2016年12月26日月曜日

モルドバのキシニョフからロシアよりもソビエトっぽい沿ドニエストル共和国に行ってみる(2016年12月10日)

モルドバ領土内にドニエストル川とウクライナ国境に挟まれた、
細長い未承認国家、沿ドニエストル共和国がある。
政府や自国通貨があり、承認されていないが独立状態にある沿ドニエストル共和国をヨーロッパ旅行の締めくくりとして訪れてみる。


ベラルーシ丸一日のトランジットを終えて到着したキエフはミンスク以上に巨大な街で活気があり、人が溢れていた。


ただキエフはロシア並みに寒く、気温は氷点下。
ここからイスラエルに飛ぶまで5日間過ごすにはいささか退屈なので、
グアテマラで出会った旅仲間とモルドバのキシニョフで再会し、
沿ドニエストル共和国を日帰りで訪れようとプランを立てる。
夜のライトアップは美しいけれど、寒すぎて1時間も町歩きできないキエフを一泊だけで去る。



キエフのDemilvska地下鉄駅を出てすぐのバスステーションから21時半発のキシニョフ行きバスチケットを購入する。


午前7時到着で404フリブニャ(1800円)。
なお、地下鉄駅を出てからバスステーションに向かう際に薄暗い地下道を通ることになるのだが、旅仲間が少年集団に取り囲まれて荷物を取られそうになったので夜の一人歩きは要注意。
地下鉄駅で大きなバッグを持ってバスステーションへ向かう人を見つけてついていった方がいいかもしれない。



午前4時頃に国境に到着し、バスの中に乗り込んできた係員にパスポートを預けてウクライナ出国のスタンプを押してもらうのを待つ。
なぜか満員バスだったので全員のパスポートにスタンプが押されて返ってくるまで1時間以上かかった。
ウクライナを出国し、次はモルドバではなく、
まさに翌日日帰りで訪れようと思っている沿ドニエストル共和国。
モルドバの国旗でなく、赤と緑の国旗がなびいていた。
沿ドニエストル共和国入国時にスタンプは押されず、
バスはしばらく悪路を走り、モルドバの国境にて入国スタンプというか、
スタンプが押されたレシートのような紙をもらった。

氷点下で寒いけれどもキエフの日中より気温が高いキシニョフに到着。
予約したホステルに向かう前にバザール近くのセントラル・バスステーションで旅仲間と合流。
ホステルにバックパックを預かってもらい、夜行バスであまり眠れなかった疲労を癒すことなくセントラル・バスステーションに引き返して円ドニエストル共和国の首都ティラスポル行きのマルシュートカに乗る。
運賃は窓口で払うシステムのようで36レウ(200円)。
尚、ティラスポルからキシニョフに戻る際は2倍の72レウだった。
現地通貨の沿ドニエストル・ルーブルなら安いのかもしれないが、
食事やスーパーで購入したウォッカでドニエストル・ルーブルを使い果たしたので分からない。

マルシュルートカに揺られて1時間ちょっとで沿ドニエストル共和国との国境に到着。
未承認国家といってもいろんな国があり、
北キプロスのようにトルコにしか独立を認められていない国家や、
パレスチナのように国際連合加盟国136か国に承認されているところ、
そしてナゴルノ=カラバフ共和国や沿ドニエストル共和国のようにお互いは国として認めていても国連加盟国に承認されていないところもある。
沿ドニエストル共和国のイミグレではパスポートにスタンプはなく、
出国時に提出するレシートを渡されるのみ。
ちなみに日帰りかどうか尋ねられ、10時間以内の滞在なら問題ないそうだ。
宿泊する場合は滞在届けが必要とのこと。


ルーマニア語でトランスニストリアとも呼ばれる沿ドニエストル共和国に入り、
マルシュルートカは小さな駅広場に到着。
モルドバで使われているアルファベットがロシア、ウクライナ同様キリル文字に変わり、
ロシアの田舎町についた感じがする。


まずは駅にある両替所で100レウ(600円)を現地通貨70ルーブルに両替してもらう。
沿ドニエストル・ルーブルにプラスチックのコインがあり、土産に面白い。


地図を見ても特に見所がなさそうなティラスポルを歩き出す。
人通りが少なく、冬の街路樹が寂寥感を掻き立てる。


しばらく歩いていると人間より野良犬や猫の方が多いのでないかと思ってしまう。
寒さに丸くなっている猫はいいが、集団で徘徊する犬は勘弁してほしい。



ロシアでもよく見た黄金ドームの教会がある。
…と思ったら鐘塔のようだ。
螺旋階段があるが登り口に立ち入り禁止と書かれていて残念。


その先にあまり見かけないデザインお教会があったが閉鎖されている様子。


近くに放置されている車輪付きの小屋は野良犬のすみかとなっており、近づき難かった。


田舎町なのでなかなか食堂は見つからず。
それでもちょっとした店が集まる建物内にカフェがあり、
ロシアやベラルーシ、ウクライナと同じようにおかずを指差しで皿に盛ってもらう形式の食事にありつけた。
二人で魚や肉じゃが、サラダ、ピラフなどを頼み、90ルーブル(700円)。
ロシアとそう物価が変わらなそうだ。




満足な食事を終えて町歩き。
食堂でも感じたけどティラスポルの住人は寡黙であり、
街中もひそりとしている。
それでも、外国人が珍しいのか、こちらを見てくるし、
陽気に声をかけてくる子供達や「ドニエストルへようこそ」と通りすがりに行ってくる男性もいる。
市場では写真を撮って、とにこやかに誘ってくるおじさんもいた。
ナゴルノ=カラバフ共和国のステパナケルトでも感じたけど、
未承認国家の人々は外国人にフレンドリー。


町の雰囲気はいかにもソビエト。
殺風景なマンションが点在しており、小さな町なのに車道は広い。



オンボロなバスを見ていると現在のロシアよりもソビエトの名残りが存在している。


モルドバ政府の統治が及んでいないということだけあって、
車のナンバープレートも沿ドニエストル共和国独自のものだった。


偉そうな人の看板もあちこちで見かける。



沿ドニエストル共和国は1990年にモルドバから独立宣言をした。
愛国心を示すように町中では多くの国旗が目につく。



ロシアの他の町でもあるような独立広場に戦車があり、慰霊碑がある。




そして政府関係の建物の前には当たり前のごとくレーニン像が立っている。


広場の先に冬景色の川が流れており、岸辺に人が集まっている。
この小さい川がドニエストル川であり、沿岸はもうモルドバである。



とにかく小さな町ティラスポルなので2時間も歩き回れば十分。
親切なおじさんに駅前からキシニョフ行きのマルシュルートカに乗れると教えてもらい、
踏切まで案内してもらってから哀愁が漂う線路沿いを歩く。


2時間ちょっとのマルシュルートカで居眠りすれば、
クリスマスのイルミネーションが点灯する賑やかなキシニョフだった。


東欧色の強いモルドバで沿ドニエストル共和国を包み込むソビエトっぽさを求めるのは難しいのかもしれない。









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