2014年3月10日月曜日

成都にて本場中国(2014年2月28日)

重慶から四川省の中心都市、成都にバスで移動する。
四川省といえば、麻婆豆腐で有名な四川料理であり、中国のマスコット、パンダである。

長江の流れにえぐられた立体的で複雑な構造の重慶からやってくると、
成都は盆地に広がる平らな街で、
自然を生かした特徴がなく、無機質的な都会という印象を受ける。
街には巨大ショッピングモールが点在し、東西南北に走るモダンな地下鉄があり、
火鍋レストランが多いが、一見平凡な中国の地方都市と変わらない。

運悪く、次の昆明行きの列車が満席続きで、
予約できた切符は3月1日となってしまい、3日間成都に居座ることになる。
のんびりとした住み渡りなので特にすることがない成都で3日間のんびりするのも悪くないものの、
今回の中国は15日以内のビザなし滞在なので、少しもったいない気がする。

成都を訪れた唯一の目的は四川料理。
日本で毎週のように食べていた麻婆豆腐を本場で食べてみたい。
成都駅近くにあった陳老麻婆豆腐といういかにも老舗の麻婆豆腐店に入り、
他の人と同様、どんぶりにもられた麻婆豆腐を注文する。
本場は見た目からして違う。


切った豆腐にかけて温めるだけで食べられる日本のインスタント麻婆豆腐や、
中国の他の街でも食べてきたマイルドな味わいの麻婆豆腐飯とは異なり、
真っ赤な汁の中に豆腐が浮いている。
味は…何よりも辛い。
唐辛子はいいにしても、山椒のせいか舌がピリピリして痛かった。
正直に言うと、美味さよりも山椒の刺激ばかりが気になる本場の麻婆豆腐だった。
尚、激辛の根源の山椒は日本の山椒とは異なり、花椒というそうだ。

これまた大好きで、日本や香港でも何度も食べた担々麺を本場で味わってみる。
地元の食堂で注文した担々麺はいかにも辛そうな赤いスープの中に麺が盛られている。


スープは少なめなので、汁なし担々麺に近いかもしれない。
麻婆豆腐同様、山椒がきいているが、見た目ほどの激辛ではなく、
むしろ辛さの中の甘さが旨かった。
ただ、日本の中華食堂や香港で食べてきたどろっとしたスープに細麺の担々麺とは
別種類のような気がする。
本場四川省の麻婆豆腐、担々麺には少なからずカルチャーショックがあった。
思えば、本場の味というものは他の地域でアレンジされたものとだいぶ違う。
メキシコのタコスやナポリのピザ、
札幌味噌ラーメンなんかは実際にその場所に行かないと食べられない味だった。

成都の街中で見かける火鍋レストランは大勢で丸い鍋を囲っているので、
一人で入るのを躊躇してしまうが、
フードコートで見かけた火鍋は一人分があったので注文してみる。
文字通りの火鍋。


これは危険と思った。
鍋に顔を近づけると、目がしぱしぱしてくる。
ずっと眺めていると失明しそうな感じである。
具の野菜やソーセージ、イカを口にするとすぐに舌が痺れてくる。
汗で眼鏡が曇り、鼻水もとまらない。
山椒、いや花椒のインパクトが大きすぎる気がする。
辛いものを食べる場合、水が欲しくなるが、
超激辛のものを口にする場合は水分をとらないようにしている。
一度痺れた舌を冷やしてしまうと、それ以降より辛く感じてしまうからだ。
舌の感覚が麻痺したまま具を口に運び、見事に完食することができた。
東京で食べた有名な激辛ラーメン、中本の北極ラーメンや、
タイの屋台で食べた田舎風スープカレーと同じように舌が痺れたまま食べていると、
激辛を超越した旨さがあるから不思議である。

四川料理の最後は水煮肉片。


火鍋のように深紅のスープの中に牛肉や野菜が沈んでいる。
唐辛子の量は半端じゃなかったが、花椒はひかえめで舌の痺れがなかったので、
ビールを飲みながら味を堪能できる。
火鍋の激辛はなかったものの、鼻水がとまらないだけの辛さは十分にある。
四川料理は辛旨かったが、発汗で眼鏡がすぐ曇ってしまうのは難だった。

成都では3日間もあるので、アクセサリーや仏像が売られているチベット人街にも足を運んでみる。
中国の地図を眺めてみると、
中国大陸の西側と思っていた四川省のさらに西に広大なチベットが広がっている。
規制が厳しく個人旅行が難しそうなチベットだが、
成都からはチベット行きのツアーが多いそうだ。
チベット人街では辛いものに疲れた胃を癒すべく、バター茶を飲んだり、
あっさりとしたチベット麺のトゥクパを食べたりした。




そして、成都ではもう一つ。
パンダ。

30代半ばの男性が一人、パンダ飼育センターに行くのはどうかとも思う。
しかし、自分はこれまでパンダという動物をなまで見たことがなかった。
小さい頃、親に連れて行ってもらった動物園にはパンダはいなかったし、
東京で暮らすようになってから上野動物園に行こうと思ったこともなかった。

というわけで、市バスを乗り換えて、成都パンダ飼育センターに行ってみる。
霧雨が降る肌寒い中でのパンダウォッチ。
歳をとってしまうと、無邪気に動物を見てはしゃいでいた幼少時代とは異なり、
パンダ以外のものにも目がいってしまう。
餌をあげていはいけないと標識があるのにリンゴを投げるつける中国人親子。
柵に沿って張られている電流ケーブル。
写真で見る白さとは違い、薄い茶色のパンダの毛。
それでも、初めて見る生きたパンダは大人になっても見とれてしまうものだった。









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