であり、風も強い。
ジャムパンとビスケットの朝食を食べ、紅茶で冷えた体を温める。
小雨の中、草原の穴を板で囲ったトイレに向かうも冷たい雨粒にあたりながらだと便が出ない。
晴れた大草原でのトイレは開放感がありそうだけれども。
どんよりとした空の下、バンは2日目の走行を開始する。
草原の中に高いアンテナが見える。
昨日の朝ウランバートルを去ったばかりなのにもう人工物が奇異に映る。
雨は次第に強くなり、昼時になってもやまず。
ランチタイムが来ると前日同様何もない草原の中で停車し、
バンの中でナッサが昼食を作ってくれる。
さすがに外に出るものはいなく、
ミレンとアンナはチェスをしながらナッサの手作りパスタを待っている。
暖かいパスタは美味しい。
バットボールは雨が降る草原を走らせてゆく。
知らぬ間に居眠りに陥り、気がつくと2日目のハイライト、荒野の中の岩山に到着。
午前中降り続けた雨もやみ、青空さえ出ている。
モンゴル平原の気候は移ろいやすい。
平坦な荒野に突然現れる岩山は仏塔にも古代都市の廃墟にも見える。
見晴らしのいい岩山にて記念撮影。
今回の旅で地平線を久しぶりに見た気がする。
平らな岩山で野生のラクダと出会う。
ラクダの群れの出現にすでにゴビ砂漠の領域に入った感がある。
ガイドなのにナッサは疲れるので岩山から渓谷に降りないようだが、旅行者3人は下って地上からも眺める。
モンゴルというよりアメリカ荒野のような景色が広がっている。
前日のマッシュルーム岩といい、モンゴルの大地は多様性に富んでいる。
昼間の大部分が雨で流され、あっという間に感じる2日目。
17時頃と早い時間帯に今夜のゲルに到着する。
荒野にぽつんと佇む遊牧民家族のゲル。
フレンドリーだけれども飛びかかってきた遊牧犬にウェルカムされる。
年配夫婦だけが暮らすゲル。
ウェルカムドリンクとして飼っているラクダのミルク茶をもらう。
ちょっと臭いが寒い中飲むにはいい。
再びナッサが夕食を作っている間、ゲスト用ゲルに案内される。
今夜はベッドにありつけて一安心。
それにしても羊の糞の燃料の暖炉があるゲル屋内は生活感に満ちている。
夕食は遊牧民夫婦のゲルで皆一緒に羊肉入りヌードルスープを食べる。
食後もてなしなのか、コーヒーカップに注がれたウォッカがおじさんより回ってきた。
ミレンは一口飲み、アンナはアルコールを飲めないようでパス。
自分はストレートのウォッカをおじさんに勧められるままに一気飲み。
喉から胃まで一気に熱くなる。
さらに2杯目も回ってきて、遊牧民と初めて酒を飲めるという嬉しさよりもノリで2杯目のコーヒーカップもいく。
ストレートのウォッカは強烈で、泥酔状態で夕暮れ時の草原歩きをした。
体が温まっており、どこまでも歩いて行けそうな錯覚に陥ってしまう。
やがて遊牧民ゲルが隠れてしまい、360度の荒野に囲まれる。
100%自然なのに圧倒的なシュールな世界が広がる。
雲が地平線ぎりぎりまで覆い、遥か彼方で日が暮れているようだ。
若干地平線のあたりが赤みを帯びるものの、ツアー2日目も西日が現れることはなかった。
道のない帰り道、羊の群れが現れ、遠方の荒野にまるで時間の流れから解き放たれて
静止してしまった空間に取り残されたようなゲルがよりシュールに映るのは
コーヒーカップ二杯のウォッカのせいだけでないだろう。
ゴビ砂漠ツアー3日目。
夜は寒かったけれども朝から快晴。
バットボールの運転するバンは5人を乗せて草原の道なき道を進む。
やはり草原に残されたタイヤ跡からルートを確認しているようだ。
一度草原からアスファルトの道路になる。
トイレタイムはだだっ広い荒野の真ん中で。
男は大丈夫だが、女性陣はかなり遠く離れて用を足している。
3日目は嬉しいことに途中立ち寄った町でシャワータイム。
7泊8日のツアー中シャワーを浴びれないと思っていたのに嬉しいサプライズ。
モンゴルの町には銭湯のようなシャワー屋があるらしい。
心身ともにリフレッシュ。
ランチは同じ町の民家で手抜きと思われるようなご飯にケチャップをかけたものだけを食べる。
3食毎回作るナッサもときに休息が必要だろう。
午後は長いドライブの後、3日目のハイライト。
なんと雪化粧の山々だった。
ゴビ砂漠の入口に低い山脈が続き、雪で覆われている。
意表を突かれるゴビ砂漠の始まりとなる。
雪山は国立公園のようでゲートをくぐってバンは山道に入っていく。
途中溶け始めた雪にはまって抜け出せなくなった自動車を何台か見かける。
ゴールデンゴビツアーのロシア製のバンに雪の心配無用。
無事雪山のハイキングコースに到着した。
防寒着で身を包み、珍しく先導するナッサについて歩いて行く。
でもいつのまにか26歳のフランス人女性に先行されていた。
天童よしみ似のナッサはすでに孫持ちの42歳である。
運がよければ鷲や白豹が目撃できるらしい。
運が足りない自分らをおちょくるように野ネズミが徘徊する。
鳴き声が可愛らしい野ネズミが雪解けの穴から穴へ移動している。
途中雪解け水による小さな滝を見つつ、渓谷を歩いていく。
想像していたモンゴルを覆す景色にテンションが高くなる。
モンゴルというよりパタゴニアに近い景観である。
フランス領ギニアに住み、南米を何度か旅行しているミレンも同意見だった。
この雪山奥には一年中溶けない氷が存在する。
冬には1メートルの厚さになるという氷もかなり薄くなってきている。
乾いたゴビ砂漠の入口で雪と緑の景観に潤いをもらい3日目の旅程も終了。
この3日間、1日一つのハイライトと長時間バン移動、ゲル泊だからか1日が短く感じられてくる。
それだけ充実していると言えるかもしれない。
この日の滞在先は国立公園近くの360度対自然が美しい立地。
初日、2日目の遊牧民ゲルと異なり、なんとなく観光客馴れしたおばさんにもてなされる。
ゲスト用ゲルも簡素でツーリスティックなゲルでもある。
トイレもレンガ作りでちょっと豪華。
もちろん地面に穴をあけ、足場用の板を置いただけなのは変わらないが…。
馴れてくると狭い簡易トイレよりも草原での青空トイレの方が快適だったりする。
丘陵豊かな草原で小高い丘から山々を背景としたゲルや地平線を眺める。
チベット風の仏塔もある。
やはりウォッカなしでも丘陵に点在する小さな白いゲルと雄大な自然のコラボレーションはシュール。
どこからともなく人懐っこい遊牧犬が現れ、何か言うように微笑んでから丘を下っていった。
山肌に沈んでいく夕日を誰もいない草原で眺める。
柔らかい西日に照らされた丘陵やゲルも幻想的。
ツアー3日目にして初めて夕焼けも堪能でき、
360度人工物がゲルしかないモンゴルの大自然に圧倒された。
明日、ゴビ砂漠ツアー4日目はいよいよ砂丘に向かう。
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