ドーハでの終日トランジットを終え、ヨーロッパ入り前にクウェートへ飛ぶ。
2005年にトルコ〜ジョージア〜アルメニア〜イランと陸路国境越えを果たしているので、
今回はなかなか訪れる機会がなかった湾岸諸国のクウェートも訪れてみる。
ドーハのハマド国際空港に20時に戻り、
チェックイン手続きをすでにテヘランで終え、ボーディングパスも持っているので直接出国ゲートへ。
イミグレでスタンプを押してもらい、快適すぎる空港のトランジットルームでネットサーフィンしたり、
コーヒーを飲んだり、仮眠をとる暇なく午前1時50分のカタール航空のフライトまで有意義な時間を過ごした。
中東のシンガポールと形容したくなるほど清潔でバブリーなドーハはまた訪れたいと思う都市だった。
アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカを繋げるハブ空港を持つドーハ。
カタール航空を利用すればままたストップオーバーできるだろう。
さすがにテヘラン、ドーハと空港で2日連続徹夜で疲労もマックス。
わずか1時間半の飛行時間で熟睡など無理な話。
クウェート国際空港に到着すると入国審査前にビザを取得しなければならない。
銀行のような窓口で整理券をもらい、用紙に記入し、
3ディナール(1200円)分の切手を自動販売機で購入してからビザゲットできる。
近くのATMでクウェート通貨ディナールを引き出すと20ディナール(8000円)が最低額。
それを両替所で細かくしてもらってから自動販売機で間違って2人分の切手を購入してしまったアフリカ人に3ディナールを渡す。
再び銀行のような窓口に出向いてプリントアウトされた紙を受け取り、パスポートにも入国スタンプを押してもらう。
おかげでフィリピン人と南アジア系が列をなすイミグレに並ぶ手間が省けた。
アライバルのベンチで仮眠をとってからネット予約したTimes Square Suiteホテルに向かう。
運賃1/4ディナール(100円)の市バスで空港から市街まで移動し、
タクシーに乗り換えて1.5ディナール(600円)でホテルへ。
1ドル=34500リアルのイランの通貨は額が大きすぎて参ったけど、
1ドル=0.3ディナールのクウェートの通貨は逆に額が小さすぎて使いづらい。
また、安宿が存在しないクウェートにおいて比較的安くて市街地に近そうなホテルを予約しても1泊7000円もした。
クウェート2泊で14000円の大きな出費。
もちろん高いだけあって世界周遊中で最高レベルのTimes Square Suiteホテルだった。
テレビ、冷蔵庫、電子レンジと完備で朝食はルームサービス。
わずか2泊3日のクウェート滞在で堪能しきれないだろう。
二晩徹夜で日中から街歩きする気になれず、午後5時まで爆睡してしまった。
日が暮れた午後5時から街歩き。
とはいえ、Times Square Suiteホテルは街中にあるわけでないので、
近くのバス停から16番の市バスでクウェートシティの中心地に移動する。
バスの車窓の高層ビル群にクウェートもまた中近東のイメージを覆す都市であることを実感。
クウェートと言えば、小さい頃テレビで見たクウェート侵攻、湾岸戦争の知識しかなかったけれど、
戦争から20年も経過して近未来的な都市に変貌したのかもしれない。
ドーハ同様街中を行き交うアラブ人は少数で、
インドやパキスタンなどの南アジア系、フィリピン人ばかり。
外国人労働者なしに国が機能しない湾岸諸国だろう。
また中東のエキゾチックさとは皆無のビルばかりの町並みが現在のクウェートにちがいない。
それでも街中のスークに入ると、白い衣装のアラブ人男性、黒いチャドルのアラブ人女性が目立ち、中東らしい商店が夜になっても開いている。
ライトアップされている斬新なオフィスビルを見て廻ってから再び市バスでホテルに戻った。
クウェート2日目の日中からひたすら歩き回る。
ルームサービスの朝食は7000円もするわりに普通。
2日目も16番バスに乗り、スークの入口へ。
バスの乗客はインド系の男たち、他のアラブ諸国からの労働者、フィリピン人女性がほとんど。
でも、スークに入るとランチタイムを楽しむアラブ人で溢れている。
声をかけられるままテーブルについたレストランはエジプト料理店らしく、
エジプトの国民食のコシャリをメニューに発見。
2007年にエジプトに一ヶ月以上滞在した際にマカロニと米、パスタと揚げたオニオンにケチャップをかけて混ぜて食べるコシャリを毎日のように食べた。
むろんエジプトで60〜80円で一杯食べられるコシャリもクウェートで食べると1/2ディナール。
200円なのでクウェートの食事において安い方だろう。
湾岸諸国のスパイスの香りがするスークを廻る。
どの店も昼時から閉め始めるのでしばらくすると祝日の商店街のようになってしまう。
ピカピカのモダンな高層ビルが乱立するクウェートシティのスカイラインを眺めていると1990年代にクウェート侵攻や湾岸戦争があったことを忘れそうになるけれども、
少なからず戦争の傷跡は古い建物や路地で見受けられるのも事実。
25年前はそう大昔でない。
ペルシャ湾に沿ってひたすら歩いてみる。
太陽がなかなか出ない天気模様が残念。
物静かなペルシャ湾の向こう側に数日前まで旅していたイランがある。
シャルクという魚市場やショッピングセンターがあるマリーナに寄ってみる。
ビルの建築ラッシュが進んでいる現場のすぐ近くで小さな漁船を仕事場にしている人々がおり、
どちらも南インド系だったり、周辺アラブ国からの出稼ぎ労働者に違いない。
他方で海に面したカフェでアラブ人がシーシャを吸っていたりとのんびりしている。
海に沿ってひたすら歩き続けて見えてくるのがこの国の象徴のようなクウェートタワー。
団子2つのタワーが一番高く187m、団子1つが二番目で145m、串だけのが一番低い。
イラクに占領されていた頃に損傷を受けていたクウェートタワー。
3つのタワーは目印になりそうだけれど、モダンなクウェートシティでそれほど高さを誇っているわけでなく、
街のあちこちから見える解放タワーが372m、
さらにクウェート最高峰のオフィスビル、80階建てのアルハムラタワーは412mとクウェートタワーの比ではない。
尚、アルハムラタワーは2015年現在世界で21番目に高いビルという。
アルハムラタワーの向こうに夕日が沈むのを見届け、
クウェートシティの淡い夕焼けを見ながら海沿いをまだ歩く。
振り返ってみるとクウェートタワーがより小さく見える。
ドーハのように弧を描いた海岸線は綺麗だ。
かつてイラクとの戦争があったなんて信じ難い平和な空気に包まれている。
スークから6キロ以上も歩き、すでに遠くなったクウェートシティがライトアップされるのを眺めた。
ショッピングモールまでたどり着ければ市バスで引き返せばいい。
今はクウェートに想いを寄せながら歩き続けるだけ。
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